しょげた顔の天才棋士・彼の背中を蹴飛ばす彼女
かつて神童と呼ばれた少年・二宮夕飛は、
将棋人生の節目に差し掛かるように、連戦連敗がつづく。
人との出会いに心が少しずつ動いていく彼には、
なにが待っているのか、、、
絵のタッチが「四月は君の嘘」に似てるなと思っていたら、
作者の方の新連載でした。
自分を変える人との出会いに胸が高鳴ります。
閉じていきそうな主人公の心が、周りの人たちとの関わり合いによって変化していくところが、
優しく時に激しく描かれていて、好きです。
青年が自分の内面と向き合う話というと、
心が捻じ曲がってしまったり、
ニヒリズムに取り憑かれてしまったり、
自分一人で解決をしていくような展開の話もありますが、
このマンガや「四月は君との嘘」は、
他の人との関わり合いの中で、
自分を再発見し、新しい内面の変化をしていく。
荒々しい内面と向き合うときは、
すごいドロドロした心の動きになったりすることもありますが、
この話に出てくる人は、そんな主人公を一蹴します。
しょげた顔してんなーとか、触れられないものとして扱うのではなくて、
なに閉じこもってんだよ、と言って背中に軽く喝を入れるような、
清々しい優しさがあって、とても晴れ晴れとした気持ちになります。
時に、人は成長するために、
他者にある役割を担わせてしまうときがあるけれど、
それは必要なことなのかもしれないなと思えた作品でした。