11年ぶりの宇都宮市文化会館です。

前回は奇しくも同じ、職場一般の全国大会でした。2012年(平成23年) 10月28日のことです。その時、職場一般の全国大会を聴くのが初めてだったので異常に気持ちが高ぶったのを覚えています。

個人的に印象に残っているのは、伊奈学園OBの「パガニーニ・ロスト・イン・ウインド」。サウンドが明るくて、実に艶っぽい演奏に感動しました。そして、ブリヂストン吹奏楽団久留米。そのスケールの大きさ、重厚感のあるパフォーマンスに脱帽でした。結果的に指揮をされた塩谷晋平先生の最後の晴れ舞台となったこの団体の演奏が今でも忘れられません。

 

 

 

早朝、武蔵浦和の自宅を出発して東武鉄道の南宇都宮駅で下車。徒歩10分くらいで宇都宮市文化会館に到着です。周りは閑静な住宅街でひっそりとした感じがします。個人的な話ですが、初めてこのホールに来訪したのは、2012年9月23日、第18回東関東吹奏楽コンクール、職場一般の部。その1ヵ月後に全国大会で訪れ、今回は3回目となりますね。

2023年10月29日(日)宇都宮市文化会館、誤植で”有名”になったプログラムを買い、大ホールの中へ。

さあ、今年もどんなドラマがあるか、とても楽しみです!

 

 

[審査員]

貝沼 拓実(サクソフォ-ン シエナ・ウインド・オーケストラ)

神代 修(トランペット 大阪教育大学)

高 昌帥(作曲 大阪音楽大学)

菅付 章宏(オーボエ くらしき作陽大学)

高橋 臣宜(東京フィルハーモニー交響楽団)

野本 和也(チューバ 元東京吹奏楽団)

平子 ひさえ(打楽器 国立音楽大学)

船隈 慶(大阪フィルハーモニー交響楽団)

松本 健司(クラリネット NHK交響楽団)

 

 

【2023年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】

Ⅰ.牧野 圭吾/「煌めきの朝」(第32回朝日作曲賞受賞作品)

    MAKINO, Keigo/Concert March "Bright Morning"

Ⅱ.宮下 秀樹/ポロネーズとアリア〜吹奏楽のために〜

    MIYASHITA, Hideki/《Plonaise and Aria》for Wind-Brass Ensemble

Ⅲ.天野 正道/レトロ(2023年度全日本吹奏楽連盟委嘱作品)

    AMANO, Masamicz/Retro

Ⅳ.水口 透/マーチ「ペガサスの夢」

    MINAKUCHI, Toru/March “Pegasus Dream”

 

 

 《職場・一般の部(前半)》

 

 

 

1.北海道代表 北海道 上磯吹奏楽団 (指揮)澤邊 諒

 [課]Ⅲ[自]吹奏楽のための交響詩「星の王子様の冒険」(フェラン)

最初は、北海道地区の全国大会常連、上磯吹奏楽団です。

課題曲は朝の雰囲気とは少し異なる?レトロから。朝9時半だというのによく音が出ていました。さすがに全国大会に出てくる団体は違います。鮮やかな演奏で完全に目が覚めました笑  フルの65名より、人数がだいぶ少なかったような…。でも、迫力満点でした。

自由曲は「星の王子様」ですね。標題音楽を感情込めて丁寧に演奏されていました。聴衆も満足できる素敵な時間でした!ただ、ほんのわずかなミスが重なったのが勝負の”分かれ目”だったかも知れません。

[銀賞]

 

2.四国代表 愛媛県 藤原大征とゆかいな音楽仲間たち(指揮)藤原 大征

 [課]Ⅱ[自]シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」(福島 弘和)

とても自然なサウンドで、聴きやすい課題曲Ⅱです。熱心に練習に励んだのが、わかるパフォーマンスでした。ただ、前の団体より人数が多いように思いましたが、サウンドの広がりをもっと感じることができれば、私の好みでした。

自由曲は、ドラマチックな演奏でした。福島作品の特徴をとらえた好演。ただ、ffになった時、少し、リズムの刻みが甘く感じたのと、ダイナミクスの点で単調に聴こえたのは私だけでしょうか?しかし、それは些細なことで観客を十分に楽しませてくれたと思います。

[銅賞]

 

3.東京都代表 都職場・一般 創価グロリア吹奏楽団 (指揮)中村 睦郎

 [課]Ⅰ[自]交響曲第1番《悪魔の聖書》(デヴィッド)

