窓の外を眺めると、カラスの姿を見かけるようになった。


その数、5羽。

なぜかいつも一緒に集っている。


4羽が一緒に散歩しているところを1羽が見守るように少し離れてみているので、もしかしたら親子かもしれないが、カラスの生態がさっぱりわからないので断言は避けておこう。


カラスといえば、カラスの歌を思い出す。

その歌では、カラスの巣は山の中にあることになっている。


ところがここ北国では、普通の住宅街の街路樹に巣があるらしい。

はっきりとこの目で見たことはないけれど、毎年そこで子育てをするらしい。


カラスは賢いので、変にジロジロみて威嚇されても嫌なので確認に行ったことはないものの、夕暮れ時に噂の場所にカラスが数羽いることには気がついていた。


カラスの声も頻繁にするから、確実にねぐらがあって、そこを中心として生活しているのだろう。


おそらくその4羽、いや5羽、もしかしたら6羽は、この近辺に住所のあるカラスなのだろう。


しかし、さて困った。


ぶどうさんちの近くには、いくつかごみステーションがある。

そのいくつかは、通るたび必ずごみの残骸が散乱している。


北国に野良猫はすくないので、荒らすのはカラスと想像される。


荒らされているのはいつも同じ場所。

ごみの出し方が悪いのか、ごみの収集が遅すぎるのか、ごみを出した後掃除をしないのか、理由はどれかなのだろう。


一方で、ぶどうさんの住むところのごみステーションは殆ど荒らされない。

荒らされたのは過去数回のみで、しつこい襲撃にあってはいない。


しっかりとカラスよけのネットをかけていれば、何とか防げているのである。

今まではそうであったが、4羽もカラスが遊びに来るようになったのでは、安心は出来ない。


ごみ収集車が早い時間に来てくれれば少しは安心できるものの、最近来るのは昼近くである。

それまでごみはステーションに放置されたままである。


幸い餌が豊富なのか、それともまだごみを漁ることを覚えていないのか、4羽がごみを狙ってステーションをうろつくことはない。


敷地内にいるからといって何も悪いことをしていないカラスを追い払う行為はリスクが高いし、追い払うことも難しいだろう。


存在を気にしつつも結局できることは、カラスを誘惑しないようごみ袋から生ごみが見えないように包んで出し、ネットをしっかりかけることくらいである。


ステーションを利用する他の人がこれを意識して実行しているかどうかはわからないが、この2ヶ月は事なきを得ているので、皆さん同じ気持ちで行動しているに違いない。


カラスだって、ただの鳥。

なまじ頭がいいだけに変な方向に厄介なこの鳥は、人間と共存するといってもあまり歓迎されているわけではない。


それは都会でも田舎でも同じ。


できるならこのまま、この4羽がごみ漁りを覚えずにいてくれたらいいのになあと願わずにいられない。

野生のものは人間と離れて野に生きるのが一番なのだから。


いつしかカラスは純粋な野生のものではなくなってしまった。

それはカラスのせいではない。

人間が野を壊して侵食したからであり、人間があらゆるものをきちんと始末をしてこなかったせいでもある。


恐らく成長したばかりと思われる4羽のカラスが巣立つ日はいつなのだろう。

カラスの群れが近所で見られないということは、巣立ちをしているということなのだろうし。


いや、そんなことを気にするよりは、自分の始末をしっかりして世界のルールを守ろうと誓うぶどうであった。