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 一肇(にのまえはじめ)は「幽式」や「フェノメノ」など彼岸の世界に惹(ひ)かれる若者を通じ、ホラーと青春小説が融合した独自の作品を送り出してきた作家。その新作となる「少女キネマ」は、映画という魔物に魅入られた人々を描く青春ミステリーだ。

 物語は、2浪の末に都内の私大へ入学、6畳一間で貧乏生活を営む十倉和成が、自室の屋根裏に隠れ住む ナイキ SB 子高生?黒坂さちを発見するところから始まる。本作の魅力は第一にオンボロ下宿に集う奇人変人たち。2浪仲間3人に、屋根裏の美少女、30代の大先輩らの韜晦(とうかい)とユーモアに満ちたやりとりは森見登美彦の作品を連想させる。けれどもページをめくるうちに見えてくるのは、その変わり者たちが胸に秘めた青い悩みであり、彼らの人間くさい一面だ。

 そもそも和成が長き浪人生活に耐えて上京したのは、横死した親友を追ってのこと。若くして映画の才能に目覚めた彼は、撮影中に大学の屋上から転落死していた。さちが自主制作映画のヒロインに抜擢(ばってき)されたのをキッカケに、和成は映画の世界に向きあう。友が残した未完のフィルムを手がかりに、その死の謎を追い、映画に取りつかれた人間の苦悩を身をもって知ることになる。