貿易赤字が目立つ近年
東日本大震災あたりを機に、日本は貿易赤字を出すようになりました。それでも石油などの燃料高騰する事を理由にどこか見過ごそうとしている風潮があります。それ以前にリーマンショックや電化製品の売上げ低迷もあったため、単に震災での生産性低下や復興需要のための輸入関連が増えただけとは言い切れない部分があります。
テレビが売れない2010年あたりから、もう既に電子機器メーカーは後退し始めていたのでしょう。パソコン性能も鈍化していた時期でもあり、スマートフォンに切り替えが遅れたことが、中国(Huawei)、韓国(サムスン、LG)を急成長させ、今となっているのです。
シャープは台湾の鴻海に買収され、東芝テレビは中国ハイセンスの傘下になってしまっただけに、貿易赤字が出るのも当然なわけです。にわかに震災を理由にそうなってしまったというのは不自然なほどです。
ここのところは回復基調で貿易を黒字化しているように思えていましたが、なんと3か月連続赤字だったのです。またしても、日本が衰退していくような印象を受けます。
経常収支が黒字だから良い!
幸いにも、日本は経常収支だけは黒字を維持しています。サービスや投資、資産、円の価値も含め、総合する黒字であるというのです。
しかし、それらは変動性のあるので絶対的な価値とは言い切れないところがあるため、当てにならにものと考えるべきではないでしょうか。
まして、自給率の低い日本では、輸入に頼るしかないのです。
高い技術力で貿易立国として経済成長してきた日本にとって貿易赤字はプライドをズタズタにされていると同じです。
経済で成熟した国は貿易黒字が赤字になり、やがて経常収支も赤字になると言われています。先進国としてアドバンテージを得た分、それを還元する形で、貯金を崩していくように使い果たせば、やがては底をつくわけです。それで良いのは、アメリカのような自給率の高い国だけです。その時、輸入に頼らなければならないような日本はどのようにして食べていけるのでしょうか。
戦前戦後に逆戻りするようでは日本の将来性が危ぶまれます。
技術はあってもスピード感がなくなった!
日本にノーベル賞受賞者が多いのは技術力があったからです。それらの元になった研究テーマは日本が元気であった頃のものです。これまた過去の財産のようなもので、今の技術を評価しているわけではありません。資源の少ない日本は技術があったから、材料を輸入して付加価値をつけ、輸出して稼げていたのです。儲けた資金で新しい技術開発に投資され、次なる新製品に着手してこれました。
いわば、好循環なサイクルが出来ていたのですが、今その技術が乏しくなったように思えるのは、技術を出し惜しみする傾向が強くなったからではないでしょうか。みな明日明日の食い扶ちを保っておきたい意識が出始めたのか、満足しているのかわかりませんが、結果、保守的になったように思えます。以前は明日明日食べる分を確保するために競争し、なりふり構っていられなかったのからこそ、スピード感があったように思えます。
その遅さが今、海外勢に追い抜かれ、技術を奪われる原因になってはいないでしょうか。権威性を持つことで技術大国としての名誉を保とうとしていますが、そういう事ではないはずです。
シャープは世界初の8Kテレビを発売はしましたが、ブランディングというより出し惜しみしたせいで、液晶で鴻海に食われてしまったとも言えるでしょう。8Kテレビをもっと世界に広めたい大義名分があったら買収される事もなく、展開もスピーディーで、黒字化、液晶開発に回していけたのではないかと思うのです。
日本が以前の体質に戻るためにも、もっと貿易赤字に危機感を持っても良いかと思った次第です。