今年で3回目の開催となる「ad:tech tokyo」は日本のみならず世界中のマーケター、広告会社、ソリューションサプライヤー、メディア事業者が集まり、デジタルマーケティングの将来を語り合うイベントで、既に昨年までの開催に参加した読者も多いはずだ。
この記事では、改めて「名前は知っているけど、ad:tech ってどんなイベント?」「行ってみたいけど、どう観ればよいの?」という疑問を持っている方に、「ad:tech tokyo」をビジネスに活かすためのヒントをご紹介しよう。
■ 「ad:tech tokyo」とは?
「ad:tech tokyo」とは、セールスプロモーション、ブランドマーケティング、PR、プロダクトマーケティング、リサーチ、クリエイティブ、テクノロジーなど様々な立場でデジタルマーケティングに関わっている人が一同に会する国際カンファレンスだ。参加者の業種も広告会社、ソリューションサプライヤー、制作会社、メーカー、販売会社、メディアなど様々。違う立場の人たちがそれぞれの知恵や課題を出し合い、お互いを刺激し新たなアイデアを生み出す場だと言えよう。
日本は今年で3回目の開催となるが、世界的には非常に歴史のあるイベントだ。海外では、ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、シンガポール、シドニー、メルボルン、ニューデリーの7都市で、それぞれの都市ならではのテーマで世界中のビジネスパーソンが活発な議論を展開している。東京での開催をきっかけに、日本人スピーカーが海外の「ad:tech」で登壇することも増えてきており、日本のトップランナーたちが積極的に海外で日本のデジタルマーケティングを発信しているのも特徴だ。
■ 「ad:tech tokyo」は、"観る"だけでは何も得られない
「ad:tech tokyo」が従来の展示会やセミナーと違うところ。それは「観る」ための場所ではなく、「語り合う」ための場所だという点だ。「議論し、そして学ぶ場だ」とも言えよう。ここで重要なのは、日常の業務やデジタルマーケティングに対する「疑問」や「課題」を持つという点だ。一方、自分自身が日常業務の中で感じたことや手応え、ソーシャルや広告など関心のあるテーマにに対する考えなどをまとめておくという作業も重要だ。
これらの「課題」や「疑問」、「テーマに対する考えやアイデア」を持つということは、「ad:tech tokyo」を構成する様々なコンテンツに参加する際におおいに活きてくる。
その代表的なものは、参加するプログラムの取捨選択とスケジュールの組み立てだ。「ad:tech tokyo」では、6つのキーノートプレゼンテーション、「ソーシャル」「モバイル」「ブランド」「効果測定」「ダイレクトマーケティング」「テクノロジー」など36のテーマ別セッションに147名のスピーカーが登場する。とても巨大なカンファレンススケジュール全てに参加することは不可能であり、あるいは忙しい業務の合間を縫って限られた時間のみ参加する人もいるだろう。
「ad:tech tokyo 2010」のキーノートプレゼンテーションの様子
当然、プログラムを眺めて興味のあるテーマのキーノートやセッションに参加することも良いが、課題や疑問を持たなければ、当然会場を後にする際に得られるアンサーやヒントもなく、せっかく参加しても何も自分自身の中に残るものはないだろう。「疑問や課題に関して語り合えるセッションはどれか」「疑問や課題に関してこのスピーカーの意見が聞きたい」という視点で参加セッションを選ぶことが重要になってくるのだ。
そして、参加するキーノートやセッションでは、ただスピーカーの意見を聞くだけでなく、(大勢の前だが恥ずかしがらずに!)課題や疑問、あるいは自分の意見をスピーカーに投げかけてみよう。きっとその課題や疑問に対するアンサーや示唆が得られたり、あるいはそれを導き出すためのヒントが得られるに違いない。
様々な議論や意見交換が行われるテーマ別セッション
ちなみに、「ad:tech tokyo」のプログラムは「デジタルマーケティングの教科書」と呼ばれているそうで、プログラムの内容やスピーカーの顔ぶれを見れば、いまの世界のデジタルマーケティングで何が「熱い話題」かがわかる。日常の課題や疑問だけでなく、「自分が知らない新しいデジタルマーケティングの世界」に興味関心を持てば、「ad:tech tokyo」がビジネスの現場でもっと役に立つことだろう。既に公式サイトでカンファレンススケジュールとスピーカー一覧を掲載しているので、スケジュールの組み立てなどの参考にしてほしい。