子供の頃は、なんとなくマーチって退屈だなぁと思っていました。成長するにつれ、マーチの難しさをひしひしと感じるようになってきました。この団体の課題曲Ⅰは、そんな思いを超越した、ある意味、見事に整理された演奏でした。何よりもサウンドが厚く、個人の技術力が非常に高い。音楽の清らかな流れに満ち満ちていました。曲が終わった瞬間の残響が心地よかった。

自由曲は、昨年、リベルテの演奏で聴いていますが、非常に難しい曲ですよね。その難曲を見事に咀嚼できていたのは素晴らしいの一言です。ソロパートの方々もテクニックを生かして見事!何よりも会場の観客を巻き込んで一体化していたのには、驚かされました。素晴らしかった!

[金賞]

 

4.東関東代表 神奈川県 横浜ブラスオルケスター (指揮)近藤 久敦

 [課]Ⅳ[自]交響曲(矢代 秋雄/編曲 近藤 久敦)

この日、初めての課題曲Ⅳです。実にソフトな出だしです。明るくて、重厚感もありながら、決して重くなく軽快。〝横ブラ〟クラスのマーチは、こんなに素敵なものかと思わせる演奏でした。

矢代先生の「交響曲」は、1979年に秋田南高校が取り上げて以来、現在まで頻繁にコンクール自由曲として取り上げられています。数々の名演がありますが、この日の横ブラの演奏も素晴らしいものでした。持てるテクニックの粋を集めたパフォーマンス。特にソロパートが完璧です。迫力とサウンドの伸びが秀逸。圧巻としか言いようがありませんでした!!

コロナ禍のせいで、このところご無沙汰ですが、また、横ブラの演奏会に行きたくなりました…

[金賞]

 

5.中国代表 広島県 NTT西日本吹奏楽クラブ (指揮)金田 康孝

 [課]Ⅲ[自]「ア・ウォータイム・スケッチブック」より(ウォルトン/編曲 木村 吉宏)

人数が少ないですね。おそらく、40名ちょっとでしょうか?ただ、迫力は満点です。レトロを楽しそうに演奏しているのが印象的です。ソロパートも含め、少し、泥臭く演奏している感が強い。コンクールと言うより、演奏会で聴いているような感じでした。でも、それはそれで十分、楽しかったですけど。よく見てなかったんですけど、曲の途中で指揮者の方が指揮台から降りていたように感じましたが、気のせいでしたでしょうか?

この団体の全国大会での自由曲の演奏で印象に残っているものがあります。それは、2017年度、倉敷市民会館で行われた全国大会でのパフォーマンスです。真島俊夫先生の「ニライカナイの海から」。真島先生の作風をしっかりとらえた素敵な演奏でした。実際に生演奏で聴かせていただきましたが、とても、キュンとしたのを覚えています。

そして、今年です。課題曲の派手さとは対照的なオーソドックスな感じ。きっちりとした演奏です。サウンドもよく響いていて、ソロパートもよかった(特にトロンボーン)。好印象の演奏でした。今後も期待します。

[銅賞]

 

6.東海代表 愛知県 Nisshin Wind Orchestra (指揮)清野 雅子

 [課]Ⅱ[自]祝典序曲(イベール/編曲 天野 正道)

全体的に安定した課題曲でした。技術力の高い演奏さは聴いていれば、わかります。何より全体的にバランスが良い。安心感に溢れたパフォーマンスでした。

今年の文教大学と同じ自由曲ですね。サウンドにあった選曲です。音楽の流れも良く、聴きやすい演奏でしたが、曲調から言って、何か情熱的な印象を持てるような部分があったら(私の個人的な思いですが)、もっと演奏にのめり込めたかもしれません。美しい演奏をありがとうございました。

[銅賞]

 

 

 

 

7.関西代表 兵庫県 宝塚市吹奏楽団 (指揮)渡辺 秀之

 [課]Ⅱ[自]交響詩「祈りの陽」(田村 修平)

課題曲が始まりました。少し緊張気味でしょうか笑 若干のミスもありましたが、全国大会常連の実力を十分に発揮して頂きました。メロディラインの歌い方はとても美しかった。

自由曲は、まだ、37歳と若い田村修平先生の作品です。宝塚市吹奏楽団の委嘱作品のようですね。全体的にとても華やかでキラキラした演奏。宝塚市吹奏楽団の持つポテンシャルを十分に発揮してくれました。素晴らしかったです!引き込まれました!

