死んだ王女と七人の豪傑の物語 | Эта музыка будет вечной - この歌は永遠に続く

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大好きなロシアのロックを毎日せっせと訳しています。リクエストも受け付けますので歌詞を知りたいロシア語曲がありましたらお気軽に!

近況報告とかそういうの苦手なんでさくっと割愛。
何食わぬ顔で更新再開します。ロシアのアニメは世界一!

プトゥシコ監督作品「サルタン王物語」がどこもかしこも掛け値なしにすっっっっっごく好きで、
その原作であるプーシキンの民話集(ロシア語原文)も持っているのだが、
先日他の収録作品を読もうとしてみて首を傾げた。


「死んだ王女と七人の豪傑の物語」って何だ?
(Сказка о мёртвой царевне и о семи богатырях)


白雪姫みたいー、と思ったら本当に白雪姫でした。
(あとになって全訳が載っているプーシキン全集を図書館で借りたところ、訳者後書きに

「作者プーシキンが乳母から聞いて書きとったものらしくこの話のメモが残っているので

原話はもともとロシヤ民話だったと見てよい」とあるんだが実に疑わしい。)
小人の代わりに七人の豪傑、王女を救うのは行きずりの王子ではなくちゃんと婚約者で、
ガラスの棺を力任せに叩き割って王女を蘇生させるという。か、かっこいい……。
更に調べてみたらアニメも発見。それもイワン・イワノフ=ワノ監督で。
(「せむしの仔馬」や「森は生きている」の監督)
プーシキン原作のイワン・イワノフ=ワノ監督作品、これが傑作じゃないわけあるかい。
なのに何故日本未公開なんだもはや意味わからん勿体ないにもほどがある。
だれもやらんなら私が対訳つけたるわ! ……や、対訳つけさせてくださいお願いします。


YouTubeにUPされているのは一部難ありなのでロシアのRuTubeより。
アメブロにRuTube貼る方法をいろいろ試してみたけど駄目でした! うっそアメブロ使えねえ!
仕方がないのでリンク貼ります。別窓で開いて日本語対訳とニ窓していただければ。
ちなみにこれ原作がプーシキンの物語詩だから、
「サルタン王物語」同様科白もナレーションもすべて詩の朗読です。
ロシア語の美しさを是非ともご堪能ください! ロシアのアニメは世界一!


http://rutube.ru/tracks/2264848.html?v=b2b839809cfba3419a8225ba114e7aed
Сказка о мёртвой царевне и о семи богатырях


00:48
王は王妃に別れを告げ
旅路への支度を整えた
王妃は窓辺に腰かけて
ひとり寂しく待ちわびた
いとしい人の姿はなく
吹きすさぶ吹雪ばかり
野原に雪が降り続け
地面は白く覆われた
ちょうどクリスマスの前夜
神は王妃に娘を授けた
遠くの国からついに
父なる王が帰国して
彼を目にした王妃は
深々と溜息をこぼし
歓喜も過ぎ去らぬうち
朝のミサの頃息絶えた

01:41
王は長いこと慰められず
だがどうだ 結局前の妻に背いた
虚しい夢のごとく一年が過ぎ
王は別の女と結婚した
真実を語ろう 若い妻は
まさしく王妃にふさわしく
すらりと背が高く 色白で
賢くすべてが秀でていたが
代わりに傲慢な気取り屋で
わがままだし嫉妬深かった
彼女の嫁入り道具には
手鏡がひとつあった
それは特別な手鏡で
なんと口が利けたのだ
手鏡とだけは 王妃とて
心穏やか ほがらかで
愛想もよく冗談めかして
品を作りつつ問いかける

02:24
―ねえ手鏡よ 答えておくれ
 真実を聞かせてちょうだい
 世界で一番愛くるしくて
 血色よく色白なのはこの私?

02:40
―あなたです 無論 疑いもなく
 あなたは誰より愛くるしくて 
 血色もよく色白です

03:01
ところが一方 うら若き王女は
ひそり静かに蕾ほころび
いつしかすくすく成長し
背も伸び そして花と開いた
白い顔 黒い眉
気立てもごく慎ましく
選び出された花婿は
エリセイという名の王子

03:27
―答えよ 世界で一番愛くるしくて
 血色よく色白なのはこの私?
―あなたは美しい 疑いもなく
 でも誰より愛くるしくて 
 血色もよく色白なのは王女様

03:54
―何だと 忌々しいガラスめ!
 私をからかっているのだろう
 だが答えろ どうしてあの娘が
 私よりも美しいのだ?
 誰よりも私は美しいと言え
 国中を見て回るがいい

04:14
―でも王女は誰よりも愛らしく
 血色よくて色白なのです

04:43
―王女を深い森に連れていけ
 生きたまま縛り上げ
 松の下に置き捨てて
 狼に食わせるのだ

06:53
―うるわしの乙女はどこだ?
―すべて仰せのとおりに
 森にてひとり立ち尽くし
 両肘は固く縛られて
 やがて獣の爪に陥れば
 もはやひとたまりもなく
 いっそ楽に死ねるでしょう
 
