(フットボールチャンネル)
【フットボールサミット第21回】掲載
3トップ左のサマラスへのロングボールが中心
キム?ジンス「仙台でJリーグの開幕戦があって(3月1日○2-1)、そのあと東京まで新幹線で移動して一泊し、翌朝11時のフライトでギリシャに向かいました。柏のハン?グギョンと一緒に。フランクフルトを経由してアテネまで、15時間くらいですかね。長かった。時間が掛かるのはわかっていることですが(笑)。
ギリシャの情報は、事前にはほとんど持っていませんでした。知っている選手もセルティックでプレーするFWのサマラスだけでしたし。
試合前のミーティングは、ギリシャ代表の数試合を分析した映像を交えて行われました。だいたい20分くらいですね。そんなに長いものじゃありません。
そこで強調されたのは、ギリシャの選手の背の高さです。実際、試合でもロングボールが多かったんです。そしてみんな背が高いのですが、足下もうまい。ただ、瞬間的なスピードはそれほどでもなかったので、そこで韓国は優位に立つことができました。
ギリシャのシステムは4-3-3で、3トップの左に入るサマラスが攻撃の中心でした。センターFWのミトログルも背の高い選手でしたが(188センチ)、基本的にロングボールをサマラスにどんどん集めて、そこでキープしたり、ヘディングで落としたりしてそこからの展開を狙うのがギリシャの攻撃でしたね」
ゲカスの中央突破は要注意
キム?ジンス「韓国の右サイドバックのイ?ヨンは身長が180センチあるんですけど、サマラスは193センチもある(笑)。だから競り勝つのは難しいし、足下のうまさもあったから、カバーリングのところをみんなで一番、注意していました。
僕がマッチアップしたのはサルピンディキス。この選手は背は高くないですが(172センチ)、足が速くてうまい選手でしたね。どんどん仕掛けてくる選手だったので、まずはしっかり守備をしようと思いました。ただ32歳ということがあるかもしれませんが、そんなに走る量はなかった。僕がオーバーラップしても守備で付いてこなかったので、攻撃参加はしやすかったです。
ミーティングではセンターFWのゲカスについても『自信を持って縦に突破を仕掛けてくるし、うまくて要注意だ』と言われていました。メンバーにも選出されていましたが、試合直前にケガをしたようで、実際には出場しませんでした。
ハーフタイム、洪明甫監督からは『1-0でリードしているので、落ち着いてパスをつないだりキープをしたりして、韓国の時間を長くしていこう』という話がありました」
特に注意すべきはセットプレー
キム?ジンス「試合をやりながら、相手のプレッシャーはあまり感じなかったです。最初はみんな背が高くて威圧感もありましたけど、試合が始まってみるとパスサッカーじゃなく、ロングボールが多かった。だからカバーリングさえしっかりしておけば、それほど恐くなかったです。
プレーをするうちにどんどん自信がわいてきて、パスをつないだり裏を取ったりする韓国のスタイルも出せるようになりました。韓国の得点シーンも浮き球のパスに抜け出して、ディフェンスラインの背後を突いた形でした。
韓国は1トップですが、瞬間的なスピードにギリシャのDFはついていけないようでした。裏に抜け出すのも、そんなに難しくなかった。選手たちの体の大きさ、強さは、むしろ攻撃で生かされていたと思います。
後半、中盤に入ったカラグーニスは存在感がありました。うまくて、落ち着いていて、セットプレーも全部、蹴っていました。
韓国は2-0で勝ちましたが、ギリシャは決して弱いチームではありません。前半、CKからポスト直撃のシュートを打たれたり、危ない場面もけっこう作られたりしたし。特にセットプレーですね。背の高い選手が多いし、キックの精度も高いので、危険に感じました。
ギリシャの選手は体が大きく、足も長い。だから僕がドリブルするために2、3歩かかるところを、一歩でガッと寄せられるんです(苦笑)。それに慣れなくて、前半は思うような突破ができませんでした」
ワン?ツーについてこられない
キム?ジンス「でもワン?ツーやフリーランを狙い続けるうちに、だんだん裏を取れるようになっていきました。特にワン?ツーをうまく使えばいけますよ。ワン?ツーをするためにパスを出して走って、たとえばマークに付かれていてリターンが来なくても、そこで動き直せば振り切ることができます。
ギリシャの武器はロングボールでした。韓国は前からどんどんプレッシャーを掛けていったんですけど、それで自然にロングボールが多くなったのかもしれません。ギリシャの狙いは分かりませんが、前線の3人はキープ力があるし、実際、チャンスも作られましたから。
中盤の選手も、みんな体が強かったです。特に守備をするときの、フィジカルコンタクトの強さを感じましたね。パスもうまかったんですが、チーム自体ロングボールが多かったので、韓国との試合に限っては、ディフェンスラインから中盤につないでビルドアップしていく印象はありませんでした。
試合後、明甫監督から特別な話はありませんでしたが、『アウェイで勝ったことは良かった。本番では今日以上に厳しい試合になるから、今からしっかり準備していこう』と言われました。
ギリシャが韓国との試合で日本戦を想定したかったというのは、事前に聞いていました。韓国にとっても、ヨーロッパ選手の体の強さ、大きさを体感できた。いい経験になりました」
日本は韓国より試合のテンポが速い
キム?ジンス「ギリシャにとって、よいシミュレーションになったかは分かりません。韓国と日本とでは、サッカーが違いますからね。守り方やビルドアップの仕方が違うので。
一人ひとりの体の強さ、スピードは韓国が優れている。それに対して、日本は個人のテクニックが優れていると思います。守備では、韓国はどんどん前からプレッシャーを掛けていくけれど、日本はブロックを作る。そういう違いがあると思います。
試合のテンポも、日本は韓国よりも速く感じます。パスをつなぎながら同サイドに相手を引き寄せておいて、素早くサイドチェンジをする。逆サイドにできているスペースを使うのが、日本はうまいです。
日本代表で注目している選手ですか? 全員ですよ、だってみんなうまいじゃないですか。でも一番、注目するのは本田選手ですね。香川選手もうまいですが、本田選手はテクニックもパワーもあります。そういう力強いプレースタイルが僕は好きだし、セットプレーも蹴ることができて、得点に絡めますからね。
長友選手のプレーも、すごく好きです。サイドを攻め上がってクロスだけじゃなく、どんどん中に入っていって、ゴール前でもプレーするじゃないですか。パスしたり、シュートしたり。僕も同じサイドバックとして、そういうプレーができるようになりたいんです。
長友選手には、フィジカルの鍛え方も教えてもらいたいです。運動量もあるし、スピードもあるし、体も強い。決して体は大きくないけれど、インテルでレギュラーを務めているのは本当にすごいと思います。誰か、僕に長友選手の携帯の番号を教えてくれませんかね(笑)。(川又)堅碁は知らないかな?
3月にギリシャと試合をやってみて感じましたが、日本にも十分、勝つチャンスはあると思います。もちろんW杯に出場するチームはどこも強いですが、韓国の代表選手はみんな明甫監督のことを信じていて、言われたことをしっかりやる気持ちがとても強い。それを実践して2-0で勝った経験から、そう言えます」