東宝と松竹は4月、2021年3月期決算を相次いで発表した。
実際の黒字幅となる当期純利益のみに注目すると、
東宝が前年比59.9%減の146億8800万円の黒字、松竹が114億700万円の赤字(前年は24億2000万円の黒字)となった。
東映が15日に発表する今期の決算は、既に第三四半期で黒字となっている。
公開待機中であった『シン・ヱヴァンゲリヲン』のヒットを含めると黒字を確保するだろう。
しかし、映画業界で松竹だけが赤字となっているわけではない。
テアトル東京は第三四半期の時点で赤字となっている。東急レクリエーションも、5億4900万円の純利益で着地、昨日発表された第一四半期決算は既に2億3800万円の赤字となっている。
振り返ると、『鬼滅の刃』や『シン・ヱヴァンゲリヲン』など、かろうじてブロックバスターのアニメーションを確保した企業がギリギリで黒字を確保したということだろう。
勝ち組として黒字を確保した大企業が5月13日現在、緊急事態宣言下の映画館を休業させている理由もこの点から把握することができる。この不況下にあって、これらの企業は一定期間の休業に耐えうる資金を昨年確保したのである。
もちろん、これらの企業が不動産に力を入れてきた時代背景を考えると、新型コロナ収束やオリンピックの終了後に不動産価格がどのようになるのか(既に大阪都心の地価が下がっており、東京も例外とはならないだろう)に注目する必要がある。
しかし、今後の予測が難しいのは、中小規模の映画館を運営している企業であろう。
たとえばテアトル東京は元々、準ミニシアターと言えるような小規模な邦画・洋画や、アニメーション作品を上映してきた。
しかし、大手のシネコンにおける上映作品不足によって、差別化を図っていた作品が大手シネコンでも上映されるようになってしまった。
差別化を図りづらい状況に変化はない。
こうした映画館の状況を考えると、映画業界としては、低予算で相応の質となるような作品を大量に配給し、新作を急増させる製作環境を整えることが急務だ。
映像配信プラットフォームが次々と新作を打ち出す中、こうしたリスクを踏まえた企業がいくつ出てくるのか、注目しなければならない。







