引っ越して新しい家に来たばかりのころ、寝る向きに悩んだ。
基本的には北か東かにしたいところだったが、どうも具合が悪い。
北には窓が、東には押入れがあり、頭に風が吹いて異常に寒いのだ。
さらに出入り口が西側端にしかない。
布団でいっぱいになる部屋に頭の部分を考慮して布団を敷くと、通路を確保できない。
そんな不都合を感じつつ、一応北、東、西、南それぞれの寝心地を試して枕の向きを決定した。
一番都合がよかったのは西。
そして西は寝心地は悪くはなかった。
以前ミーハー風水オタクだった私は、西枕は年配者向きでふけるので嫌だなと思ったものの、便利さにかえられずそのままにしていた。
さて、それから暫く時は流れ~
ちょうど夫が出張でいないという日、私は大量の洗濯物をした。
シーツやベッドパッドなどの大物に、夫の家着類などなど。
冬の天候不順な折にこんなものを洗ってしまっては乾くわけもない。
しかし、夫は不在。
夜まで部屋中に洗濯物をぶら下げれば大丈夫だろうとたかをくくっていた。
けれど、そう甘くはなかった。
部屋干にありがちだが、どうも本当に乾いている感じがしないのだ。
これではたたんでしまうことも、どこかに放り投げておくこともできない。
仕方なく部屋中に洗濯物をぶら下げたまま寝ることにした。
けれど洗濯物は一面に干してある。洗濯物の下で寝るのはいささか不快だ。
考えた末、枕の向きを反対にすることを思いついた。
東向きなら洗濯物がちょうどない場所に枕が来る、と気がついたのだ。
いそいそと布団を敷きさあ、就寝。
・・・・・・・・・が。
眠れない。
どうにも眠れない。
目を閉じていれば洗濯物は見えないのだけど、とにかく眠れないのだ。
けれど、もう洗濯物を整理しなおす気力はなし、西向きに枕を持っていく元気もなかった。
結局ほとんど眠れずに朝を迎えてしまった。
敗因は、ずばり洗濯物ではなく枕の向き。
枕の向きは、自分にあった方向が一番だと、このとき初めてわかったのであった。
マダムは毎日快眠で元気いっぱい。枕の向きに気を払い質の高い睡眠をとるべし