「誰も死ねない」
 
 
 
親指でなぞる唇
一輪の白熱電球
一匹の蛾
優しくもない
乱暴でもない雨に
犯されながら擦る右足
 
きっともう言葉は必要ないだろう
此処には誰も居ないのだから
 
 
血のような口紅
シャツの襟元にじっとり残す
おまえの寂しさ
捨てに来たつもりだったが
手に入るものが多くて
笑ってしまう
 
きっともう言葉は必要ないだろう
此処には誰も居ないのだから
 
きっともう身体も必要ないだろう
此処には誰も居ないのだから
 
此処には誰も居ないのだから
 
 
 
 
 





先日発表した新作です。

― グレゴールの憂鬱