ソフィアの憂鬱は、日毎に残忍なほど、鋭く敏感になっていった、
あのパレードのことすら、忘れたいのに忘れられない、
気持ちを、ただ、ひとつの狂気に纏めて、屑籠に捨てたかったけど、
わかるの、あたし、この曖昧に渦巻きとぐろ巻いたみたく、
こんがり焼けた、焼きすぎたのトーストの味と同じように、
腐ってしまって、食せない、苦い思い出が過ぎる、、
執事のリトは、涙も見せない、ただ平静を保つので必死な、
今にも崩れてしまいそうなソフィアを静観するしかないのが、辛かった、
ソフィアの想いを知っているからこそ、とても心臓が焼けるように痛かった、
「悲しみを二人で分け合いましょうよ、リト。」
甘い言葉にだって、酷く腫れた悲哀を引き摺っている、のなら、
「・・・それが、無意味でも?」
「愛は無意味だわ。」
窓際で煌びやかに咲き開いた薔薇の刺を指に当て、
「愛など、必要悪のひとつに過ぎない・・・。」
つう、と指から伝う血を舐めて貴女は、ベッドにもたれ込み、
一粒だけ、涙を流した、最後の、強がり、
「では、わたしを忘れないように、刻んでおきます。」
(貴方の想い人のお兄様は明後日、結婚されるのですから、
それまでに、貴女をわたしが愛しましょう。)