今朝は雪が降り積もった。
すっかり冬になった北国には、先日から焼き芋屋が回ってくるようになった。
北国の焼き芋屋は語らない。
日本全国どこへ行っても「い~しや~きいも~、焼きいもっ」というフレーズを叫ぶのが焼き芋屋かと思い込んでいたが、どうもそうではないらしい。
奥ゆかしく?控えめに「ぴーーーー(ぽーーー?)」という縦笛のような音をだしながら軽トラでやってくる。
ぶどうさんははじめこの音がなんなのか、さっぱりわからなかった。
ある日、子沢山のご近所さんが家族全員でその音の方向へ行っているのをたまたまみたことがあった。
子供達は嬉しそうに跳ねていて、夜遅く外は寒いというのになぜか楽しそう。
しかしその疑問はすぐに解けた。
焼き芋屋に買いにでていたのだ。
このことがきっかけで、その音の正体を知ることになった。
それ以来、よく聞いていると焼き芋屋はぶどうさんのアパート近くになるとスピードを緩めることがわかった。
買いに来る人がいるだろうことを知っているのだろう。
ところが、その家族はしばらくして引っ越してしまった。
焼き芋屋はそれからも回ってきているようだったが、程なくしてあまり来なくなった。
顧客や地域情報を細かく調べて巡廻しているのだろうか、お見事としか言いようの無い洞察力。
あっぱれ、焼き芋屋。
サザエさんちの近くを通るときも、きっとサザエさんが追っかけてこなくていいように速度を緩めているに違いないと焼き芋屋の心理を読むぶどうであった。