ギリギリまで、自分のことを

やれることはしっかり

やり切って行った母は


「病院だとお水もトイレも我慢してたの」

入院中、看護師さんが

トイレに付き添ってくれるのを

気が重いことと思っていたようです

「気にしないでトイレに行ける」

のが母にとっては

自宅療養の魅力だったようです


腹水とむくみがあるけど、

氷水と熱いお茶を欲しがって

ストロー付きのマグで良く飲んでました

70歳を超えても、

フルタイムに近い時間

仕事をしていた母なので

働いている人のことを

(忙しそう)と遠慮して

ナースコールは押せないタイプですから


母は家でトイレに行く時も

私に声をかけないので、

私が動きを見て察して、

介護ベッドを起こして、

降りやすいようにして

「どこにつかまればいいのかしら」と

言いながら

壁伝いに歩いて、椅子につかまって

椅子に一度座ると立ち上がるのが

辛くなってからは

無理して一息にトイレまで行ってました


お出かけするのを楽しみに買った

えんじ色の靴を履いて

杖をついて


足がむくんで、

どの靴も入らなくなって最後に妹に頼んで

買った靴を、

自宅でトイレに行く時に履いてました



相当に体はきつかったと思いますが

私が手を貸すのも嫌がるので

私は動きを察知して、

手伝っている感じが出ないように 

本を読んでる振りをしながら


母が戻って来たら、体勢を整えて

介護ベッドを操作して寝かせます


「誰かいる?」ってベッドの上にから

隣の部屋の私に

声をかける母


「いるよー、私」

「そう…

人の気配があるから寂しくない」

寂しがりなのに

意地を張って

「もう帰りなさい」

と言ってた母は、この頃

私と妹が必ずいる状態に慣れて

嬉しかったみたいです


介護ベッドの操作などもあるので、

母のトイレの度に

もちろん私は起きます


私が泊まる日の方が

夜中の動きが

活発だったり、体調が変化したりして

妹の泊まる日は

母は全然起きなかったみたいで


私には甘えて

妹の前では親らしくいようと

していたんだなぁと思われます

すごい…笑

心の動きで体調も変わるのね



ある時母が夜中に私に声をかけて

「あんたももう若くないんだから

寝ないと…

あ、私が起こしてるのか」

って自分でツッコミを入れてました

本当、そうだよ!


しかし、

介護ベッドが間に合って本当に良かった!

実は急激に体調が変化したので


まだこの時

介護認定もおりてなかったのですが

(母が旅立った後に認定されました)


でも最初に意識が無くなった日に

見込みで頼んだのです


(「あら、いつの間にこのベッドが来たの?

全然気がつかなかったわー」と母)


介護ベッドがなかったら、

母の介護は多分無理だったので

本当にありがたかったです


介護ベッドは温熱で暖かくて

意識が無くなってからも

体の位置をゆっくり変える

リハビリモードを使って

体勢を変えてあげられて良かったです

助かりました

介護用品のスタッフの皆様のおかげです

ありがとうございました


アラフィフの娘に

「あんたももう若くないんだから」

これは母なりの思いやりの言葉なのが

私にはわかります


本当、そうよー

寝不足が堪えるわよ

寝袋で寝てるんだから


でも、この年齢だから

お母さんの気持ちがわかるし

動きが察知できるし

知らん顔しながら

見守りと最小限の

サポートができるのよ

すぐに気がついて起きられるしね


他の人の席に座って

他の人の位置から

気持ちを想像することもできるようになったし

人の心の痛みもわかるのよ

言葉の奥の本当の気持ちが

わかるようになったのよ


人を許せるようになったし

自分にも優しくなったよ


そういう私だから

お母さんの看取りが

できるようになったと思うよ


確かに体力はギリギリだけどね


もう若くないけど

年を重ねるのも悪くないよ