次の世代に伝えるべきこと | グリーン・ブレイカーズ

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 農業の現場のお話しを中心にお伝えしてます。


「生ゴミや家畜のフンは、入れれば入れるほどお花や作物にいいんでしょう? 」
という小学生の質問に、真剣に答えてあげたいと思った。これが、このブログ
を作った動機である。

その質問を受けた私の頭のなかには、フン尿のまきすぎによる草を食べたことで
硝酸塩中毒を起して倒れた牛や、生ゴミたい肥の入れすぎで生育のおかしくなった
作物、汚染水の流入で浮かび上がった川魚の記憶がよみがえった。
同時に、「昔の農村には、こんなに家畜はいなかった」「昔は食べ物を自給して
いた」「有機物をいれようにも、今のような有機物自体も、運搬する車もなかっ
た」という、先達の農家さんたちの声がどこからか聞こえた気がした。
そう、わたしは前の時代から受け継ぎ、そして次の世代に伝えるべきことがなんで
あるかを、このときこの小学生に教えられたのだ。

その伝えるべきなにかとは、見てきた事実を伝えること。

作物の栽培指導を通じて見てきた日本の農業の現状や、土壌分析をおこなうこと
で知りえた、行き過ぎた有機リサイクルが原因で汚染された土壌の現実を伝える
ことにほかならない。つまりそれは「安全・安心」だと世間一般で謳われている
有機農産物と有機農産物の生産に特に使用が薦められている生産資材に、じつは
問題が山積みしていることを伝えることでもある。

このブログでは、そのようなまちがった土作りの引き起こす環境汚染の問題を
とりあげている。それは土のメタボリック状態が生み出す深刻な害だ。
すなわち、まずは食べ物、また住環境や自然環境問題、そして感染症の発生によ
る被害がそれである。

この話は、いまの多数の日本人にとっては意外であるに違いない。

排泄物や生ゴミなどのいわゆる生物系排出物を資源として使うことは善ではなか
ったのか。
日本では、農業や家庭菜園、ガーデニングへの生物系排出物を原料としたたい肥
の施用は、行政の下で奨励されている良いことではなかったのか。
水処理汚泥の植物栽培への使用は「自然に帰る」といったイメージのある「
環境にやさしい行為」ではなかったのか。

そのような現実の行過ぎたリサイクル有機栽培と、イメージとしての『有機栽培』
との落差や矛盾を、このブログでは明らかにしたいと思う。
そうした現場の真実を伝えることで、日本中の多くの生産者、日本中の多くの消費
者、そして日本中のほとんどの政治家たちが、熱狂のもとにおこなっている行き
過ぎた土づくりを、再考してもらいたい。

それはとりもなおさず、行き過ぎた土づくりによって生産される農産物の安全性
を問うことにほかならない。

問題は入れられる量にあるのだ。入れられるものの質によるのだ。

まずはこのブログが契機となって、日本の田畑に入れられる生物系廃棄物の、量
と質の基準の問題が注目されることを望みたい。

私は、過去と未来をつなぐ、現在を生きる自分の役目を果たしたい。