(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2012年12月17日号 掲載
■「何かあったら鈴木が捕まってくれる」
上司や周囲に可愛げがあると思われるには、まずいつもニコニコして我を抑える必要がある。ただし、いい人だと思われるだけではだめだ。政治の世界では、「いい奴だ」は「間抜け」と同義である。
私は気性の激しいほうだが、中川一郎先生(元農林相、故人)の秘書となって最初の4年間は、大声を出したり、喧嘩をしないよう自分を抑えてきた。
ところが1973年8月に起きた金大中氏拉致事件の直後、日本テレビ「11PM」に中川先生と宇都宮徳馬代議士が生出演したときだった。当時中川先生は、金氏と対立する朴正煕(韓国大統領、当時)派と見られていて、宇都宮氏が「中川さんは朴大統領から金を貰っているから、大統領の擁護をするんだ」と言い放った。直後にCMに入ったから反論できない。スタジオで聞いていた私は激怒して、「コラ、宇都宮、いい加減なことをぬかすな」とCMの間に飛びかかっていった。放送後、中川先生は「鈴木、よくやった」と褒めてくれたが、それまで隠していた気性がこの一件でばれてしまった。しかし、時には激しく渡り合い、やるときはやる奴だと自分の新たな価値を示すことができ、さらに信頼を得ることになった。
もう1つ大切なことは、与えられた立場で頑張って努力すること。 高品質モンスター ヘッドホン -ステファンカリー バッシュ 書になって結婚するまで3年半、私は365日休まず働いた。「今までの秘書とは違う」と、中川先生からの信用は深まっていった。努力に勝る天才なしで、人並みなことをしていたら人並みで終わる。人より一生懸命汗を流すことで信頼が増し、可愛い奴だと思われるようになる。
中川先生の秘書だった頃の私は、約20人の秘書を束ねていた。中川先生が中小企業の社長だとすれば、私は専務か総務部長にあたるのだろうが、そういう立場から考えると、阿吽の呼吸、つまりこちらが言わなくても先手を打って動ける秘書が「可愛い」奴。換言すれば気が利く、先を読んで行動できる人のことだ。
普通は言われたことを言われた通りハイハイとこなせば可愛がられると考えがちだが、それではレベルが低い。言われたことは誰でもやるが、言われた以上のことをやってこそ価値がある。私自身もそれを実践してきたし、側で見ていた後輩の秘書たちも、今や代議士や北海道議会議員、市議会議員として活躍中だ。
やる気のない者は言われた通りにしか動かない。うちの秘書を見ても、私が指示したことをちゃんとやる人はいるが、それ以上のことをするかどうかは、その人の将来をも大きく左右すると思う。
秘書になったのはまだ学生だった21歳の頃だから、周囲は年上ばかり。人生の先輩への敬意を忘れず、立ち位置には気を配っていた。それもあってか竹下登先生(元首相)や安倍晋太郎先生(元外相)からも信用され、お小遣いを貰ったりした。「出る杭は打たれる」から、妬みやひがみを持たれることもあった。秘書仲間にとって、「おまえらも鈴木を見習え」と比較され、日曜日も働いたりと余計なことをする私は迷惑な存在だっただろう。でも、そう言われてこそ一丁前。働きの悪い連中の声に気を使う必要はない。努力しなければ人の上には立てないし、大切な人からは可愛がられない。
特に印象に残っている中川先生の言葉がある。ロッキード事件で田中角栄さん(元首相)が逮捕されたとき、マスコミのインタビューで感想を聞かれた中川先生は、「俺は、角さんのようにはならない。何かあったら鈴木が捕まってくれる」とはっきり言ってくれた。
要は、頑張って人一倍努力すること。言われたことだけこなしていては、所詮「人並み」止まり。周りも「可愛い奴」とまでは思ってくれない。社長や部長など人の上に立つ人は、豊富な経験を持つ自分と比べてどれだけ努力しているかを判断する。ちょっと軽いなと思えば切り捨てるし、なかなかのものだと判断すれば登用したいと思うものだ。
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新党大地代表 鈴木宗男1948年、北海道生まれ。拓殖大学在学中より中川一郎衆院議員秘書。83年、衆院選挙初当選。2002年、あっせん収賄などの容疑で逮捕。10年失職、収監。11年仮釈放、新党大地設立。
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(新党大地代表 鈴木宗男 構成=吉田茂人 撮影=永井 浩)