[金賞]

 

8.西関東代表 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮)佐藤 正人

 [課]Ⅲ[自]交響詩「天地創造」(阿部 勇一)

ポップスの流れは、踏襲しながらも、どこかアカデミックさを感じる演奏。これが、天野先生の意図するところなのでしょうか?本当に自然に聴ける演奏でした。とても素晴らしいレトロでした!

川越奏和奏友会吹奏楽団の創団45周年を記念して委嘱された「天地創造」。難曲を実に見事に完成させていました!特にアクセントの付け方が見事です。ffのロングトーンが雑でなく、実に美しい。聴き惚れてしまいました。芸術的な絵画をみるごとく感じたのは、私だけでしょうか?

[金賞]

 

9.北陸代表 福井県 ソノーレ・ウィンド・アンサンブル (指揮)成川 真司

 [課]Ⅲ[自]「エニグマ変奏曲」より(エルガー/編曲 佐藤 正人)

レトロの低音部がパンチが効いてるなぁと思ったら、Tuba×6、St.bass×2と言う布陣。明るく、爽やかでリズム感にたけていて、楽しい演奏でした。

自由曲は、この曲の持つノーブルさを見事に表現していました。特にニムロッドは強く印象に残りました。この団体の特徴がよく出ていたと思います。

[銅賞

 

10.東関東代表 千葉県 開智アカデミックウインドオーケストラ (指揮)石田 修一

 [課]Ⅱ[自]組曲 ヴァレンシアの寡婦(イントロダクション・セレナーデ・ソング・ダン)(ハチャトゥリアン/編曲 石津谷 治法)

待ってました!石田先生の登場です。私が先生の指揮者姿を生で見るのは久しぶりですね。はずかしながら、私はこの団体を知りませんでした。コンクールデータベースで見てみると今年から忽然と現れている。おそらく、開智国際大学の皆さんを中心に構成されているのでしょうか?

課題曲の演奏が始まりました。さすがに全国大会に進んだだけあって、バランスの良い。しかし、初出場のせいか、少し、浮き足立っているような感じがします。全体的にはよくまとまっていましたが…

自由曲は、石津谷理事長の編曲ですか。表現力が素晴らしいパフォーマンスでした。特に木管群が音色が揃っていて美しい。そのサウンドによって、メロディが素晴らしく、引き立ちます。技術力を最大限に発揮した高度な演奏でした。結果は、残念でしたが、今後に期待します。

開智学園は、小学校から大学まである学校法人のようですが、ホームページを見てみますと、吹奏楽の人材育成を掲げているようです。この点から考えても、これから先、中学や高校も伸びていくと予感させられます。でも、開智学園の中学や高校は岩槻にあるみたいなんですよ。埼玉県の吹奏楽界が、またまた大変になる予感…(石田先生が埼玉県大会に登場…なんてこと…ありえないか…)

[銅賞]

 

11.関西代表 大阪府 創価学会関西吹奏楽団 (指揮)伊勢 敏之

 [課]Ⅰ[自]吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より(高 昌帥)

実に華やかな出だしの課題曲から始まります。軽やかなリズム、バランスの良いダイナミクス、どれをとっても秀逸。最高峰の演奏。曲が終わった後の余韻にシビれてしまいました…

自由曲の曲名に「風景詩」とあるのを具現化するように、まるで文学作品を彷彿とさせるパフォーマンスでした。音楽的な完成度が高いのは、もちろん、その表現力に圧倒されました。素晴らしかった!審査員席の高昌帥先生も満足されたのではないでしょうか?ちなみに前半の自由曲では、この団体の演奏がイチバン好きでした。(私の個人的意見です…)

[金賞]

 

12.九州代表 福岡県 西区市民吹奏楽団 (指揮)松井 裕子

 [課]Ⅲ[自]ドラゴンの年より[2017年版](スパーク)

レトロは、明るくてリズムにのった演奏。ただ、私のような素人には、うまく表現できないのですが、曲の最後までエンジンがかかり切らなかった?これが全国大会の恐ろしいところでしょうか?

