母と過ごした最後の日々が楽しくて

奇跡のような時間だったので

少しでも覚えておけるように記録しています


母が旅立った日から

あっという間に

ひと月以上経ちました

花花花花花花花


母が旅立つ10日ほど前に

式典で着たいから

無地の紋付の着物を

貸して欲しいって頼みました


「前に借りたことあるよね、

10年前だけど」

って私の着物姿の写真を見せました

母は私の写真を見ながら

「ああ、やっぱり私に似てるわね」と


私、これがとてもとても嬉しかった


「お母さん、

私そんなこと初めて言われたかも」


もう一度写真を見て

「やっぱり私に似てる」って


母にはずっと

「あなたはお父さん似」

と言われて来ましたし

親族や父を知る人からは

そう言われることが多かった私です

もちろん、

それが嬉しくないわけではないけど


親から「自分に似ている」

と言われる以上に

自分を認めてもらえる言葉は

ないかもしれない


本当に嬉しかった


それから、

母のベッドの側で話をしていて

料理の話になり

「小松菜とちくわを炒めるの、美味しいよ」

って教えてくれたので

「へー、私やったことないな

味付けどうするの?」


「ちくわの塩気でうまいのよ、

味付けいらないの

ご飯が進むの

「びんぼういため」よ」

そして

はっはっはと楽しそうに笑って


私に人生最後に教えてくれた料理がこれ

なんか笑っちゃうね


お母さん1人で

そんなのを作って食べてたのね


最後の退院のあと、

大根を煮ようと思ったみたいで

台所に

下茹でした大根が

鍋にそのままになっていて


切り干し大根はザルに残っていて


ギリギリまで

自分の食事の支度を

自分でやろうと思って

でもできなくて

そんな跡があり、いじらしかった


こんなに急に体調が落ちると思わず

でも食事の支度は無理かと感じ

妹と私は

宅配弁当の試食も

予定していたのですが

(介護食の宅配は

見守りの意味合いがあるんですね)


母は「宅配弁当は食べたくないなー」って

悲しそうに言ってました

自分のことは自分でやりたい人ですから


それに体を起こすのがやっとなのに

生協さんで頼んだ大根を

調理しかけていたくらい

食べ物には

こだわりがあったんですよね


なので宅配のお弁当は

結局一度も

頼むことはありませんでした


花花花花花


母に貸してと頼んだ無地の着物は

形見としてもらってきました

これを着たら

「あら私に似てるわね」

って言ってくれるでしょうか