やっと、9月のエンタメラリーその4です。

その4は映画『スイッチを押すとき』!

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小出恵介くんとか水沢エレナちゃんが出てる映画です。

AAAの與真司郎くんも出演してます。

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脚本が『日ノ丸レストラン』『私の頭の中の消しゴム』『愛が殺せとささやいた』の岡本貴也さんなんですよ。

もともと『あいころ』が見に行けなかったら見に行こうと思ってた映画なんですが、

運がいいことに『あいころ』見に行けちゃって、どーしよーかなーと思ったんですが、勢いで見に行ってしまいましたあせる




ということで、映画の感想と、後日比較のために読んだ原作小説の感想を完全ネタバレで書いていきます。

ホントにネタバレするんで、どちらも見たもしくは今後見る予定はない・内容を見ても支障はないなど、大丈夫な方だけお進み下さい煜あせる
















まず、映画と小説、どっちの方が好きかと聞かれたら…

…圧倒的に映画です。

いや、岡本さんやAAAの真司郎くんびいきだからとかじゃなく、演出等本当に好みの問題です。

映画と小説は、基本設定・時代背景だけが一緒の、全然別物のストーリーと言っても過言でないと思います。

同じなのは、近未来における日本で10代の自殺が急増したことを受け、10歳の子供に自殺装置を持たせ、多発する自殺の原因を探るという、子供を被験者にして『実験』を行う国家プロジェクトが存在する世界だということと、

小説に加えて登場する新キャラ以外の被験者4人の苗字(被験者主要キャラ4人は大体性格付けは小説と同じですが、水沢エレナちゃんのキャラだけ違います)。

あと小出恵介くん演じる南が実はスイッチを持っている『被験者』だということ。

後に南と子供達が施設を脱走しようとすること。

このあたりまでが映画と小説の共通点。

他の要素は結構違います。

ここまで違うストーリーになっているのは、主人公2人のキャラ設定があまりにも違うから。

南が施設に送り込まれた経緯や、送り込まれた直後の心の内面や、

エレナちゃん演じる真沙美の性格付け(小説では明るい少女として描かれ、映画では決して明るくないが穏やかで優しい少女として描かれています)が全然違う。

それゆえ、AAA真司郎くんがスイッチを押す(自殺する)動機は映画と小説で同じでも、そこに至るまでの過程が違います(…にしても真ちゃんの死に顔が美しかったなあ~…さすがはAAAイケメン担当)。




まあ、そもそもの大前提として。

…私はこの『青少年自殺抑制プロジェクト』なる国家プロジェクトの設定自体が嫌いです。

まあ、それを言ったら、『バトル・ロワイアル』とか『イキガミ』とかの設定も嫌っちゃ嫌ですけど。

『バトロワ』で、今の世の中では到底考えられないエキセントリックな国家プロジェクトの存在する世界観を描いた物語にとても衝撃を受けましたが、

『バトロワ』以降、そういう設定の話が珍しくなくなりました。

だから、目新しさがない変わりに『物語で訴えたいテーマ』などの+αが見えてこないと、物語として興味深く味わえないですよね。でなければ、奇抜な設定の元でも読者・観客をグイグイ引っ張るくらいの高いエンターテイメント性があるかとか。

どちらかというと、前者が漫画『イキガミ』や映画『バトル・ロワイアル』で、後者が小説の『バトロワ』かな。

『スイッチ~』はどうなんでしょう?

小説は、何かを強く訴えるには、文章力がちょっと…だし、奇抜な設定の元で読み進めさせられるような推進力はなかったな…というのが私の感想です。

であれば、映画の方が脚本や演出の力(あと役者さんの力)によって物語に緩急が出て、ところどころいいなと思えるところがたくさんあったので、個人的には圧倒的に映画の方が好みだということなんです。




『青少年自殺抑制プロジェクト』という国家プロジェクトの設定にはあくまでも嫌悪感を抱きながら映画を見ていたわけですが、

以下、私が映画版でいいなと思ったところです(ここからが本格的な映画のネタバレです。ご注意下さい!)。




・冒頭部で、生き残った6人が過ごしている様子が描かれていた時に流れた音楽が、シューマンのピアノ曲『トロイメライ』

これ、めっちゃ合ってました!

10歳から7年間、6人の時間が全く動いてないことを表現する演出としてはピッタリだったと思います。

・序盤の、小説の設定だけを借りた、南(小出恵介くん)のキャラ設定

小説も映画もプロジェクト側の目論見として南が派遣され、派遣された途端派遣先の施設の被験者の子供が死んでいくんですが、

映画版では『刺客』として描かれ、意図的に南が子供を死に追いやります。

それによりスイッチを押してしまう子供2人が菅野莉央ちゃんと真司郎くんです。

・菅野莉央ちゃん

私が大好きな古屋兎丸さんの漫画『いちばんきれいな水』が映画化されたときに、加藤ローサちゃんの妹役(実質の主人公です)だった莉央ちゃん、おっきくなった&むっちゃカワイイカワイイー!!!!

