お。
はて、一体何のことやら。
おやおや、おつむに映らないようだね。接頭語のお、だよ。
ああ、その「お」、ね。
言葉とは移ろうもの、時間とともに変化するもの、意味すら変わっていくものだが、言葉の使い方も変わっていくもんだなあと思わずにいられない。
尊敬語や謙譲語、丁寧語の区別がなくなってきた昨今。
いや、なくなりはしないのだが、日本人がだんだん使い分けられなくなってきたというところだろうか。
その一方で、変なところに丁寧な言葉使いをする人が増えてきた。
この頃気になるのが「お」。
「お」は接頭語だから、つければ丁寧語になる便利なもの。
丁寧にするだけでなく、会話のなかであたりを柔らかくするのに活用したりもする。
元来外来語にはつけない。
外来語だけでなく日本語でもつけないものにはつけない。
それなのに、妙なものに「お」がついていて、気持ち悪いときがある。
たとえば、お粉。
お粉といえば、おしろいかと思われるがそうではない。
料理やレシピ系のブログや教室で、小麦粉のことをお粉といっているのだ。
・・・・気持ち悪い。
さらにその教室のことをお教室。
・・・・セレブの集まり?
また、自分の子供のことをお子。
・・・・誰の子よ?
名詞だけではない。
例えばぶどうさんもブログでたまに書いているお安い、お高いのお。
一体誰に、何に媚びているんだろう?
使って便利な言葉、お。
言葉あたりを柔らかくしたり、そのものズバリを言うと粗野で耳障りにさえ聞こえる言葉をうまくオブラートにくるんでくれる言葉。
上手に使えば対話を円滑にし雰囲気を柔らかくするものだろうが、何でもかんでもに使ってしまうと鼻につく。
それでも使うのをやめないどころかますます変な使い方が増えている理由は、人と人との関係に信頼がなく、自分に自信がなく、何かにおびえているからなのだろうか。
たかが「お」。
おみかん、おビール、お写真、お色。
女お言葉でおを連発すれば、上品ぶったイヤミな女にしか映らない。
おをつけたところで丁寧になるわけじゃない日本語。
ちゃんとした日本語を話し、書くことは、マダムの務め。
こころして「お」を使うべし、と肝に銘じるぶどうであった。