09:44
噂はたちまち広まった
王の娘が消えてしまった!
哀れな王は嘆き悲しみ
エリセイ王子は
神に祈りを捧げつつ
旅路についた
いとしい乙女のため
うら若き婚約者のため

11:29
―何たる不思議!
 どこも綺麗に片づいてるぞ
―誰かが屋敷を掃除してくれたんだ
 ここの主人を待っていたんだろう
―誰だ? 姿を見せなさい
 我らと仲よくなろう
―もし老人であれば
 永久に我らの叔父となれ
―健康な若者ならば
 義理の兄弟となれ
―年輩の女性なら母となれ
 我らは敬うだろう
―美しい娘ならば
 愛すべき妹となれ

12:41
同じように日々は過ぎ
うら若きお王女様は
七人の豪傑のもと
森で不自由も退屈もせず

夜の明けきる前に
兄達はみな仲睦まじく
馬にまたがり駆け回り
灰色の鴨を矢で落とす

14:47
兄弟は美しい乙女を愛し
夜が明けるや否や
彼女の部屋へ
七人揃って訪れた
長男は言った
―娘よ、我らの妹よ
 我ら七人はみな
 お前を愛している
 みながお前を娶れたら
 どんなに嬉しいことだろう
 だがそれは無理なのだ 
 どうか我らを和解させてくれ
 誰かひとりの妻となり
 他の者の妹となってくれ

 何故首を横に振るのだ?
 我々を拒むのか?
 誰のものにもならないか?

―ああ 誠実な若者よ
 私の実の兄様達
 嘘をつくくらいなら
 神に罰されるほうがまし
 どうすれば? 私は婚約しているの
 私にとってあなた達は
 みな同じだけ勇敢で賢いわ
 心から愛している
 でも私は他の人のものなのよ
 誰よりもいとおしい
 エリセイ王子さま

―悪気はなかった 我らを許してくれ
 こんな話はしなければよかった
―怒ったりしないわ

16:37
―ねえ手鏡よ 答えておくれ
 真実を聞かせてちょうだい
 世界で一番愛くるしくて
 血色よく色白なのはこの私?

―あなたは美しい 疑いもなく
 だが人知れずに
 かしの森のただ中で
 七人の豪傑と共に暮らす娘は
 あなたよりずっと美しい

18:32
―どうしたのかしら?
 きっとよく眠れなかったのね

―神の祝福を
 受け取ってください

 りんごを召し上がれ
 パンをありがとう

21:47
―お前は我らに愛されて
 恋人のために守られて
 誰のものにもならなかった
 だが棺がお前を奪う

22:04
―世界で一番愛くるしくて
 血色よく色白なのはこの私?
―あなたです 王妃よ 疑いもなく
 あなたは誰より愛くるしくて 
 血色もよく色白です

22:32
婚約者を捜して
エリセイ王子は
世界中を駆け巡っていた

22:42
―我らが光よ 太陽よ!
 お前は年中空を行き
 冬と暖かな春を導き
 我々すべてを見下ろしている
 私の問いを拒むのか?
 この世界のどこかで
 若い王女を見なかったか?
 私は彼女の婚約者なのだ

23:08
―我が光よ
 私は王女を見かけなかった
 もはや生きてはおるまい
 あるいは隣人の月ならば
 どこかで王女と会っただろう
 その痕跡に気付いただろう

23:40
―月よ月 我が友よ
 金色の三日月よ!
 お前は深い闇の中目覚め
 丸い顔に明るい目
 そんなお前を恋い慕い
 星々はまなざしを注ぐ
 私の問いを拒むのか?
 この世界のどこかで
 若い王女を見なかったか?
 私は彼女の婚約者なのだ

24:05
―我が兄弟よ
 美しい娘なら見なかった
 私が見張るのは
 己の管轄内だけ
 私の知らぬところを
 王女は行きすぎたのだろう

―忌々しい!

―待ちなさい おそらくは
 風なら手を貸してくれる
 今すぐ風を訪ねよ
 嘆くな さらばだ

24:41
―風よ風! お前は強い
 お前は雲を追い払い
 青き海を騒がせて
 広き野を駆け巡る
 私の問いを拒むのか?
 この世界のどこかで
 若い王女を見なかったか?
 私は彼女の婚約者なのだ

25:03
―待つがよい
 静かな小川の向こうに
 高い山がそびえ立ち 
 そこに深い洞穴がある
 その痛ましげな闇の中
 ガラスの棺が揺れている
 柱のあいだに吊されて
 あたりはからっぽ
 何者の痕跡もなく
 お前の王女は棺の中だ

28:00
―世界で一番愛くるしくて
 血色よく色白なのはこの私?
―あなたは美しい 言うまでもなく
 でも王女様はもっと愛くるしく
 血色もよく色白です

28:43
途端に絶望が襲い
王妃は息を引き取った
埋葬が済むとすぐに
結婚式が行われ
エリセイ王子は
王女と結ばれた

29:32
この世の初めまで遡ろうと
こんな酒宴はなかっただろう