■ 世界中のイノベーションが集まる「エキシビジョン」
カンファレンスと双璧をなす大きなコンテンツなのが、「エキシビジョン」だ。日本国内を代表する企業のみならず、グローバルに活躍するソリューションサプライヤー、メディア、広告会社など120社が参加し、最先端のマーケティングテクノロジーやメディアソリューションの展示やプレゼンテーションを行う。いわば国内外のトップ企業が集まる「デジタルマーケティングの文化祭」とも言えよう。
毎年大盛況となるエキシビジョン会場
会場内ではあらゆるところで議論やプレゼンテーション、トークセッションなどのミニイベントが開催され、毎年まっすぐ歩くのも難しいくらいの大盛況となるのだが、ただ会場を歩きまわっていても、時間の無駄となってしまう。ここでも重要となるのは「疑問」と「課題」だ。
「エキシビジョン」に参加する企業は、いわば"その筋の一流"ばかりだ。当然、自分自身が知らないことを知っていて、疑問に対する答えを持っているはずだ。疑問や課題に対するヒントを持っていそうな企業とはどんどん交流して、疑問や考えをぶつけて、意見を聞いてみて欲しい。カンファレンスでは得られなかった手応えを見つけることができるはずだ。
そして、今年はアメリカで開催され好評の「イノベーションゾーン」が日本で初開催となる。これは、新進気鋭のベンチャー企業が70社集まり開催されるもので、今まで見たことのなかった「スゴイ技術」や「スゴイアイデア」を体験できるに違いない。
■ 「ネットワーキング」こそ、ad:tech の醍醐味
「ad:tech tokyo」に参加する上で重要なのは日々の業務やデジタルマーケティングにおける「疑問」と「課題」、そして「自分の考えを持つこと」だと語ってきた。しかし、それ以上に重要なのは、その「疑問」と「課題」を元に多くの人と「交流(ネットワーキング)する」ことだ。
「ad:tech tokyo」にやってくるスピーカーや参加者は人々は業種や立場は違えど、みなデジタルマーケティングの将来を考え、挑戦しようとしている「仲間」たちだ。それぞれの人が異なるバックグラウンドを持ち、そして課題を解決しようと、新たな発見をしようと会場に集まってくる。彼らと交流することで意見や課題を語り合い、あるいは自分が知らないアイデアや考えを学ぶ機会があれば、それは自分のビジネスにとって血となり肉となる。また、意気投合すれば末永いビジネスパートナーになるかもしれない。
会場で展開されるカンファレンス、エキシビジョンなどはあらゆる場所がネットワーキングの場だ。初めて名刺を交換する人も、デジタルマーケティングの世界では「仲間」だ。気軽に色々な人に話しかけ、交流してみよう。そして、「ad:tech tokyo」が用意しているコーヒーブレイクやランチ、1日目に予定しているネットワーキングパーティなどは、スピーカー、エキシビジョン企業、参加者など「ad:tech tokyo」に関わる全ての人が集まる巨大な交流の場だ。名刺を箱ごと持って、多くの仲間とデジタルマーケティングを語り合おう。
■ 「傍観者」になってはいけない
ここまで、「ad:tech tokyo」の活用法を紹介してきたが、重要なのは自分自身がこの巨大カンファレンスの「傍観者」になってはいけないということだ。確かに、目移りするような膨大なテーマセッションや数千人が一度に参加するキーノートプレゼンテーション、そして会場にあふれる多くの人を見れば、「ここで発言して、議論する」というイメージは持てないかもしれない。
しかし、ここで自分の自身の意見や考え、疑問や課題を声に出してみれば、その先にはその意見を聞いてくれる、疑問に答えてくれる「仲間」が待っている。多くの仲間たちとネットワーキングし、セッションで展開される議論にも参加すれば、「ad:tech tokyo」が傍観者として「観るもの」から、当事者として「参加するもの」になるはずだ。そして、2日間の日程を終える頃には、デジタルマーケティングの「少し先の世界」を知ることができるに違いない。