(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2013年2月18日号 掲載
■アジアをマーケットとして積極的に取り込んでいく
――頭取就任時に「真のグローバルバンクへ」という目標を明確に掲げられました。
「米国の『Fortune』誌が選ぶ上位500社という特集がありますが、かつて我々はFortune誌に掲載されるような企業にとって、“限定的な取引先”にしかすぎませんでした。しかし、今は違います。彼らからコアバンクとして認定されていて、米国だけでなく国際的にも他の邦銀より優位な立場にあると感じています。」
――バブル期に一時期、邦銀の国際的なプレゼンスが高まりましたが、現在との違いは何ですか。
「ご存じの通り日本の銀行はバブル経済崩壊後、不良債権処理に苦しんでいました。それが2004~05年頃にやっと一応の目処がつき、我々の資産は大変質のいいものに変わりました。今では流動性も非常に高く、我々の財務基盤は国際的に強い信頼を得てます。
こうした強固な財務基盤に支えられ、我々が進出している地域は、かつての欧米一辺倒から、アジア、中東、アフリカといったグローバルな地域に広がりをみせています」
――アジアへの戦略が鮮明です。
「頭取に就任してから約2年になりますが、海外出張の7割近くがアジア地域です。
<kd7 バッシュ >日本とアジアは地理的、文化的にも非常に近く、その潜在的な成長力に魅力を感じます。アジア開発銀行の予測によれば、50年には世界のGDPのおよそ半分はアジアが占めるといいます。アジア以外にも新興国は数多く存在しますが、この成長地域をマーケットとして積極的に取り込んでいくことが我々のメーン戦略となります」
――昨年には、カンボジアのプノンペンに駐在事務所、ミャンマーには出張所を設けました。
「アジアを魅力ある取引先として感じるのは、その“深み”ですね。これは、単なる『お金を貸す』『金を預ける』といった関係ではなく、現在日本の企業と同じように行っている決済業務、投資銀行業務などの新たなビジネスの可能性です。
こうした深みのあるビジネスを取り込んでいくための方法としては、2つあると思います。1つは、拠点を広げるアプローチです。もう1つは地元の金融機関と提携して、ノウハウを吸収しながら業務拡大をしていくアプローチです。
海外拠点は、先にあげたプノンペン、ミャンマーなどのアジアも含めて世界で03年の41拠点から現在61拠点にまで増えています。海外人員数を見ても現地採用の者たちを含めると6200名と、ボトムだった03年3月から比べると、倍以上の人員数です」
――昨年10月の部店長会議で頭取は「アジアにもう1つ銀行を創る気概を」といわれました。地元の金融機関との提携の先には、“買収”などを考えていますか。
「当然それも選択肢の1つかと思いますが、そう簡単に物事は進みません。まずは、08年に出資したベトナムの大手銀行であるベトナム輸出入銀行(エクシムバンク)のような形態になると思いますね。10年に4.73%を出資していた香港のバンクオブイーストアジア(東亜銀行)への出資比率を昨年9.5%にまで引き上げたのもその一環です」
――ベトナムのエクシムバンクの急成長ぶりからも、三井住友SMBCグループの持つ金融サービスのシナジー(相乗効果)が功を奏しているように思えます。
「エクシムバンクの場合、富裕層向けの窓口を設けたり、コンビニATMを設置したりするサービスなどが評価を受け、顧客数は倍増しました。それぞれの国情に合わせて戦略は、違ってきますが、こうした例にある通り、我々としては、大企業だけではなく中堅企業を含めたサプライチェーンを押さえにいく必要があります。
そして、その先にあるのがリテールですね。そこにはいろいろなマーケットが存在し、例えば消費者金融であればSMBCコンシューマーファイナンスがあり、実際に中国、香港でも業務を行っています。信販業務であればセディナがある。さらに自動車の販売金融など、あらゆるサービスを提供させていただいています。リテールと言っても国によって、アプローチの方法はそれぞれ違ってきますが、我々はアジアをマザーマーケットとした商業銀行を創っていきたいのです」
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