自由曲は高度なテクニックを必要とする曲です。細部まで配慮が行き届いた演奏でした。スローテンポな部分は、実に上品。テンポアップしてもアンサンブルに乱れがなく、美しさの極致。とても観客が満足できる印象に残る演奏でした。

だからこそ、思うのですが、コンクールで2曲とも揃えるのは難しいと。

[銀賞]

 

 

13.東北代表 秋田県 大曲吹奏楽団 (指揮)小塚 類

 [課]Ⅲ[自]パッサカリア〈B-A-C-Hによるオマージュ〉(ネルソン)

レトロの素晴らしい演奏を一日に何回も聴いていると私のような音楽に素人のジジィは、混迷を極めてきます。そして、この団体は、その想いを一層、増幅させてくれました…。一見、特徴のないオーソドックスな感じにも思えましたが、細部まで配慮の行き届いた演奏にはいい意味でため息がでましたね…。ただ、個人的でぜいたくな要望ができるならば、この団体のサウンドだったら、他の課題曲で聴きたかったかも知れません。

とても難しそうな自由曲で、それを表現力に長けて演奏しているのは、お見事!曲が進むにつれて、どんどん演奏に引きずり込まれていく自分がいました。完成度が高く、前半のトリの演奏にふさわしい”名演”でした!!

[金賞]

 

 

前半と後半の間、会館のロビーとか外回りの風景とかがみたくて、「外出証」をもらって大ホールの外に出てみました…すると…

大ホールを出たすぐのところが地元、栃木の「お土産」屋さんみたいになっている!(入る時にはなかったのに…。)階段を降りると会館の外には「餃子」の文字のあるキッチンカーが!いいですね、こう言うの。今まで、何回かいろんな地方で全国大会に行きましたが、なかったなぁ。遠い地域の方々は、社会人ともなるとせっかく全国大会で他地域に来ても、とんぼ返りなんてこともあり得るでしょうから、ありがたいのではないでしょうか?吹連では、近年、大学と職場一般の全国大会の開催地を固定化しようという動きがあるようですが、正直、やめてほしいです…。いろいろな地方に出向くのも楽しみの一つでもあるわけですし、その地方の良さも知れますからね。

 

 

 

私の席は2階、審査員席の後方だったのですが3階席が被って天井のあるところでした。ちょうど、私の頭の上、そうですねぇ、床から2.5mくらいのところに空調の吹き出し口があって、出場団体の演奏が、ppになると”ゴーッ”という吹き出し音が時折、聞こえて興ざめしました…

 

 

 《職場・一般の部(後半)》

 

 

1.北陸代表 石川県 百萬石ウインドオーケストラ (指揮)仲田 守

 [課]Ⅰ[自]ピース、ピースと鳥たちは歌う(伊藤 康英)

後半のトップバッターは、全国大会常連の百萬石ウィンドオーケストラです。課題曲の冒頭から実にバランスが良く、すっと演奏に引き込まれます。メロディラインとその他の間に音量のバランスが私の好みでなかった部分もありましたが、そんなことが気にならないくらいの美しい演奏でした。

「ピース、ピース…」は、最近、コンクール、演奏会問わず頻繁に聴く機会が多い楽曲ですね。

まず、透明感のあるサウンドが際立ちました。この曲にあっています。だからこそ、曲全体を通して同じ雰囲気を保ち、ある種の〝物語〟を感じられます。そして、演奏上のマイナス点をカバーするほどの流れを持っていました。好演。

[銀賞]

 

2.九州代表 福岡県 春日市民吹奏楽団 (指揮)八尋 清繁

 [課]Ⅳ[自]交響組曲第2番「GR」より 〈トレインチェイス・エディション〉(天野 正道)

こちらも常連の春日市民です。

課題曲Ⅳの曲の入り方がとっても自然で心地良い。金管楽器の明るいサウンド、木管楽器の美しいハーモニー、打楽器群のリズム感の良さ、バンドの中でよくバランスが取れています。素敵な演奏でした。

GRだと最近は、「シンフォニック・セレクション」が主流ですが、この曲を生で聴くのが初めてだったので楽しみにしていました。

「トレインチェイス・エディション」は、「吹奏楽版 交響組曲『GR』第2番より」の再構成版として作られたようです。初演は、2001年のコンクール埼玉県大会で川越奏和。(結構、前に作られたんですね。)

GR好きのジジィとしては、期待はしていましたが、それ以上のパフォーマンスを目の当たりにしました。バンド自体のサウンドが絶妙に溶けあっていて、とても良かったです。その流れに感情がうまく乗っているので、よりドラマチックに感じます。物足りなさなど微塵もない演奏でした!