南が白々しくいい人ぶって追いこんでいくからこそ、莉央ちゃん演じる愛子の悲しさはかなさが伝わるな~と。

ここでの莉央ちゃんの錯乱の熱演は序盤のみどころでした。

にしても、莉央ちゃんのおかっぱと絶叫する声がカワイかったです。

・AAA真司郎くん

まず…

…やっぱり苗字の『與』がないとさびしい…orz

スイッチを押す動機は小説とほぼ一緒。

ただし、実際に小説で起こったことは、真ちゃん演じる池田を揺さぶるために南がついた嘘として扱われます。

AAAの演劇班といえば、やはり映画の新人賞をいくつも取って、世界の蜷川さんの舞台への出演を控えている西島隆弘くんですが、

私はもっと真司郎くんにも演技の表舞台に立って欲しいと思ってます。

人の心を動かす演技ができる方だと信じているので。

『未来世紀シェイクスピア』の『リア王』の真司郎くんの演技、めっちゃ好きです。泣きました。

何と言っても、演技することにすごく前向きで熱意が伝わってきます(比較しちゃいかんと思いますが…一昔前のVISIONさんとこの方々よりもずっと演技力はあると思う…)。

今回の池田役も真司郎くんのよさがよく出た役だと思います!!

・小出恵介くんの豹変っぷり

イケメン俳優好きの私ですが、実は小出くんの演技をまともに見たことがなかったんです。

…イイっスね!!!

いい人ぶる→いい人を装いながら2人を自殺に追い込む→バレる→豹変し凶暴になる→秘密(自身もスイッチを持つ『被験者』であること)がバレる→哀れな姿を晒す…

と彼の演技が変化するからこそ、序盤の不気味な何かがうごめいている様子から、一気にストーリーがスピードをつけて動き出した風に感じられます。映画ってこういった緩急や静動などのコントラストが大事だと思うんですよね。

・水沢エレナちゃん

カワイイです。

いろんな子供を死に追いやった南に対して、

「あなたは悪くない!!」

…いやいや、悪いんですけど、現世で多かれ少なかれ罪を犯した人々を許し、天国へ導く女神様みたいな清らかさがあったよな~…浄化されるというか…それがエレナちゃんの容姿とすごく合うんですよね。

エレナちゃん、逃亡中の学校の音楽室で『線路は続くよどこまでも』を歌うんですが…

…カワイイ…あ、あの、フレンチポップ風のCD出しませんか?カヒミ・カリィみたいな…

エレナちゃんは、演技力どうこうより何より、起こす行動の全てがエレナちゃんの容姿や声などに合っていて、それがすごくよかったです。

・愛の逃避行

ありきたりだろーが安っぽかろーがベタだろーが何でもいいんですよ。

見目麗しいイケメンイケジョ同士(小出くんとエレナちゃん)のラブラブ、素敵じゃないですか!

船の上でのできそでできないキス未遂がもどかしくて萌えます←

・愛の逃避行、北海道逃亡時、(富良野か美瑛あたりかの)道路を2人で歩いている時に流れる、ホルスト『惑星』の『金星』ピアノバージョン

これはBGMが最高でした!

『惑星』と言えば『木星』が圧倒的に有名だと思うのですが、『金星』も素敵な曲なんですよ~!

穏やかであたたかい曲だけど、ピアノで響かせるとどこか悲しげで。

それは愛の逃避行の終了を予感させる効果もあったと思います。

・愛の逃避行終了

独房に再び入れられた南と真沙美、最後の最後での2人のやりとりとセリフ、それと光の扱い方、私は好きです。




テーマがテーマで、映画の尺という限られた制限があるものなので、たとえ古屋敬多くんの恩師である岡本さんの脚本とはいっても、すべてが「素晴らしい!」とは言えませんが、所々で自分の好みの演出とストーリーが施された映画だったと思います。




で、最後、物語が終わりしみじみしていたところに…




…元気なポップバンドサウンドが鳴りだしてびっくり拍子抜けしました!!!瀨あせる

いや…知り合いにNICO Touches the Wallsが好きな方がいるんで、悪くはいいたかないけど…

…やっぱ『バトル・ロワイアル』でDragon Ashの『静かな日々の階段を』に慣れちゃってる世代としては、元気なバンドサウンドではないテーマソングで締めて欲しかったな~と…

…最後の最後で自分と感性が合わなかったらしい…




とゆーわけで、映画『スイッチを押すとき』の感想とつれづれでした!!

坂本真綾ちゃんの『夕凪LOOP』とAAAの『Buzz Communication』を聴きながら記事を書きました!!

それではまたパー