「自分は何のためにいるのか……貴方は、考えたことがありますか?」
目の前にいる、人間……だった、肉の塊に問う。
「私は、考えたこと、ありませんよ。」
-だって、分かりきってますから-
私は、B。
発明家、
キルシュ・ワイミーの
最高傑作の頭脳
「L」
のコピー。
念のための存在。
「私は、何故、貴方を殺したのか……分かりますか?」
殺したのは、13歳の少年だった。
「貴方の笑顔が、とても、羨ましかったからです。」
公園を走り回っていた、可愛らしい少年。
未来の希望に満ちた笑顔
「貴方は、家族に愛されて生きてきたのでしょう?」
他人を愛して、幸せに
生きてきた笑顔。
「貴方は、走り回ることの出来る自分を愛してきたのでしょう?」
自分を確かに愛している笑顔。
……私とは全く違う笑顔
「私は」
オリジナルではない
「自分を」
彼の発明品の部品
「他人を」
オリジナルのコピー
「愛せない。」
常に、泥沼に沈められてきた。
才能も、希望も、夢も、全てLのために使われた。
Lは優れているから、
オリジナルで
俺は…私は、劣っているからコピーなのだ。
「……私も、貴方のようになりたかった。」
呟く声は、死体には届かない。
醜い嫉妬
心に広がる、自己嫌悪。
今、私はどんな表情を
しているのだろうか。
きっと、とても不細工な表情だ。
死しか生まない目を持ちながら生きて、
誰にも認められなくて、絶望して、
「私は………」
少年の顔を見ると、濁りきった目で、窓の外を見ていた。
私も見てみた。
そこには、私の心とは
相反して、澄み切った空が広がっていた。
「きゃは」
L、貴方は頂点にいる。
私は、沼の底にいる。
例え、真逆の場所にいる私と貴方でも
この空は、共通して見ることが出来る筈だ。
絶望しながら生きようと
希望を掴んで生きようと
澄み切った、届かない、不確かな何かを渇望して生きることに違いはない。
L、泥沼の底からは空がよく見える。
頂点からは、きっと…
近すぎて、眩しすぎて、見えないだろう。
…だから、その頂点から、私が引きずり降ろして
本当の笑みを浮かべる
ことの出来た私が、共に見てさしあげます。
生死は保証しないけれど…ね。
cLear sky