[銀賞]

 

3.中国代表 広島県 祇園ウインドアンサンブル (指揮)大咲 司朗

 [課]Ⅱ[自]交響曲第3番 作品89より(バーンズ)

課題曲が始まり、まず驚いたのは、低音部の迫力。とても聴き応えのある演奏です。反面、金管と木管の音量のバランスが不安定に感じる部分もありました。

次は、バーンズの3番ですね。長い間、根強い人気の曲。長い曲なので、どのようなカットなのかも重要です。

熱演でした。特に3楽章「ナタリーのために」は、感情移入してしまうほど、良かった。ハープの幻想的な音色がステキでした…。4楽章の華やかさも見事に演出できていたように感じました。

[銅賞]

 

4.西関東代表 埼玉県 川口市・アンサンブルリベルテ民吹奏楽団 (指揮)福本 信太郎

 [課]Ⅱ[自]「ウインドアンサンブルのための協奏曲」より Ⅱ.Ruff Ⅳ.Soul Ⅴ.Jam(K.デイ)

今年は、西関東大会が無料配信されたのでリベルテの勇姿も見ることができました。多くの方が感じておられると思いますが、そのクオリティの高さには感心することしきり、です。私は、定期演奏会でも、自由曲「ウインドアンサンブルのための協奏曲」を聴きましたがその進化のスピードに脱帽。そして、全国大会本番でも超ハイレベルなパフォーマンスを提供してくれました!

課題曲、自由曲を通して、もう、私のような素人には表現できないほどの凄さを感じました。特に自由曲はブラヴォー!どこから、この曲を見つけて来たんでしょう?去年の12月4日に開催された昭和音楽大学吹奏楽団第36回定期演奏会で吹奏楽界の巨匠コーポロンの指揮で日本初演されています。リベルテの指揮の福本先生は、昭和音大で教授をなさっているので、その関係で自由曲になったのではと推察できますね。(同じ演奏会で実際、他の曲の指揮で出演もされています。)

演奏が終わったあと、舞台上で吹連のセッティング係の高校生たちが次の団体の準備のために作業を始めたのにもかかわらず、拍手が鳴り止まなかったことは、リベルテの演奏がいかに凄かったかを証明しています…(この日の演奏は、私の個人的な意見ですが、後世に語り継がれるパフォーマンスになったと確信します!)

12月には、定期演奏会ですね。ゲストは、土気シビックウインドオーケストラのようです。今から楽しみでなりません!

私は、これからもリベルテを応援していきます!

[金賞]

5.東北代表 宮城県 名取交響吹奏楽団 (指揮)宍戸 篤

 [課]Ⅲ[自]交響詩「ローマの祭り」より Ⅰ.チルチェンセス Ⅳ.主顕祭(レスピーギ/ 編曲 佐藤 正人)

リベルテの興奮が残っている中、”名門”の名取交響吹奏楽団の登場です!

名取の演奏で印象に残っているのは、2014年の「アスファルト・カクテル」。残念ながら、新潟(全国大会)には行けなかったのですが、あとでCDで聴いて、「なんじゃこりゃ」と驚いた”名演”でした!
課題曲は、レトロ。堂々としたパフォーマンスに感動しました!スゴイ!
特にトランペットのソロが最高でした!音質がいい意味で野太くて、その上、たまらないくらい色っぽくて、ステキ。若い女性の方が演奏していたようですが、うっとりしましたよ…。個人的な意見ながら、この日、レトロを演奏した9団体の中でナンバーワンのトランペットソロでした!!
名取って、割と進歩的な自由曲を選ぶ印象があるのですが、今年は、”王道”の”祭り”です。
ステージ前方に勢ぞろいしたトランペットのバンダが効果的でした!華麗で明るく、「ローマの祭り」らしい、まるで悪い運気を吹き飛ばすような”名演”!陳腐な表現かも知れませんが、『素晴らしかった』。

[金賞]

 

6.東関東代表 千葉県 光ウィンドオーケストラ (指揮)佐藤 博

 [課]Ⅲ[自]カタリナの神秘の結婚(樽屋 雅徳)

名取交響吹奏楽団に続いて、同じレトロの演奏です。

最初から全開で飛ばす感じ満載です。力量の低いバンドがこれをやると、ただただ騒音になりがちですが、光ウィンド”クラス”になると、一瞬で「杞憂」となってしまいます。躍動感のカタマリですね。何より演奏している皆さんが楽しんでいるのが伝わってきて、最高でした!

