Copycat
以前、流行を気にしようとかほざいた のだった。気にしてみようではないか。今、流行っているバンドはどれなのか。バンド本体ではなく、みんながコピー(演奏)をしたがるという面での流行りバンドである。やっぱりマニアックな範囲ではあるが今回はそんな話だ。
私がまだギターと関係のない生活を送っていた中学生の頃、同級生のコピー対象となるバンドはMR.BIG、BON JOVI、BOOWY、BUCK-TICK、Xとかその辺だった。錚々たる顔ぶれだ。マトモに再現出来るわけないだろう中坊め。
ノスタルジックにバンド小僧をけなしたいのではなかった。私が中高生の頃を思い出せば上のように「過去にコピーしたかった人気バンド」の名が出せるのだが、だいぶ前から私は学生ではない。よって「現代のコピーしたい人気バンド」がわからない、という話だ。ちなみに高校生の頃はGLAYの人気がダントツだった。まあ中学、高校ともあくまで私の周囲での話だが。
私はバンドの音合わせで練習スタジオに行くことがある。その練習スタジオだが、防音をしてはいてもけっこう音が漏れてくる。したがってよほど酷い腕前でない限りどんな曲を演奏しているのかわかるのである。
バンドマンなら誰でもそうだと思うが他人の演奏は気になる。誰もがそうではないと思うが気にしているのを知られるのは恥ずかしい。で、どうするか。自分が練習する部屋に歩いて行く速度をゆるめがちにしつつちらっと目だけを他の部屋へ向け、聴覚を集中して漏れ出る他人の演奏を聴く。いやらしい。ほっとけ。
そのいやらしい横目で見ると、演奏してるのは10代後半から20代前半の青年たち。歳の差ひとまわりか。干支なんか同じかもしれない。星座はどうかな。血液型…そんなことはどうでもいい。聴け。聴いてみた。
あら知ってる。L'Arc en Cielの'Driver's High'だ。…古いね。いやいや、不満がある訳ではない。好きな曲だし、かっこいいし。なのだが、現代のバンドマンがコピーするというのがちょっと驚きだったのだ。
次に、あるイベントで観た某バンドの演奏。おお、GLAYの'誘惑'と'彼女のModern...'だ。えーと、懐かしいね。だから不満などないって。2曲フルコーラスで合わせて歌っちゃったもの。恥ずかしいおっさんだな。ほっとけ。そう、私がフルコーラスで歌えるような曲をひとまわり下のバンドマンが演奏することに違和感を覚えるのだ。イヤ感ではない。
まあ、私の行動範囲が狭いだけかも知れない。実際はバンプもアジカンもみんなコピーして学祭で演奏していたりするのだろう。ラッドを弾いてても私が気付かないだけなのだろう。なのだろうが、しつこく押す。
聴く人、弾く人は'彼女のModern...'や'Driver's High'が、現代においてイケてる曲だと思っているのだろうか。
ここらへん、コピーする人や原曲を馬鹿にしていると思われるのは大いに不本意なのであわてて言い訳をする。これは聴く側と弾く側のニーズについて知りたいという、(そこそこ)純粋な好奇心なのだ。
バンド演奏をある程度のレベルまで引き上げるには、けっこうな労力がいる。曲の進行を覚え、自らのパートを把握し、他パートに合わせて鳴らす。ここまででやっと「バンドの練習が開始できる」状態で、ここから更に「ライブで演奏できる」状態を目指すことになるわけだ。要はコピー曲とて多少の手間が必要で、バンドスコアあるから明日にもライブ可能、とはならないということだ。
さらにオリジナル曲に比べコピー曲は足かせにもなり得る。バンドマンは真剣で腕がある程「ハタチ過ぎたらコピーはないっしょ」という考え方及び対応になることが多い(気がする)からだ。確かにオリジナル曲にプライドを持って頑張っているとしたら、他人の曲を覚えるのに貴重な時間は割けないだろう。
かように燃費の悪いコピー曲演奏は、特にアマチュアの場合、理由がなければやっていられない。「理由」と言っても弾ける自分を人に褒められるのが好き、程度の「理由」でその曲を弾けるようになったりするものだが。まあラルクなんて弾けるの宮下君。素敵抱いて。や、私はラルクを弾けないが、つまりそんな話だ。ついでのようにセクハラ発言。だめだ私。
待たれよ。これはただセクシャルがハラスメントな話ではない。聴く側が良好な反応を示す曲を演奏したいというのは人情である。ぶっちゃければ、好きな曲演ってモッテモテになりたいのだ。私が言うと実に粘着感があってさぶいぼが立つが、聴いた人がうれしいなら良いではないか。違うかね。
そこで問題。リリース時期から考えて現行のヒットチャートには絶対に現れない曲や、下手すると古い上に誰も知らない曲を演奏するのは何のためか。
我らがガットハロでは現在2曲のコピー曲が使用可能状態である。LINKIN PARK の'ONE STEP CLOSER' とRAGE AGAINST THE MACHINE の'GUERILLA RADIO' 。間違いなくヒットチャート的に古い。ほほう10年ものですか、みたいな。
こちらとしてはメンバー中2人が当時大好きで、全員の技術的にこれならどうにかやれるからという理由で配備しており、多分に後ろ向きな態度からわかるように、これ以降はコピー曲を仕入れる気があまりない。そしてこの曲を好きな人がいるかと問われると、好きも何も今時アマチュアライブを観るような人種には知っていること自体が珍しい曲になり果てているのではないか。
ここまで書いてふと思う。ああ、みんなうちと似たり寄ったりの事情なのですか、もしかして。
好きな曲を演りたい、またはバンドの技術的限界、メンバーの趣味が重なるギリな妥協の位置。これら条件がコピー曲決定の主たる要因だとすれば、曲の新旧は問いづらいかもしれない。聴く側がリリース後間もないぺっかぺかの曲を求めても応えられないだろう。少なくともウチらのバンドじゃ無理ですな。
で、ふりだしに戻る。これまで並べた様々な要因を含めた上で聴く側の評価にハズレの少ないコピー曲って、あるのだろうか。そんなものがあるならばこちらも仕入れるのにやぶさかではないのだが。やりたい、やりたくないでなく、やれる、やれないで曲を考えるようになった昨今。できれば良い評価が頂きたいのだから、ヒット曲という勝ち馬に乗りたい気もするのである。
まあ、そんなあやふやな気持ちでバンドとつきあうからコピー曲の選択もかようにあやふやなのである。あやふやついでに結論もなし。