配役のお母さんはもうとにかく強烈な役でした。
季節は冬。春高校卒業して半年と少し、今日5つ目のバイトを簡単にやめてきたという息子に切れます。
「あんたって子は…ふざけるんじゃないよ!」
と叫んで投げ飛ばす。
この私が。いやいや、役のお母さんが。
劇のわりと冒頭です。公演当日、ここでお客さんがさーっと引いて行く感じがあって(笑)、それくらいで成功だったのでしょうが、お客さんの引いた感じがちょっと痛いくらいでした。
実は、練習ではまずそこ、大変でした。
そんな言葉言ったことないし。
そもそもそんな風に思えないし。
合う仕事が見つかるまでバイト辞めるのは行動力はあるわけで、たまに30ほど仕事してから天職を見つけたという話も聞くじゃないですか。子どもに一票入れたいくらい。まあでも理由はね、「バイトリーダーがやな奴だった」というのは良くないかも。どこに行ってもぴったりしない人、やな感じの人はきっと少なからずいるでしょうからね。仕事が合わないというのとちょっと違いますよね。
それはさておき、ここで演出に雷が落ちる効果が入るとあります。なので、まあ言葉と動きでそこはなんとかなるのかなと思ってました。
それでも言葉ね。
満身の力を込めるのか?
出来るかな〜?と思って稽古の前に娘に言ったくらいでした。すると「ガンバレ」と冷静な一言で。うん、頑張るしかないよね。
お腹から言うくらいでは全然足りない感じ。
足裏から言う必要を感じて、ダンっと足音を立ててから「ふざるんじゃないよ!」
やっと言えました。ふ〜。
その日稽古終了後に娘に
「で?言えたの?ふざるんじゃないよ」ってエレベーターで聞かれました。気にしててくれたんだ〜。ちょっと嬉しい私。
「あー うん、一応ね、でもなんかいろいろそれどころじゃない感じで…」
そうなんです。投げる設定はそこで聞いたのだったか、他にもいろいろ変更箇所が多かったことなど、とにかくふざるんじゃないよはすっかり問題ではなくなっていました。
まあ、なんと言うかこんなもので、問題と思っていたところも解決するまではすごく大きく感じても、解決してしまえばすぐさまもう普通のことになっていくんですね。
投げる稽古では毎回子ども役の子と「こう?」「大丈夫?」という風で和気あいあいとやってました。
動きに関しては最後ゲネプロの後で、西村さんが「こっちに足を引くとカッコいいですよ」とご指導くださったりもしました。うまく格好よく投げれたのかはよくわからなったですが、その後の長台詞、早速詰まってしまって。
たくさん長台詞があったんです。
毎回、怒りながら長台詞言うので、体だけじゃなく頭も熱くなるんです。血管大丈夫かなぁと思うけど、思う暇も無いような。
大変でした。ほんとよくやったなあと思います。4つくらい詰まったり飛ばしたりいろいろあったけど「乗り切ったね」と言われたそのままでした。
それにしても役も終わったから思うのは
そんなこと、別に叫んだり投げたりせずとも、ハートを開いてヒアリングすれば、すぐに夢なんて聴きだせるものなんだけどなぁ、と。
どんな話だって聞くよ、心配せずに言ってごらんという空気で聞くことですが、家族だからこそ難しいのかもしれないですけれどもね。
実際、このお話は最後はハッピーエンドになるわけですし。
怒りの表現の稽古は大変でしたが、終わってみると、毎日すごく練習して体力がついてたなあということ。
発声練習だけでも続けることは身体にいいことじゃないかなと思います(^。^)
次は発声練習について書きますね。