『本当に必要な防災グッズとは?【3】: 生き残れ。Annex』より、一部抜粋
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神戸市の海沿いに、阪神・淡路大震災の惨状と教訓を未来に伝える資料館、「人と未来防災センター」があります。
ここでは、阪神・淡路大震災の実際の被災者がボランティアの語り部となって、来館者にその惨状と生かすべき教訓を語ってくれます。
その中のひとりは、用意しておくべき「防災用品」について、熱い口調で語ります。「倒壊家屋からの脱出や救出のための道具を備えよ」と。その激しいとも言える口調からは、実際に目の前の命を救えなかった経験をしたことが、語らずとも伺えます。そこで語られる、用意しておくべき用品の筆頭が、大型バールなのです。
大型バールがあれば、テコにして重量物を持ち上げる、窓ガラスや窓格子を破壊する、モルタルや石膏ボード壁を破壊する、木造家屋の屋根板や羽目板を外す、ひしゃげたドアをこじ開ける、車のドアをこじ開けたり潰れた車の開口部を拡げる、エレベータのドアをこじ開けるなど、非常に多くの用途に使えます。実際に、これ一本あれば救えたはずの命が、何百とあったのは事実です。
語り部が次に用意せよと説くのは、これです。
上は一般的な乗用車用パンタグラフジャッキ、下は大型トラック用の油圧ジャッキです。テコで手に負えない重量物を持ち上げるのには、これしかありません。乗用車用でも1トンの重量を上げられます。大型トラック用は、5トン程度から20トン以上上げられるものまで、各種あります。写真のものは管理人の私物で、15トンタイプです。
乗用車用でも、木造家屋の梁をある程度上げる力はあります。大型トラック用なら、鉄筋コンクリート建物の倒壊でも、かなり対応できるでしょう。重量物を持ち上げるだけでなく、開口部を押しひろげるという使い方もあります。
大型バールとジャッキが、あの日、目の前で命が尽きるのをただ見守るしかなかった人たちが、心から欲しいと思った「防災グッズ」なのです。
大型バールは、前回に掲載した750ミリのもので1800円前後で工具を扱っているホームセンターで入手できます。ジャッキは、乗用車用の新品がカーショップで3000~4000円程度で販売されていますが、自動車解体業者などからなら、安価で入手できます。もちろん、自家用車のジャッキも利用しない手はありませんね。
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私のお勧めは、釘抜き用ではなく、「六角バール」とか「八角バール」といった真っすぐな物で、片端が尖っていてもう片方が平になっているバールです。
できれば1500㎜(3000~4000円程度)くらいの長いものの方が良いと思います。
因みに私の家には、阪神大震災直後に購入した長いバール(1500㎜)が今でも置いてあります。
少々高価な印象を受けられるかも知れませんが、腐るもわけでもなく、さほど収納に困るものでもないので、是非ご検討頂きたいと思います。