2016年以来、コロナで中止になった2020年を除いて、ずっと樽屋作品をコンクール自由曲にしている光ウィンド。今年も例にもれず、樽屋作品で挑みます。(ちなみに樽屋先生は、指揮の佐藤先生の教え子であるらしい…)

カタリナの神秘の結婚」は、この日、前半で出場している宝塚市吹奏楽団が2007年に委嘱した作品です。演奏がスムーズに移行し、聴く者の集中力を高めます。特に樽屋作品特有の早いパッセージが見事。スケールの大きな演奏でした。「金賞」に納得です!

[金賞]

 

 

 

 

 

7.東北代表 秋田県 秋田吹奏楽団 (指揮)阿部 慎太郎

 [課]Ⅲ[自]カム・サンデー(トーマス)

東北の代表は、天野先生が秋田出身と言うこともあるのでしょうか、全部、課題曲はレトロですね。

いわば〝お祭り〟感はないものの、曲自体の持つ躍動感は十分に感じられて、楽しい演奏でした。そのなかでも〝生真面目さ〟が感じられたのは、このバンドの素晴らしい特性かも知れません。

調べてみると自由曲は、コンクールで、昨年、(今回も全国大会に出場している)百萬石ウインドオーケストラが演奏したのが初出しのようです。

とても乗りやすい曲で、演奏会に来ているかのような雰囲気で聴けました。美しくメロディを歌い上げているのが印象的でした。曲の終盤に向かって、どんどん盛り上がり、最高潮のところで終りました!(ハンドクラップが効果的!出来うるならば、金賞であれば良かったと思う”浦和のオヤジ”でした…)

[銀賞]

 

8.北海道代表 北海道 札幌ブラスバンド (指揮)米田 浩哉

 [課]Ⅰ[自]「三つのジャポニズム」より(真島 俊夫)

これから、最後の団体まで課題曲は、「Ⅰ」のようです。さすがに全国大会に出場する団体だけあって、甲乙つけ難い演奏ばかりで楽しめました。この団体も都会的なコンサートマーチで、とても良かったです。

自由曲は、真島俊夫先生の代表作と言ってもいい「三つのジャポニズム」。最近は、めっきり聴く機会も少なくなりました。真島ファンとしては、とても残念に思います…。この曲の大事なところは、日本的な〝透明感〟。見事に感じることができました。日本情緒あふれるパフォーマンスでした。

[銅賞]

 

9.関西代表 兵庫県 尼崎市吹奏楽団 (指揮)田中 弘

 [課]Ⅰ[自]ル・シャン・ドゥ・ラムール・エ・ドゥ・ラ・プリエール〈愛と祈りの歌〉(松下 倫士)

課題曲は、少し〝行進曲〟感の強いマーチでした。私は、個人的にこういうの好きです。本来の〝行進〟と言う行動に立脚した演奏って好きなんです。同時に、クラリネットの優しさが際立った演奏でもありました。

自由曲は、コンクールでは比較的耳にする楽曲です。聴き終わって、「うまいなぁ」。観客の聴きどころを押さえた玄人好みの演奏でした。曲が終盤に近づくに従って、少しだけ音量的に単調に感じたようにも思いましたが、それを払拭する繊細な部分が際立ちました。かっこよかったです笑

歴史のあるバンドです。これからも期待したいです。

[銀賞]

 

10.九州代表 福岡県 ブリヂストン吹奏楽団久留米 (指揮)冨田 篤

 [課]Ⅰ[自]スペイン奇想曲 作品34より(リムスキー=コルサコフ/編曲 榛葉 光治)

2012年10月28日、私は同じ宇都宮市文化会館の客席にいました。行進曲と言う概念を具現化した「希望の空」、とてつもないスケール感を持つ「イワン雷帝」を演奏するブリヂストン吹奏楽団久留米に魅了されました。指揮は、関東一高などで、一時代を築かれた塩谷晋平先生(私の世代にとっては忘れられない方です)。ところが、確か私の記憶では、その2〜3週間後、塩谷先生の突然の訃報。ショックでした(急にと言うわけではなく闘病されていたようです)。

