とある昼下がり。
図書館で借りた本を眺めていたぶどうさんは、突然あるページに釘付けになった。
そのページには土鍋に入った「味噌煮込みうどん」の写真がデーンと掲載されていた。
味噌煮込みうどん。
この名称で呼ばれるものは、ただ1つ。
名古屋の豆味噌で作った、鍋焼きうどんの一種だ。
味噌煮込みうどんをしかし鍋焼きうどんというのかどうかは、実のところ妥当かどうか、いささか心もとない。
ぶどうさんが生まれ育ったところで鍋焼きうどんといえば、澄まし汁に具が沢山入った、土鍋でちょっぴり煮込んだうどんのことだからだ。
味噌煮込みうどんは、見た目からしてそれとかなり違う。
こういっちゃ失礼だが見た目も味もかなりくどそうだ。
おまけにぶどうさんが大の苦手としている豆味噌だ。
八丁味噌に赤だし味噌は、供されれば食べはするものの、どうしても好きになれない。
もともと味噌味があまり得意でない。
よって味噌で味付けした料理はあまり食べない。食べるのは毎朝の味噌汁位だ。
味噌汁は、北国にいるため米味噌だがどちらかというと故郷の甘い麦味噌が好きだ。
そう、味噌は甘いのが好き。
米味噌も、麹の比率の高い甘いものが好みだ。
豆味噌は、甘くない。
甘くない上に渋くてえぐい。
麦味噌王国に生まれ育った故、豆味噌の味自体が未体験ゾーンであった十年ほど前。
調味料に凝り始めたぶどうさんは、とある通販で、本場ものの豆味噌を購入した。
なぜに通販で手に入れたかというと、西の国ではデパートにさえ豆味噌を置いていなかったからだ。
そして、食べてみて驚愕。
「・・・・・・」
今から考えてみれば、豆味噌100%でお味噌汁を作る人っているのかどうか・・・
大抵は米味噌をあわせた赤出汁味噌にするようであるのに、無知なぶどうさんはそのまま使ってしまったのだ。
えぐくてまずい。
これが最初の感想であり、それからずっと豆味噌を買うのは控えていたのだが。
忘れた頃に、たまたま開いた料理本に載っていた「味噌煮込みうどん」
なんだか作ってみたい。
というより、食べてみたい。
見た目くどいけど、なぜだかおいしそうに見える。
かなりあったまりそうな感じもするし。
たまたま近くのスーパーに八丁味噌を置いていることだけは発見していたし、味噌煮込みうどんの作り方自体は難しそうではない。
こうなったらぶどうさんの頭の中は、味噌煮込みうどんのことで頭がいっぱい。
いそいそとスーパーに向かい、八丁味噌を手にいれ、料理本を参考にテキトーに作ってみたところ。
うまい!
なーんとおいしいんだろう。
ちょうどいい土鍋がなくて二人前まとめ作っちゃったし、具は適当だし、本場の味は全然わからないけど。
ちょっとばかり味が濃くて汁は飲んでしまえなかったが、(ってか、汁は残らないの????)とにかくおいしいのだ。
豆味噌のあのえぐみは、渋みはどこへ行ってしまったのだろう。
どうやらぶどうさんは、豆味噌の使い方がわかっていなかったようだったのだ。
豆味噌は煮込んだり練ったりしても風味が飛ばず、うまみだけが残るように出来ているようなのだ。
なーんだ、損した。
食わず嫌いというよりは、使い方を知らずに失敗して意味もなく敬遠してきただけだったなんて。
人間いつでも謙虚になって、はじめてのものは使い道や使い方を学ばねばならないのだなあと、10年の月日損してきた愚かさにただただ苦笑い。
当たって砕けろのファイトは大事、でも砕ける覚悟があるのなら一応周到に情報を手に入れて分析、対策を練っておくほうが効率がいいってことなんだろう。
情報が氾濫する世の中だもの、自分でつかめることはしっかりつかむ、これ大事。
万事この調子で、がんばっていきましょー!
さ、みなさんもご一緒に♪