東京公演の千秋楽を観てきました。
下手席からの観劇でした。
今までセンターブロックが4回(1階1列目、1階2列目、2階2列目、2階7列目)、上手ブロックが2回(1階4列目、8列目)だったので、最初で唯一の下手席。
初めて観えるものがいろいろありました。
ネタバレです。
まずは「伝統の歌(しきたり~♪)」の途中で、ロシア皇帝にも神のご加護があるという司祭様の言葉に唇をとがらせてるツァイテルちゃんが初めてちゃんと見えました←可愛い
そうそう、この冒頭のシーンで端的に「しきたり」や「ユダヤ人とロシア人との関係」などが描かれているのが上手い構成だなぁと思います。
パパ、ママ、息子、娘…それぞれの役割の中で生きているのがユダヤのしきたり、とか。
ロシア人が通りかかると、下を向いて無表情を装い、彼らが去っていくまでやり過ごすユダヤの人々、とか。
台詞だとつまらなくなるものを、ひとつのナンバーで楽しく魅せる…これはミュージカルならではですよね(^^)
あと、途中で馬かラバで揉めるシーンがありますが、ここでツァイテルとモーテルはふたりとも「ラバ」派なんですよね。
村中で揉めた当時、ふたりで「あれはラバだよねぇ」「そうだよね、わたしもそう思う」とか話してたこともあるのかなぁ、と思うとニヤニヤしちゃいます(笑)
千秋楽では客席から「しきたりっていつから始まったんですかぁ?」と声が飛んでいました!
パパは「おお、参加するねぇ」と言いながら、いつものように村人に「知ってる?」と聞いてまわります。そしてママに向かって「この辺は知ってそうだな」と千秋楽アドリブ(笑)
ママは苦笑しながら首を振ってましたが、確かにこのママなら千年くらいは生きていそうな気も←こらこら
客席参加型が大好きな姫は嬉しそうに笑ってました(^^)
さて、下手側から観えたものに話を戻します。(横道に逸れ過ぎですよ)
ラザールとの婚約を両親に告げられたツァイテルの、驚き→戸惑い→悲しみ→絶望となる表情の変化が見られるのは下手側ならでは。
ママに「私のはじめての花嫁さん」と言われた時のこわばった笑み…親の期待を裏切らないように良い子で生きてきた、いかにも長女らしい反応だなぁと思いました。
本当に姫って演技が上手いよねぇ~(しみじみ感動)
そして、モーテルとの結婚を許してもらって「ありがとうパパ!」と抱きついた時の弾けるような笑顔も、下手側ならではの眼福です(^^)
もう可愛いったらないですわ、こりゃパパも言うこと聞いちゃいますわ(笑)
この日は、奇蹟の歌の最後にツァイテルをお姫様抱っこした後、モーテルさんいつもより一回り多くクルリと回ってました←千秋楽サービスかしら?
そして、結婚式。
ツァイテルがワインを飲んでるのも下手席からの方がよく見えました←グラスを持つ指がとっても美しい
なにより、指輪をはめてもらった後に、その指をじっと見つめて幸せを噛みしめている表情がしっかり見えて、本当に良かったねツァイテルってじーんとしちゃった。
ああもう、姫ご本人も結婚しちゃいなよ!とか思った←え
他に下手席からならではの発見としては、テヴィエとラザールを中心に「口約束だ」「乾杯したぞ」と男たちが揉めているのを止めるパーチック…の向こうでテーブルに上ろうと頑張っている司祭様!
片足をテーブルにかけたまま「この若者は何を言い出すんじゃ?」とパーチックを見上げている司祭様がキュートすぎました!(*^▽^*)
そうそうまた横道に逸れますが、奥のテーブルで歓談するパパママと新郎新婦ですが、パパがワインを全員のグラスに注ぎます。
でも時々、パパはいたずらします。
千秋楽は普通にワインを注いでいましたが、26日ソワレでは葡萄の実を一粒ずつグラスに放り込んでました(笑)
そのグラスで乾杯した後、笑いながらお口をモグモグさせているツァイテルちゃん←演技こまかーい!
