RCサクセションは勿論リアルタイムで聴いてた訳ないし、忌野清志郎はなにやら奇抜な声とファッションの、ロックで自転車好きのオッサンぐらいの認識だったと思う。「雨上がりの夜空に」は、良い曲だと思ったけど、いまいち何故こんなに他のミュージシャンからリスペクトされているのか分からなかった。サウンドもノーマルに思えた。
忌野清志郎のライブを、生で見れたかもしれない機会が一度だけあった。それは初めて行った08年のフジロックでの事。もし間違っていたら申し訳ないが、最初発表された日割りでは、奇跡的な再始動を果たしたMy Bloody Valentine が3日目のトリを飾る予定で、仕事の都合上3日目しか行けなかったので、歓喜し、マイブラ見たさに参戦を決めたのだ。しかし、いつの間にかスケジュールが変更され、3日目が忌野清志郎となった。ショックを受けていた私に(もうチケットは購入済みだったので)、一緒に行く予定であったフジロッカーの友人が「その傷は俺達ニコガクの傷だ。お前だけが痛いんじゃねぇ、みんなが痛いんだ。」とは言わず、「フジロックとは特定のアーティストを見に行く所にあらず。その雰囲気を満喫する所なのだ。自然の中で昼間から酒を飲みまくり音楽を楽しむのだ。」と言われ、2秒で心を入れ替えた私は、初めてのフジロックに心を踊らせていたのでした。
しかし、癌の転移が発表された清志郎は結局キャンセルとなり、まさかの2日目のトリ・大トリが3日目もやるという事態に。越後湯沢駅に着いたら、いたるところで清志郎の曲が流れていて、たくさんの激励メッセージがあり少し感動した。個人的にはPrimal Scream が見れた事が嬉しかったし、ゆらゆら帝国の凄さに死ぬ程感動したのだけど、少し物足りなさもあった。09年5月2日、忌野清志郎はこの世を去った。この訃報を知った時、フジロックで清志郎が見れなかった事がなんか悔しく思えた。
RCサクセションのアルバムをちゃんと聴いたのはその後だった。なんかミーハーっぽくて嫌だったけど、聴きたかったからしょうがない。RCサクセションの曲の中でも特に好きな曲といえば、「トランジスタ・ラジオ」なのです。この曲を聴くと、高校時代のひたすら退屈だった頃にリンクする。清志郎の高校時代について書かれた曲らしいですが。学校に行きたくなかった。でも家にもいれなかったので、ドロップアウトした友達の家や公園でいつも時間を潰していた。一度だけ学校の屋上でサボっていた事がある。屋上は鍵が掛かっていたので窓ガラスを無理矢理外した。丘の上にあった高校の屋上からは地元の街が一望出来て、音楽以外に楽しい事もなく、早く大人になってここから出ていきたいという想いでいっぱいだった。
あの時屋上から見た景色と、あの頃の気持ちを「トランジスタ・ラジオ」は思い出させてくれる。そして実は全然自分は変わっていないんじゃないかという気もしてくる。平日の午前、澄み切った青空を見ながら少し高校時代にタイムスリップするのです。高校時代にこの曲と出会えていたら、もうちょっと救われてたかもね。
授業中アクビしてたら 口がでっかくなっちまった
居眠りばかりしてたら 目が小さくなっちまった
君の知らないメロディー 聴いた事のないヒット曲