数学が何の役に立つのか?
というわけで、映画「ビューティフル・マインド」を見たことがあるだろうか?
アカデミー賞を受賞した作品で、実在の数学者ジョン・ナッシュが主人公(ラッセル・クロウ)で、大半は統合失調症からノーベル賞を受賞するまでの苦難の半生を素材にしたプロットになっている。
ナッシュの受賞したノーベル賞は、経済学への貢献としてで、数学理論そのものではないのだが。
ロシアの数学者だった?ペレルマンは、ポアンカレ予想を解決したということで、数学の賞、フィールズ賞候補となったのとは、ナッシュの場合、ちょっと違っている。
(ペレルマンのかっこよさは、フィールズ賞を拒否したところにあるのだけれども)
映画の中で、ナッシュが均衡論(ゲーム理論)の着想を得るシーンがある。
大学院の仲間達と、酒場というのか、若者たちの溜まり場に、ナッシュがいて、ひとりだけ、ノートの紙の束をテーブルの上に広げ、ビールを啜っている。
そこに、女子のグループがやってきて、ブロンド美人を誰がゲットするか話題になる。
仲間がいろいろと計画を語っていると、ナッシュは、仲間の計画をからかいながら、自分の計画を語る。
詳細は忘れてしまったが、それが均衡論の原型らしいのだ。
あの映画をみると、数学はナンパか合コンに役立つのか?と思いたくなる。
ナッシュの理論については、詳しくは、「もっとも美しい数学 ゲーム理論」(トム・ジークフリード 冨永 星訳)文藝春秋 が分かりやすかった。
このあいだ、AKB48の総選挙が行なわれたが、選挙そのものがゲーム理論のモデルとして考えることができるらしい。
例としては、労使交渉なんていうのも、均衡論のモデル足りうるらしい。
なんとなく、ニュアンスとしては、カタストロフ理論と対照にあるのが、均衡理論なのだろうか?
均衡点は、不動点定理(ブラウアー)(トポロジーで発見されているが、この不動点というのが、圏の中でも重要なポイントを持っている)の応用例みたいな印象がある。
※圏というのは、いわば、数学の小説みたいな理論なのだが。こんな表現でわかるだろうか。もっとも、数学基礎論の人達が圏へ移った人達が多いのも、なんか論理学好みの人々を引きつけるものが、圏論にはあるのかもしれないし、実際、タイプ理論は圏のひとつである、トポスをモデルにして解釈しているようだ。このあたりの本は、二十一世紀になってからたくさん出版されている。
日本語では、清水義夫「圏論による論理学 高階論理とトポス」(東京大学出版会)が2007年にでている。
不動点というのは、たとえば、DVDとかCDが回転しているときに、動かない点がひとつだけあるということを、数学の定理として証明したものだ。この場合、動かない点というのは、円盤の中心点になる。
面白い例としては、ある町にいて、その町の地図をくしゃくしゃに丸めて、捨てたときに、地図上のある点とその実際の町のある地点が、同一上に重なる点がかならずあるというものだ。
このあたり、バナッハ=タルスキーのパラドックスとなんとなく、ニュアンスが似ているのだが、あるいはフレーバーといってもいいだろうか。定理としてはまったく似てはいないのだが。
ゲーデルの不完全性の定理が、最近というのか、ここ数年普及してきているが、これは不動点定理の応用としても見れるらしい。圏論で、ロウヴェルがそんなことを言っているようだ。(翻訳がでていないが、「conceptual mathematics」Lawvere & Schanuel
Cambridege が最も分かりやすく、また面白いのではないだろうか)
ナッシュの均衡理論から、圏論の話になってしまったが、圏論は、数学を客体化するものなのではないか。丸と矢印で数学の概念を考えてゆくのだ。数学の概念そのものを考えるのとはちょっと違うのだが。
というわけで(無理くりむすびといきませふか)数学はナンパや合コンにも使えそう???