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月夜にささやかな酒宴 ことのは積み上げ十年目


「押入れのちよ」/荻原浩/新潮文庫。


押入れのちよ (新潮文庫)/荻原 浩
¥580
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<収録作>
●「お母様のロシアのスープ」
山奥に住む双子の件もお母さまの行動も前述予想通りで鬱。
加えてうわぁな事態が引き起こり(←どうもこれに気づいていない人がいるらしいがその方が幸せ)、読後はさらに鬱。
童話調の語りの作品で、いい意味でこれは卑怯だ。題名キツい。


●「コール」
いい。しみじみ好い。
大学時代から彼女を挟んでの関係で、でも男同士も親友で、その内に1人が亡くなってしまったら……、という流れだが。
がっつり騙された。


●「押入れのちよ」
かわいい(´∀`*)
こんな座敷わらしなら同居したい。
また、切なくていい。最初に主人公と会った時どうしたかったんだろうな。
これが表題になっている訳が解った。他のから群を抜いている。


●「老猫」
絵描きで猫好きで皮膚炎持ちの身としてはいたたまれない部分が多々あるなぁ。
女性=フミかと思っていたんだが。
生臭いよぅ汗


●「殺意のレシピ」
妻を自然死に見せかけて殺そうと努力するのだが、実は妻は……、な本音と建て前が交錯する短編。
ギャグ?


●「介護の鬼」
いいホラーだった。鬼嫁怖ぇ。綾辻行人の「殺人鬼」に近い感触。
結局、お義母さんの死因はお義父さんの誤解じゃないのか?


●「予期せぬ訪問者」
灰皿で愛人の頭を殴ったら死んじゃいました。
二時間ドラマ並みにベタなこのシチュエーション。あなたならどうしますか? な話。
のっけから最後の1行迄アホだ、アホすぎる。


●「木下闇」
15年前、隠れ鬼の最中にいなくなってしまった妹。失踪現場には当時と変わらず楠の陰が広がっていた、という静かな印象の話。
小道具などはいい。枝に潜む影もいい。
が、淡々と進むのでよくありがちな、という感じ。解説では高評価だ(本書中の白眉とまで言われている)が、特に何も残らず。


●「しんちゃんの自転車」
月夜の晩に同級生のしんちゃんが自転車で誘いにくる、そんな小学生のころの思い出。
きれいで郷愁あふれるロマンチックな話。
352ページ、嫌な予感がする。
360ページドオオン(;ω;)
「むずかしいことばっかし聞くなよ。首がとれちゃう」が可愛くて良かった。この本で一番好きな台詞だ。