前書き
これはファイアーエムブレム 風花雪月のレビュー記事です。ネタバレには最大限配慮いたしますが、念のためご了承ください。
また、僕は金鹿ルートのみクリアのため、他ルートのネタバレもご遠慮願います。
所々にif、ヒーローズへの批判的表現が混ざっています。苦手な方はご自衛願います。

7/26にファイアーエムブレム 風花雪月が発売されもうすぐ二週間が経ちます。
実は発売前、僕はこのゲームへの期待が10%、不安が90%でした。

理由としては、”スマブラX”から”新暗黒竜”を買い、シリーズを一通り遊んできて、どうしても3DSの二作(特に”if”)のシナリオ面やシステムに不満が多々あったこと、”ヒーローズ”の公式のスタンスがあまりに耐えられないものであったこと、その一方でリメイク作であった”Echoes”や、”サイファ”のクオリティが高かったことで、新作というものを忌避してしまうスタンスになってしまっていたことです。端的にいうと古参の懐古厨です。

とはいいつつも、今作ではコーエーテクモゲームスの協力、という点で期待もあり、発売日にすぐ遊べるようあらかじめDLを済ませていました。(無双のオタクでもあり、コーエーのコラボ作品に信頼があるのもあります)

斜に構えつつプレイした感想としては「面白い」の一言です。
本記事のタイトルの通り、俺たちのFEが帰ってきました。

前置きはこのぐらいにして、何点か評価点を挙げさせていただきます。しばらくお付き合いください。

①支援Sの実質的撤廃・子世代システムの廃止

これについてはどのFEから始めたかで賛否分かれるところと思いますが、僕としては「よくやってくれた」と思いました。
状況としてはGBA世代の支援システムに近いですね。ただし今作は支援A以上のキャラは何人でも大丈夫なようになっています。
キャラによっては支援Aの組み合わせ次第で後日談がペアエンドになるようになっています。(婚姻関係だけでなく同性の友情エンドも含まれます。)
これにより実質的に支援Sが撤廃され、主人公の特権となりました。ストーリー上のあるタイミングでSの相手を選べるようになっています。
支援Sが撤廃されたことで、子世代システムが無くなりました。ifのような無理矢理な参戦が無くなり、ストーリーの時間軸が自然なものになったと思います。
覚醒・ifのカップリングシステムの人気っぷりを考えると、英断だったと思います。

②マイユニットの撤廃

ルフレ・カムイに共通して言われていたことですが、“スマブラ”や“ヒーローズ”でデフォルトのデザインと名前で出ているため、マイユニットシステム自体必要ないのではないかという声がありました。今作では、性別と名前、誕生月日のみの設定で、キャラクターの見た目は変更できないようになりました。
昔のドラクエに近い感覚でしょうか。プレイヤーが必ずしも主人公でないように設計されたことは見事の一言です。

③「降りる」「再移動」「盗む」

記憶が確かであればSFC紋章以来の「降りる」コマンドです。紋章と違い室内・屋外問わず馬などの乗り降りが可能となりました。
今作では荒地や階段で著しく騎馬の移動力が落ちるため、活用可能なスキルかと思います。
「再移動」は騎馬や飛行で攻撃後に移動できるスキルです。騎馬の多い封印烈火では救出と一緒に猛威を奮ったことかと。
「盗む」コマンドといえば、やはりチャドのイメージでしょうか。GBA世代のときよりも盗むコマンドの重要性が低くなりましたが、システムとしての復活が嬉しいです。

④技能レベル

今までは兵種ごとに使える武器が決まっていましたが、今作では兵種依存ではなく、その兵種になるために技能レベルが必要となるシステムに変わりました。今まで斧と弓しか使えなかったウォーリアーが、CC後に剣術の技能レベルを上げれば剣が使えるように。
今作は弓が優秀なので、特に弓使いの多い金鹿では重宝するシステムだったと思います。
それぞれのキャラクターの理想兵種がプレイの中で必然的にわかるようになっているのもポイントが高いです。克服できる苦手兵種を育てて最上級職にするのも楽しかったですね。

⑤シナリオ

これはまだ1ルートしか通ってない現状では断定できませんが、世界観の作り込みは覚醒・ifを優に超える質だと思います。シナリオのダークさ、作り込み具合はテリウスに近いでしょうか。
1ルートでは回収しきれない部分もありますが、まあ十分なものだったのではないかと。
個人的にはイエリッツァの所在と、公国の顛末が気になりますが、そこは3ルートを終えてから判断しようと思います。

⑥ゲームテンポ

今作でのウィークポイントを挙げるとするならここでしょうか。育成などの自由度と引き換えに、カレンダーシステムによってゲームテンポが相当遅くなる印象があります。
個人的には散策パートも楽しめましたが、これが2周目、3周目となると、手が止まってしまうのも事実であるところです。
強くてニューゲームできるのである程度緩和されるでしょうか?それでも毎月全員に話を聴きにいくのもなかなか骨が折れるなという感覚でした。

⑦3Dモデル

これは完璧だと思います。初代PSの格闘ゲームだった三國無双から3Dモデルの技術を培ってきたコーエーテクモの協力あってこそだと切に感じました。
アルスラーン戦記無双から活用しており、FE無双でも使われたトゥーンレンダリング技術が発揮されていたと思います。

こんなところでしょうか、ジェイガンポジション、赤緑騎士や、竦みなどが撤廃され、学校という今までの慣例にない新しいファイアーエムブレムではありますが、今作は自分の求めていたファイアーエムブレムだと感じています。
もちろん初めてFEを遊ぶ人にもやって欲しいですが、今作は僕と同じ「ファイアーエムブレムは好きだけど、最近の公式との齟齬に悩んでいる人」に遊んで欲しいなと思います。
僕の求めていたFEは、10年の時を超えて帰ってきました。