{998832F6-5BAC-412B-A265-8DE0C95B0B57:01}

と、いうわけでMUSIC TOMORROW 2015を聴くためにオペラシティまで行ってきました。
この企画は尾高賞の受賞作品と委嘱作品の初演を中心に行うものです。尾高賞に関してはここでは割愛させていただいて、過去のN響委嘱、NHK委嘱を受けた人を見ると、最近では望月京,原田敬子,権代敦彦,酒井健治,etc...(敬称略) など素晴らしい作曲家が曲を書いています。
そして今回の曲目
・アダムズ「サクソフォン協奏曲」(2013)
・藤倉大「Infinite String」(2014)
・藤倉大「Rare Gravity」(2013)
指揮:パスカル・ロフェ
サクソフォン:須川展也
管弦楽:NHK交響楽団

インフィニット・ストリングがNHK交響楽団、ニューヨーク・フィルハーモニック、アンサンブル・レゾナンツ共同委嘱作品の日本初演、
レア・グラヴィティが第63回尾高賞受賞曲です。
委嘱作品と尾高賞受賞曲がかぶる年は今年が初めてで藤倉さんの勢いがそのまま感じられます。

まずはアダムズのサクソフォン協奏曲。サクソフォンの良さを十分に発揮させるような曲ではないものの須川は流石でした。第1部の後半、緩徐楽章の聴かせ方はお見事。演奏会には須川門下の方々がたくさんいらっしゃいました。

そして後半藤倉さんの2曲
インフィニット・ストリングはアトム、トカール・イ・ルチャール、シークレット・フォレスト聴いている人なら「ああ!!」と思うはずで、冒頭の強奏から藤倉さんの楽園が存分に展開されます。
「弦楽オーケストラは、他の楽器のオーケストラと違い、エレクトロニクスのテクスチャーのように自由自在に変化できる音の素材だと僕はいつも思います。」
「受精後の細胞分裂がどんどん行われて、あらゆるDNAの情報が発現し、命が宿る、という事からアイデアを得ました。」
と藤倉さんが語っている通り、弦楽オケを『個』として扱う様子がまさにエレクトロニクスを彷彿とさせながら、それが細胞の分裂した『多』の振る舞いを見せる。マクロで見ると単体という扱いながら、ミクロで見ると各トレモロが広がりを見せていると個人的に感じました。
{04F6C8B5-B675-4E0E-A916-3BD4A8E2AE85:01}

藤倉さんの作品ではこのような顕微鏡を覗き込むような倍率変化のイメージを含む曲が他にもあり「アンペール」ではピアノ+オケを架空の巨大なピアノと見立てたり、バスーン協奏曲もオケはバスーンの重音を拡大したものだったり…となっています。
それにしてもエネルギーの凝縮は相変わらず素晴らしいです。
曲の終わる直前にはシークレット・フォレスト後半でも出てきたようなヴァイオリンの高音。この音を聴くと曲も終わるのかと感じさせ、音が集うべき場所に集っていくのを聴いて充実でした。

最後はレア・グラヴィティ。「母親のお腹からこの世に出てくるまでの間、お腹の中で羊水に浮かび、どんどん大きくなるのはどんな感じだろうか••••••との想像から生まれた。」と藤倉さんの言葉からわかる通り、この曲の特徴は全体を包む浮遊感です。
{8E3B8965-6CAF-4AF1-9D33-C8F0AD01911E:01}
そしてこの繊細な質感は生で聴かないと本当には楽しめません。以前スイス・ロマンド管の演奏をTVで聴きましたが、ホールが液体の皮膜に包まれたような空気感は生演奏しか聴けないもの…! さらにこの曲の編成はオーケストラなのですが音響の多彩さはオケ+エレクトロニクス以上、素晴らしいテクスチャー!
脈打つリズムも身体に自然と入ってくるもので他の現代音楽と比較してもとても聴きやすいもの。
本当に素晴らしい作品で思い出すと今でも震えます。

現代曲の演奏会で震えたのは去年のグリゼー「音響空間」以来! これは来て良かったと本当に思いました。

終演後は藤倉さんからサインを貰い嬉しすぎて発狂(笑)
持っていたトートバッグの猫柄に「これかわいいね」と言っていただけました。

藤倉さんは若手の日本人作曲家の中では次世代を担う存在であり、これからも応援していきたいです。近いうちにオペラ「ソラリス」の日本初演が実現してほしいですね!!

以下のリンクから全曲聴けます。