あの日のように雨が降りしきっていた。
色を落とした瞳から零れ落ちる雫。
許しを乞う言葉の羅列。
奪い去られていく。
何度か経験した大切なモノを失う前兆。
色を失くしていく。
降り止まない雨と冷たい風。
繰り返される光景に言葉も出ない。
痛みだけが心を圧迫してその涙を拭う事も出来ない。
何も出来ない無力な手。
かじかんだ指先に伝わるぬくもりを。
暖かなその笑顔を守ろうと決めていたのに…
また失くしてしまった。
それでも…
痛みは背中を押した。
振り返らずに。
役割を果たし終えた空虚な身体を突き動かして。
未来へとまた歩き出す。
物語はまた二人から始まるから。
その手を伸ばして。
声を止めないで。
声を聞かせて。
悲しみは終わりを迎える。
まだ誰も居ない舞台の幕に手をかけよう。
もう一度、取り戻そう。
あの景色を。
落とした涙が…空に還るまで。
