カレーは朝から仕込むと決めているぶどうさん。


カレーは作るのが一仕事。

なんでカレーが手軽なのか、全然意味がわからない。


なにしろ、夫はカレーが大好き。

期待を裏切ってはいけないと、カレーを作るときは真剣勝負なのだ。


しかしそこは暑い夏のこと。

腰痛もあってちょっと自分を甘やかし気味の私は、夕方にカレーを思い立ってしまった。


なんとかなるさ~と、なんだかいつになく気楽な気分。

なにしろ自分に甘甘状態なので、失敗しても夫は許してくれるだろうと踏んだのだ。


さらに悪いことに、今までカレーには使ったことがない多層鍋を実験的に使ってみようと思い立つ始末。


いつもはフライパンで別に炒めて保温鍋に移すが、この多層鍋なら炒めて煮込むことができる。

夏場で冷蔵庫に空きも無し、大量につくって大仕事にするのはやめることにした。


急ごしらえのカレー。


いつもよりずっと小さな規模に戸惑いながら少ない材料でさくさくと作業を進める。

おお、手軽だ!


多層鍋は保温効果が高いので、何度か温めなおしをしながら保温調理することにした。


・・・・・なのだが。


いつまでたってもじゃがいもが硬い。

角が取れてもいいくらいの時間たっているのに、全く崩れず生のようにころころしている。


おかしい。


あまりにじゃがいもの状態が芳しくないので、ついに竹串を突き刺して火の通り加減を確かめた。


煮えてはいる。


煮えてはいるのに、なんだろう、この違和感存在感。


そうこうしているうちに夫から帰るコールが。

とうとう年貢の納め時のようだ。


においをかぎつけて、今晩はカレーだね!と開口一番に笑顔の夫。


裏切るのに忍びないが、覚悟を決めてカレーを供した。


見た目普通の、じゃがいもだけがなぜか存在を主張しているカレーを見た夫曰く。


「随分じゃがいもがごろごろしているねえ。・・・硬いし。」


それでも火は通っているのだとやんわり言うと。


「そのようだねえ、きっとこんなじゃがいもなんだよ。インパクトの強いじゃがいもだね~」


そうか、そういうことだったのか。

このインパクトじゃがに翻弄されてしまっていただけだったのか。


カレーの失敗は結局じゃがいものせいとなり、一件落着したぶどうんちであった。


インパクトじゃがさん、ありがとう。