~とある酒場~

おい、知ってるか?遠くの方で大戦が起きてるそうだ。
ああ、知ってるとも。うちの村からも若い衆が何人か行ったなあ。手柄あげて出世して、金持ちになるんだって息巻いてたよ。そろそろ着いた頃かなあ?
しかし今回のはそんじょそこらの戦とは訳がちげえって話だ。
何でも西の王様と東の王様が味方大勢集めて、いろんなとこの兵士が集まってるってな。
それも参加してるのは人間だけじゃないんだとよ。
真っ赤な顔したおっかねえ化け物が、大勢の子分引き連れて山を下りてきたってなあ。
それだけじゃねえ。でっかい化け物に乗った奴らもいるって話だ。
人間なんか一飲みにしちまうくらい馬鹿でかい化け物なんだってよ。
あと北の方からはあの海の一族が来たってよ。
恐ろしい斧振り回して、角生えた兜被って、船なんか軽々とかついじまう、それはそれは強い戦士だってな。
そういや化け物の国からもぞろぞろ魔物たちが這い出てきたって聞いたぞ。
誰かが扉開けちまったんだとよ。迷惑な話だなあ。ここまで来なきゃいいが。
誰かが開けちまったと言えば、あの”白き悪魔”が現れたってなあ。
馬鹿いえ、あれは子ども脅かすための作り話だろう?
そんなこと言ってお前、あの戦にゃ大勢化け物が加わっているって言うじゃねえか。”白き悪魔”だっていてもおかしくねえだろうよ。
なんでもどっかの馬鹿貴族が寝てた悪魔を起こしちまったんだとよ。で、その貴族も殺されて手下にされちまったらしい。おっかねえ話だ。
そういえばなんて言ったっけな、北の方から雪の国の兵士たちも大勢駆けつけたって聞いたぜ。
ああ、ノルデンじゃねえかそれは?あそこの兵士たちは全員が腕っぷし強いっていうからなあ。騎士様が持ってるみたいなでっけえ剣を片手で振り回しちまうんだと。
ドラゴンもいるってよ。
ほら、よく吟遊詩人が歌ってる”ゲイ・ボルグ”。あの槍持ってる騎士がいるんだってさ。
ああ、俺も聞いたことあるぜ。”投げれば30の鏃、突けば30の棘!一度放たれれば、狙いあやまたぬ恐ろしき魔槍!”だろ?
そうそう、空飛ぶ船もいるんだってな。
何でも有名な賭け事師が乗っててな、そいつは今回西側に賭けたんだとよ。
へえ。賭け事のために戦に参加する奴がいるとはねえ。そうだ、俺は酒のために戦に参加するって奴らがいると聞いたぞ。
ノホホン王国とかってところの奴らで、武器の他に酒入れるための器持って戦うんだってよ。そんでもって東の酒がうまいっていって、今回は東につくんだと。
世の中いろんな奴がいるもんだなあ。俺はこの酒で十分だ。
おいねえちゃん、酒くれや。
そういや俺はおっそろしい話を聞いたぜ。
なんでもあの魔王ローランの軍まで現れたって話だ。
魔王ローラン!?あの元英雄のローランの軍か?
それ以外に誰がいるんだよ。

それじゃあついにセレノスの王様の首を取ろうってか?
いやそれがそうじゃねえらしいんだ。王様の首を取るのは俺だ、他の奴らに取られてたまるかってんで、今回は東側について戦うんだと。
へえ。騎士様の考えは俺達にゃわからねえな。
魔王が自分で先頭に立って、大勢の騎兵連れてきたんだとよ。おっかねえドラゴンまで連れてるって話だ。
うう、どれもこれも恐ろしい奴らだ。こっちの村まで来ないで欲しいなあ。
んだんだ。なんだかんだ一番迷惑すんのは俺たち農民だもんな。

~戦場にほど近い丘~
…そろそろ私も参戦いたそう。
血鬼術けっけダークセントリー!
~魔王ヴァンスタイン領~
この騒乱、ヴァンスタイン様はほんのお遊びのようだが、あやつの封印を解くには絶好の機会だ…
復活の時は近い!戦士たちよ、もっと怒り、憎しみ、悲しみの念を発するのだ!
その身から流れる血で大地を潤し、暗き情念で大気を穢せ!