とある週末。

 

買い物を終えて帰宅後、購入品をせっせとしまい、ばたばたと二人分のお昼ご飯を作ったぶどうさん。

 

いつものおきまりのパターンである。

 

後片付けをして食後のコーヒーを淹れようとして、あることに気が付いた。

 

コンロわきに仮置きしているまな板に、なにやら茶色いものが付いている。

 

洗い残しだろうか。

 

はて、今日はきくらげなんぞ切らなかったけどね?と近づいたとき、そいつはにょろにょろ動き出した。

 

毛のない毛虫のような、尺取虫のような芋虫1匹。

 

多分産直の野菜についていたのだろう。

 

まな板は木の一枚板で、かつ乾いていたので、その上でそいつを退治したくはない。

 

ちょっと面白くもあったので夫を呼ぶと、自分が何とかするという。

 

そして、おもむろにビニル袋を手に取り、そいつをその中に入れた。

 

すかさず「その中に殺虫剤を入れて、ベランダにだしといてね」と声をかけると、

 

夫は「芋虫には殺虫剤は効かない」とのたまう。

 

!!また始まったよ・・・と思いつつ、

 

「じゃ、踏みつぶしといて」と、容赦ない言葉をかけたが、夫は聞く耳もたずそのまま放置されてしまった。

 

ベランダには植物の鉢がいくつもあるため、そいつがはびっこってはたまらない。

 

あきらめてそのまま珈琲を淹れて、その後虫入りのビニル袋のことなどすっかり忘れていたが。

 

1週間後。

 

ベランダの壁に、毛虫が1匹くっついているのを発見したぶどうさん。

 

まさか、あの芋虫?

 

だけど、ちょっと外見が違う。毛が少し生えてるし、虫にしては成長が遅い。

 

それにビニル袋は穴が開いていないのを確認して使ったし。

 

慌てて例のビニル袋を見ると、死骸らしきものがない。

 

あるのは、糞のみ。

 

口はしっかり閉じられている。

 

どうやって抜け出したのだろう。

 

夫がゆるゆるに縛っていたビニル袋の口のほうから、迷宮を抜け出すように脱出したのか?

 

そう思ってビニル袋をしげしげ眺めて、謎が解けた。

 

あいつが袋をかじって穴をあけて、脱走していたのだ!

 

葉っぱをかじるんだもの、うっすいビニル袋くらいかじれるに決まっているよね。

 

それにしても、発見できてよかった。

 

夫を睨みながら、かじられたビニル袋にそいつをとらえ、むぎゅっと踏みつぶした野生児ぶどうさん。

 

毛虫には大変申し訳ないが、薬剤をまくよりずっと環境によろしいので、勘弁してもらうことにした。

 

それにしても、芋虫もやるよのう。

 

その知恵に感心するぶどうであった。