2幕。
下手から観て初めて、モーテルさんの店のドア外にもメズウザァ(戸口の箱)が付いてるのがわかりました。
そこに帰ってくるツァイテルちゃんもやっと見えたし、フョートカにミシンを自慢してドヤ顔するのもよく見えました(^▽^)
ここのシーンで、ロシア人のフョートカははメズウザァを無視なんだけど、彼を追って出てくるチャヴァはきちんと触れてキスするんですよね。
母や姉妹の目を気にして慌ててるのにもかかわらず…それくらい身に染み付いたしきたり。
この二人には乗り越えなくてはならない大きな壁があるんだなぁと感じました。パパが言う「鳥と魚が結婚する」というたとえ話も決して大げさでは無いのだろうと。
最後にクラクフに向かう二人…重い運命ですが、フョートカが彼女を守り切ったと信じたいです。
そして、店の中ではそんな三女たちと比較するように幸せそうな長女夫婦。
下手席からだと赤ちゃんに「ばぁ~」とするモーテルさんが見えました(≧∇≦)
ツァイテルちゃんはもう寝かせようとポンポンしてるのにパパってば(笑)
トークショーによるとさらに4人生まれるようですが、モーテルさんはテヴィエさんにも負けないくらいの子煩悩になりそうですね。
(で、ツァイテルちゃんはゴールデママみたいになるのかな^^;)
アナテフカから去る準備をするテヴィエ一家のところにチャヴァが訪ねてくるシーン。
長女が手を振って見送っているところ、センターや上手席からだとどうしても長女しか見てなかったのですが(←ファンなのでね^^)下手から観たおかげで、同じように手を振って、そして娘の未来を必死で祈るママの表情を見ることが出来ました。
そして、その様子を見つめるパパも。
テヴィエって本当に大きな人だと思います。娘のことも妻のことも大きな心で見守って、ユダヤ人としての運命も受け止めて。
「目には目を、歯には歯を」と抵抗を主張するラザールに対し「そんなことしたら世界中の目医者さんと歯医者さんが大忙しだ」とユーモアすら交えて諌めることができる。
(ここで客席で笑う人がいましたけど、私は笑えませんでした。でも舞台の村人たちは引きつりながらも笑ってる、笑おうとする…それが彼らの苦難を乗り越える手段なんですよね)
村人たちがなにかとテヴィエのところに集まってくるのは、そういう彼の大きさ故でしょうね。
このシーンでは、チャヴァとフョートカを見送るツァイテルの手の振り方がとても好きでした。
上手いんですよねぇ。
今チャヴァが振り返ったなとか、ふたりがだんだん離れていく様子が伝わるんです。
(その後ツァイテルたちを見送る四女五女の手の振り方を見ると違いが歴然)
芝居が上手いと劇場の空間が広がる…観客の想像を広げてくれる。
あらためて姫の演技が好きだなぁ~と思うシーンのひとつです。
最後に、個人的な意見ですがこの作品は下手側から観る構図になっているように思いました。
下手から観た絵がしっくりしてバランスが良く見えました。
例えばパーチックの登場シーンでも、下手側から観ると、パパたちがワイワイやっている向こう側の坂道からパーチックがやってきて自然に視界に入ってくるという感じ。
もしかしたら、パパが対話する神様が下手側にいるからかも…
2階の下手席から観てみたかったなぁ。
私は2階センターから観たときに「オペラグラスでテヴィエの世界を覗き見ているよう」と思ったんですが、水友さんが「スノードームみたいだよね」と言っていて成程!と思いました。
愛おしい世界を手のひらの中に包み込んで見つめているような…神様から見た視点が下手側なのかもしれません。
愛おしい世界。
本当に暖かい気持ちになり勇気を与えてもらえる作品でした。
まだまだ書きたいことはありますが、それはまた別記事に書きたいと思います。
これから3ヶ月、TATTOO14の初日まで水不足なので、自己補水のためにだらだら書くと思います(^^;
よろしければお付き合いください。
そして、これからのテヴィエ一家を、刈谷&大阪公演の成功を祈っております!!