gray-existence -2ページ目

gray-existence

ブログの説明を入力します。

片羽道化の演目

戯けた顔で空を掴みながら1人の道化があらわれ云う


「真実を知りたい?
それはとても高慢なことだね

あなただって あなた自身の本当を知らないのに
誰彼を問いただし責めたいのなら
神様か独裁者にでもなったらいい

それでも真実を知りたいんなら
片羽で飛んでみることだね

張りぼてでも 生まれつきでも
片羽でうまく飛べたら
あなたの求める真実が手に入る
例え地面へ落ちても
真実が身に沁みてわかるだろうさ


僕が知った真実はね
赤い涙が出るほどに痛くて笑えるってこと!」


片羽の道化が次々にあらわれる
空を掴みながら
町並みを模した張りぼての中へ迷い込んでいく

高層ビルの張りぼてへ次第に集まり
頂上へ登っていく

頂上には飛び降り台があって
皆笑顔でそこから飛び降りていく


下には落ちるもの達によって
染まる色がそれぞれに違う
不思議なプールが用意され
決して死ぬことはない

落ちて染まった身体で
張りぼての町へ跡をつけながら
ふらふらと彷徨い消えていく



「小屋の外でも みる人たちだ」

観客の1人の少年が悲しそうな顔をして言った

花売りはそんな少年の表情を見つけ
七色のポップコーンの花束を与えにいき
にっこり笑い話しかけた


「みんな演じているんだよ
小屋の外の人たちもきっとね
いつか君も何かを演じるかもしれないよ
全部が悲しいことではないから
怖がることはない

いまなら世界の色んな演目から選び放題さ
ポップコーンの花売りなんてオススメだよ!」

少年はくすくすと笑い
明るい表情を取り戻した


1人の片羽道化がくるくると舞い飛び
染まることなく地面に降り立った

喝采を博し片羽道化の演目はフィナーレを迎えた

26才最後の日、呼ばれている気がしてワタリウム美術館のノック展へ行った。


怖じ気づき縮こまるいつもの癖が出ているのがわかった。


でも構わず居続けた。





眼の中、頭の中に留まり種をまく文字の群れ。

研ぎ澄まされた美しいナイフで何度も刺される詩と映像がたくさんあった、とてもしんどかった。




見てはいけないものを見ている様な気持ちにさせるもの。

他の作家の作品もそういう要素はあるけれど、更に見辛く怖く思えた。





異様なもののパレード。

笑っていいのかわからない様な空気。

夢と現実の交差が絶妙なのだ。

仮面や化粧で覆っても

隠しきれない人間の生々しさが溢れていた。






汚いもの きれいなもの

恐ろしいもの 優しいもの

嘘 ホント

生 死





片方だけではいけない

成り立たないのだと

言葉でわかっていても、苦しく受け入れ難く感じる。






寺山さんだけでなく、多くの人が「嘘」の重要性を云う。



作品も人生も

つくりもの 物語 嘘 があるから面白いのだと。


わたしはいつもその言葉を受け入れられずにいる。

わたし自身、大なり小なり嘘を吐く。

それでも、嘘を嫌悪するのは何故かしらとずっと考えながら歩いていた。





演じること、騙すこと、ありもしないことを生み出すこと、という「嘘」はとても高度な技術だから、きっとわたしは羨んでいるのではないか。

笑ってはいけない様な、笑えない様な、賢い空気を漂わす嘘に嫉妬していたからではないかと。


そう考えると、あらゆるものごとへの羨望の眼差しも、説明がつく。




世界は嘘でできているのだ。



それはとても上手にずる賢く。




嘘が人を傷つけるというのは、信じさせた後、裏切るということ。


ありもしないものに、人は傷つかないのだ。


だから、傷つき泣いているのなら、それは確かにあったのだ。


嘘からホントが生まれたのだ。


感情の華は嘘で咲くのだ。




全て壊れた後で残るものだけを信じて、残りの多くの嘘は遊ばせておけばいい。







最近、人を見ていて思ったことと繋がっていく。




人間という醜く愚かで美しいものの全てを受け入れるのはむつかしい。

そんなことしたら、とても疲れてしまう。

下手をしたら死んでしまう。


だから、人は色んなものを捨てていく。

見ない振りをする。

老いていくにつれ、それは加速して増えていく気がする。


それは何も信じない、受け入れない、諦めではなく、寧ろ何か一つを受け入れ信じて生きていく為である。



わたしはいま、そしてこれから、何を捨て、何を騙し、何を信じることができるのか。





という問いをもらった、27才最初の夜。






餓鬼はわたしの中のばけものだ。

消してはいけないものだ。



悪夢を見続けよう。

わたしはそれと踊ることだってできる。



言葉と身体を使って世界の眼玉を集めることもできる、欺くことだってできる。












もう一つの嘘に対する嫌悪感の正体は忘れていくことだ。


自分は覚えているのに、あなたは忘れてしまったこと。


またはその反対のこと。


あるいは、全ての忘却。



嘘もホントも人は世界は多くを忘れていく。


仕方のないことだと思う。


ロボットではなく、神さまでもないから。




だから、想像と創造を残すのだ。




自分があなたが世界が無くなった後も、


痛みを喜びを与えられた事象が消えた後も、


遠くの知らない誰かに残るような問いかけるような嘘とホントを。


親愛なるデボラへ


物語が終わって
どれほどの時間が経ったかい


神様で悪魔の人たちは
夢を求め 夢を喰らい
君の片羽を奪って
純粋な胸を抉って
アルコールの海に沈んで
全て忘れた振りをしていたね



それでも君は笑っていたね
草花に水をやる時と変わらず笑っていたね


夢は与えるもの
夢は捧げるもの


そんな綺麗な心は
持ち続けられなくてもいい
淀み濁ってもいい


それでも想像/創造をすること
やめずにいることだ
それ自体が美しいことだから


歪な片羽を
潰れた片胸を
誇りに思う
新しい美しい物語は
そこから生まれてくるんだ


君がくれた開眼の花々が
夢の傍で
咲き誇っている



何も間違いはないから
想うままに生きるのだ

デボラ
君は誰よりも美しい人