(ウレぴあ総研)
歌手であり、女優であり、ついでに高級娼婦でもある華麗な美女、マリア?マグダレーナが繰り広げる芝居?歌?トークなど、大人なお嬢様限定(!?)のエロティシズムと耽美にあふれた舞台「マグダラなマリア」シリーズの新作公演第五弾を紹介。舞台だからこそできる笑いや演出の数々に注目!
演劇はハードルの高いエンターテインメントだ。
テレビと違ってチャンネルを合わせれば流れてくるわけでもなく、映画のように一日5回、長期にわたって公開というわけにもいかない。舞台の上演回数は限られており、チケット代は映画よりはるかに高価である。かつては気楽な庶民の娯楽だったのかもしれないが、こと現代において演劇を見に行くハードルはけっして低いものではないのだ。
少し前まで筆者もそうだった。興味を持ったこともないわけではないが、チケットを購入して劇場まで足を運ぶにはいたらなかった。しかし、ひょんなことから見たとある演劇が、筆者の認識を180度変えることになる。
それが、「マグダラなマリア」シリーズである。
現在、池袋サンシャイン劇場で上演中のシリーズ5作目「マリア?マグダレーナ来日公演『マグダラなマリア』 ~ワインとタンゴと男と女とワイン~」は、筆者のように演劇に何となくハードルの高さを感じている人にこそ見てほしい舞台なのだ。
「マグダラなマリア」を一言で表すなら、"ミュージカルテイストのコメディ劇"といえばいいだろうか。原作?脚本?演出?音楽を一人でこなすのは、湯澤幸一郎。日本の演劇界にその名を轟かせる天才演出家であり、「マグダラなマリア」は彼の才能を存分に堪能できる場でもある。
本シリーズの主人公は、歌手であり女優でもあり、さらに高級娼婦でもある美女、マリア?マグダレーナ。演じるのはマリア?マグダレーナ自身……ということになっている。どこか湯澤幸一郎の面影を感じるのは気のせいである。たぶん。
そんなマリアが店主を務める高級娼館「魔愚堕裸屋」には、個性豊かなキャラクターが勢ぞろい。マリアの娼婦仲間であり親友でもあるグレイス(津田健次郎)や、執事のコバーケン(小林健一)などなど、一癖も二癖もあるキャラクターたちが、毎回抱腹絶倒のドタバタ劇を繰り広げるのだ。
本シリーズの最大の特徴は、出演陣が全員男性であるということ。女性も、少女も、老婆も、すべて男性が演じている。不思議なもので、テレビでは絶対放送できないような強烈なシモネタや毒混じりの風刺ネタが出てきても、それが女装したイケメンの口から発せられると何となく笑い飛ばせてしまうのだ。そしてまた、湯澤幸一郎が書く脚本には遠慮が一切ない。各方面に気を遣ったぬるい笑いではなく、ブラックで、世の中を一刀のもとに切り捨てるような鋭い笑いがそこかしこに散りばめられている。これはテレビなどプッシュ型のメディアでは絶対にできない笑いだ。舞台だからこそ、できるのだ。高いチケット代を払い、わざわざ劇場に足を運ぶ意味はここにある。
話が逸れたが、シリーズ5作目となる「マリア?マグダレーナ来日公演『マグダラなマリア』 ~ワインとタンゴと男と女とワイン~」でも、そうした"湯澤節"はたっぷりと堪能できる。
今回の舞台は「魔愚堕裸屋」を離れてアルゼンチンへ。おなじみのマリア、グレイス、コバーケンに加え、演歌歌手夫婦の黒海なぎさ(鯨井康介)と黒海ピロシ(別紙慶一)、かつて映画『つっぱりペーター』シリーズで活躍した名子役ペーター(豊永利行)らシリーズの人気キャラクターが再登場し、さらにマリアがかつて憧れた大女優カミーナ(岡幸二郎)も登場。とある事件をきっかけに、マリアの知られざる過去が少しずつ明らかになっていく。いつも通りミステリの要素を織り交ぜたストーリーは、謎が謎を呼ぶ巧みな構成で、最後まで目が離せない。登場キャラクターはレギュラー、準レギュラーが多いが、シリーズ作品を見ていなくても問題なく楽しめるのはさすがである。
また、「マグダラなマリア」のもう一つの大きな魅力である「歌」に関しても大いに期待してもらっていい。というのも、あのマリアが憧れたという大女優カミーナの登場に加え、今作では「歌」そのものがストーリーの大きなカギを握っているからだ。
マグダラシリーズを見たことない人のために説明しておくと、湯澤氏……じゃなかった、マリア?マグダレーナ嬢は、おそるべき歌唱力を備えた日本では珍しいカウンターテナー歌手である。これは、"そういう役どころ"ではなく、本当にそうなのだ(ややこしい……)。
この"圧倒的な歌声"を生で聴けるというのも、テレビや映画にはない、演劇ならではの強みである。もちろんマリア以外の出演者も歌唱力に関してはかなりの実力者ぞろいだが、いかんせんマリア?マグダレーナの歌声がすごすぎてかすんでしまう。
筆者は舞台の楽しみ方としてよく言われる「アドリブ」や、「場の空気の共有」「役者の成長」などはあまり重視しないが、じゃあなぜ「マグダラなマリア」をDVDではなく毎回劇場で見るのかというと、一つにはあの歌声を直接聴きたいからなのだ。
「マグダラなマリア」は、それまで演劇に興味のなかった筆者を一発で虜にしたすさまじい作品だ。たしかに演劇のチケットは高いし、見に行くためにスケジュールを合わせるのも大変だろう。しかし、それだけの価値は絶対にある。なぜなら、自主規制が進んでつまらなくなったエンタメ業界の中で、今もっとも面白いのは演劇だからだ。
マリア?マグダレーナ来日公演「マグダラなマリア」~ワインとタンゴと男と女とワイン~
歌手であり、女優であり、ついでに高級娼婦でもある華麗な美女、
マリア?マグダレーナが繰り広げる芝居?歌?トークなどなど、
大人なお嬢様限定(!?)のエロティシズムと耽美にあふれたステージ。待望の新作公演第五弾!
アルゼンチン公演の為ブエノスアイレスにやってきたマリアさん一行。旧友のワイナリーのおカミを訪ね、楽しいひと時も束の間、
身の毛もよだつ様な事件に巻き込まれてゆくのだった…。
■公演期間:2012/11/30(金) まで
■会場:サンシャイン劇場 (東京都)
★チケット購入はコチラ
[ http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1241191&afid=681 ]
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