いよいよおのぼりさん最終話。


常日頃ケチでセコイぶどうさん、自分で稼がないくせに、いや稼がないからこそ使うお金にうるさい女である。

今回の旅行ではお金がらみで学ぶことがあった。


旅費をケチったぶどうさん、激安パックを迷わずチョイス。

激安なため、条件は甚だ悪し。

ホテルだけじゃなく、行き帰りの新幹線の時間帯も条件が悪い。


前日に東京に着き、用事を済ませてその日中に帰り着ければいいのだからと、考えた末妥協した。

行きは昼近くにでてお昼をはさんで夕方近くに着く列車、帰りは最終列車。


この乗り合わせた列車の中で起こる悲喜こもごものドラマ・・ってものはなかったが、暇ゆえに他人のお買い物事情を観察することになった。


数時間に及ぶ新幹線の旅(大袈裟)、乗客はただ座っているしかない。

そしてそこには必ず車内販売が登場する。


弁当、各地のお土産、飲み物にお菓子にアイス。

外界から閉ざされた空間の走行中の車両に、お店が突如出現する。
まるでドラえもんのポケットだ。


ただ座っているしかない客は、時間をつぶすために寝るか雑誌を読むか、しゃべるか、食べるか飲むか。

退屈極まりない時間の中にタイミングよく現れる車内販売のカートは、注目をあびるでなし淡々と通り過ぎるかにみえて実は乗客の心に微妙な変化をもたらしているかに思える。


午前中からお昼をはさんだ東京行きの列車のこと。

車内販売のカートはお弁当を積んで何度も行き来をしていた。

売れているらしいのはコーヒーかお弁当。

午前中の列車ゆえどちらかというと「目的地へ行く」ための乗客が多いせいか、気晴らしのコーヒーか食事の要望が多いようだった。


ぶどうさんの前に座ったご夫婦は、お昼近くになってやってきた車内販売のカートをとめて、同じお弁当を2つ購入し仲良く楽しそうに食べていた。

なんだかとってもほほえましい。


ぶどうさんは東京についてから食べ歩く予定があったので、お昼はおにぎりと飲み物を持参していた。

朝の残りで作ったおにぎりとペットボトルに詰めた水。

しめて50円にも満たない。


車内販売のお弁当は大体1000円くらい。

おにぎりの20倍。

ちょっと早起きして用意するだけのおにぎりの節約効果は絶大である。

外食のなんと高価なことよと感心した。


と同時に、人によっては列車にのって弁当を買い求めるという「その行為自体」を楽しみにしている人もいるのだと思えば、旅の一こまの1000円のお弁当は安くて楽しいものとなる。

1000円の娯楽効果といったらよいのだろうか。


前に座っていたご夫婦は、奥さんの手間を省くため若しくは旅の楽しみのためにお弁当を購入していたのかもしれない。

自前の弁当に比べたら高価ではあるけど、楽しい時間にはかえられないからこそ買っていたのかもしれないし。


これまでのぶどうさんだったら、車内販売で種類を選べもしない弁当を買うのはナンセンスで、事前に用意するか列車を降りてから値段と中身に見合ったものを購入する以外考えられなかった。



しかし一枚の千円札の持つ意味は、自分だけの物差しでは計れないのだと気がついた。

1000円で車内販売弁当を買うのも、あり。

もっとも、自分のお金の価値を決めるのは自分自身でしかないのだけれど。


ぶどうさんは、見方を変えることはできたけど、多分これからもおにぎり派(笑)

安いし、安全だし、手軽だし、ほかに食べ歩くためには軽く済ませとかなきゃね!ってことで。


まあ食べ歩きの部分が、弁当との差額以上な気もしないではないが・・・・・



はからずも話は翌日までつづくことになった。

東京をうろうろした後夜遅く最終列車に乗り込んで、またまた車内販売をめぐってお金について考えることになったのである。


すみません、つづきます・・・