それはとても美しかった。


朝焼けのようなクリーム色で、
川底から見上げる水面のように
滑らかに光っている小さな爪。

根本にはそれぞれに穏やかな浜辺を携えており、
ことさら小指は小鳥が囀ずるように頼りなく儚かった。
薬指より人差し指の方が少しだけ長く、
どちらも凛と目を閉じる中指に
甘えるように眠っていた。

第一関節から括れている優艶な親指は
すべてと規律良く足並みを揃え、
それでもその物腰の柔らかさが
全体のバランスを調えているのが分かった。

人差し指を真っ直ぐ降りたところ、
親指の付け根の端に、
淑やかに輝く星のような黒子がある。
恥ずかしそうでありながら、
名前を呼んで欲しそうな可愛らしさがあった。

ベンチを押すように置かれているため
緩やかではあるものの
手首はほぼ九十度に曲がっている。
その外側に規則正しく年輪のように生まれた皺が、
また全体のコントラストを有機的に息づかせ、
物質としての命に
生物としての尊厳を与えているようだった。

関節、細かな皺、皮膚や骨まで
すべての曲線がたゆたうように温かく
窓辺に置かれた一輪挿しの健気さを思わせた。

それはとても美しかった。

すべての要素がその美しさを献身的に支え、
また掛け換えのない家族のようだった。

美しい。

私はできるだけそっと、

愛しさを持って、

手を重ねた。







― 古志野光