そして今、同じ場所で同じブリヂストンの演奏を聴く。何か感慨深い想いが脳裏に刻まれました…

黒のタキシード、そして、白いスラックスと靴。男臭さ満載です笑 課題曲の「煌めきの朝」は、重量感がありながら、軽快さを、併せ持つと言う不思議な演奏ですが、そこがブリヂストンの良いところで、唯一無二の世界と言えるでしょう。とても心地よかったです。

記録に残っている限り、秋田の山王中学が1967年に初めて演奏して以来、数えきれないくらいの名演が生まれている自由曲「スペイン奇想曲」。そして、この日の演奏もその一つになりました…

華やかな出だし。まるでオケのような重厚感。どれをとっても秀逸です。言い過ぎかもしれませんが、生きるパワーをもらったような気がしました。これからも〝伝説〟を作り続けてください!

[金賞]

11.四国代表 香川県 高松市民吹奏楽団 (指揮)金川 公久

 [課]Ⅰ[自]黎明のエスキース(阿部 勇一)

会場が大いに盛り上がったブリヂストンの後で、やりにくかったろうなと推察申し上げます笑

ただ、そんな中でも確実な演奏を聴かせて頂きました。コンサートマーチらしい軽快さと音楽の流れが感じられてステキでした。

この日、川越奏和に続く、2曲目の阿部先生の作品です。「黎明のエスキース」は、コンクールでも時折、聴く曲ですよね。高松市民の演奏は、展開のスピード感を上手に表現したドラマチックな演奏でした。表現力も豊か。ただ、さすがに全国大会、簡単には勝たせてくれませんでした…

[銅賞]

 

12.東海代表 三重県 白子ウィンドシンフォニカ (指揮)宮木 均

 [課]Ⅰ[自]ラッキードラゴン ~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

低音がよく響いているので、とても聴きやすかった。どんな人にでも受け入れられるような安定した演奏。これは、技術あってこその成せる技だと思います。そんな課題曲Ⅰでした。

自由曲に移ります。

この団体は、しっとりと〝ラッキードラゴン〟を聴かせてくれました。派手な演奏が続いたので、ある意味、和みます。メロディの歌い方がきれいで心に沁み入りました。結果は残念でしたが、今後に期待します。

[銅賞]

 

13.東京代表 東京都 東京隆生吹奏楽団 (指揮)畠田 貴生

 [課]Ⅰ[自]シンフォニエッタ第4番「憶いの刻」(福島 弘和)

いつも観客に幸せな風を送ってくれるかのような畠田先生の〝笑顔〟から、課題曲Ⅰは始まりました…。

隆生らしい都会的で洗練されたサウンドは、あっという間に会場の空気を支配しました。同時に、きらびやかさも兼ね備えていました。

この日、数々の「煌めきの朝」の名演がありましたが、いろんな意味でイチバン〝豪華な〟演奏と言えるでしょう。言うことなしです。

期待をしていましたが、期待以上のことをいつもしてくれる隆生。そして、今年もその〝期待〟を裏切らなかったのは、見事でした。自由曲の「憶いの刻」にある〝憶い〟とは、調べてみますと単純に思うのではなく、『心にとどめて忘れないこと』を表現する時に使うのだそうです。コロナ禍のために実現出来なかった高輪台の〝憶い〟を隆生が開花させてくれました!最高でした!

[金賞]

 

 

楽しい宴は、あっという間に終わりました。

興奮の連続で一日があっという間に終わったような。それにしても、日本のアマチュア吹奏楽団のレベルの高さには驚嘆するのみです。以前は成績トップの団体と下位の団体との間に差がありました。しかし、近年、それが著しくなくなってきているのを実感します。

 

 

 

 

11年前、この宇都宮市文化会館に来た時は、それほど音響が良い印象はなかったのですが、今回ここにいてビックリ!よく響くホールです。生音を楽しむのに適しているホールです。雰囲気や規模は、私の地元、さいたま市文化センターに似ていますが、音響に関しては格段の差があると思いました。来年は、ここで高校の部が行われるとの事(全国大会での春日部共栄の晴れ姿を目に焼き付けたい…)。私も聴きに来たいですが当たるかなぁ、チケット…

 

このブログは、素人のオヤジの“感覚的”な感想でありまして、いわば戯言(ざれごと)です。
決して、吹奏楽に真剣に取り組んでいらっしゃる皆様を誹謗中傷するものではありません。(むしろ、尊敬の念を抱いております。)
一笑に付して頂ければ幸いです。