手軽なおやつに、とシフォンケーキを焼いた。
短時間でさっと形になってそのまま食べられるから、ついつい何か作る必要があるときにこれを作ってしまう。
シフォンケーキは手ごろな値段でいろんなところで売られている。
カフェではクリーム類と一緒にすまし顔で供される。
お店によって、作り手によって、材料によって、いろんなバリエーションが楽しめるシフォンケーキ。
ふわふわで空気を食べているようなものがあれば、スフレ生地のようなものあり、しっかり目なのにまさに絹のように繊細なジェノワーズ風のものあり、で意外に変化に富んでいる。
しかしシフォンケーキは好きだが、買ってまで食べようとは思わない。
私の中では「おやつ」以外の何者でもないからだ。
それに、しばらく続くとなぜか味に飽きてしまうのだ。
卵と油の味と頼りない食感のせいだろうか、一度食べると味が想像できてしまうところが飽きる原因なのだろう。
お米やパン、ビスケットなどなんの変哲もないもののほうが飽きが来ないのは、噛み応えの点からなのだろうか。
シフォンケーキを焼きながら、前に焼いた残りを慌ててムシャムシャ食べていたそのとき。
マダムにはあるまじきことだが、頬張りすぎて喉に詰まらせてしまった。
お正月に餅を詰まらせる事故が多いが、意外なことにパンなど小麦製品を詰まらせることも多いと最近知ったばかり。
さすがにシフォンケーキを詰まらせて救急車で運ばれるって格好悪いことこの上ない。
そういえば年老いた母は、私の焼いたシフォンケーキが好きだったのをふと思い出した。
喉に詰まらせないよう、おやつといえどおめかししてお皿で供しようと心に誓った次第である。
マダムはおやつといえど手を抜かず、テーブルセッティングすべし