調理道具の見直しをすすめているぶどうさん。


思えば深い考えもなく手に入れてきた道具達。

そのさいたるものが、なべ類であった。


調理器具や大物家電は拘って買うのに、なべに関してはさほど拘って買ったモノはない、

関心がなかったからではなく、関心がありすぎて「憧れ」に近くなってしまい無意識に願望を無視していたのだ。


そもそも憧れの始まりはクリステル。

結婚したらクリステルを買おうなどど夢見ていたのだ。


当時はLシリーズやMPシリーズなどはなく(紹介されていなかった?)グラフィットのみ。

通販などなく、デパートで定価買いするほどにお金を持ち合わせていなかった私は、いつかお金持ちになったら買おうと決めていた。


結婚祝いでフィスラーの鍋をもらったの、すごくいいのよ、という知人の言葉に、いい鍋ってお料理がじょうずになるのだろうかと疑問を持ちつつやはりそのまま。


そして生活は流れていくもの。

手持ちの鍋や買いやすい値段のなべ、便利なテフロンフライパンを使いこなしクリステルのことを考えつつデパートでため息をついてはいつか・・を十年以上も繰り返してしまっていた。


ところがある日。

とうとう、憧れの鍋を買う決心をした。


クリステルに新しいシリーズが加わり、私の好みにぴったりでかつ蓋の収納性までよくなって、まるでその時が来たかのように思えたからだ。


残念なことにその頃なぜかクリステルはグラフィットともども品薄となっていた。

お値段も殆ど定価。


ちょっとけちな私は(いや、かなり)もう少し待つことにした。

同時に、数年前にやはり知人が十得鍋を手にいれ、デザインはイマイチだけどとても使勝手が良いという言葉を思い出していた。


私も同感だった。

昭和のにおいがぷんぷんするレトロな、しかし中途半端に斬新な形の十得鍋。絶対買わない。


そう思いつつ、見れば見るほど洗い易くかき混ぜやすく思えてくる。

なによりお値段がいい。


クリステル1個の値段で、十得鍋3つくらい来る。

全面多層で底面多層の継ぎ目もない。

・・・でもダサい。

それなら同じ会社で作られているジオシリーズが性能がいい。ただし場所とるから却下。


ちょっとやそっとでは壊れないお鍋のこと、使い始めたら10年20年は絶対にもつはず。

それなら一番気に入ったものにしなきゃいけない。

やっぱりクリステルにしよう!

第一時間の無駄だ。さっさと買って使い始めなくちゃそれこそ時間がもったいない。


そう覚悟を決めたのに、なぜか十得鍋の特別パックを発見してしまった私。

なにやら蒸し器がついているらしい。


そしてセットのお値段が・・・安いっ!


で、十年以上悩んだ重大事案は、あっさりと十得鍋に軍配があがったのである。


けれどそこはそれ、クリステルに未練はあった。

やっぱりクリステルにすればよかったかな~~~~と思う日も無きにしも非ず。


気に入ったものを買わなかった後悔と言うのは自分の馬鹿さ加減を見せ付けられるようで、なんとも始末が悪い。


特に、消耗品ではなく耐久資材に近いものは見るたびにモヤモヤするものがあった。


そして今。


もうクリステルに未練は全くない。

なぜなら、十得鍋に大満足だから・・・ではない。


十得鍋になれた今、そしてそのよさを知った今、次に買うなら同じような性能の鍋ではなくもっと良いものが欲しいから。


まさかそんな解決を見るとは自分でも思っても見なかったが、人間とは欲深いものだ。

より良いもの、が欲しいなど贅沢極まりないが、現物が壊れない限りは同じようなものなど必要ない。


そんなこんなで、再びお鍋、〇〇パンの旅が新たに始まったのであった。


つづく







・・・・・・・のか?