理学療法評価について

評価スケールではHoen & Yahrの重症度分類が最も普及していて、他にはUnifiedPDRating Scale(UPDRS)がある。


1)重症度の評価と機能・筋力の総合的な評価-on時とoff時の振幅-

Hoehn&Yahrの重症度分類による重症度の評価ではon時とoff時について記載する。Unified Parkinson’s Disease Rating Scale(UPDRS)では総合的な評価が可能である。


2)機能障害評価-中枢神経系による直接的影響
 
直接的な機能障害として、姿勢反射障害運動プログラム障害不随意運動固縮無動自律神経系の影響、について評価する。平衡機能検査では、姿勢保持のための反応と同時に身体の一部を随意的に運動させるときに全身の平衡が乱れないように、予測的に姿勢調節がなされているかについての観察・検査も必要。また、パーキンソン病では記憶を手がかりとする内発性随意運動が困難となるため、外界の情報(視覚、聴覚など)を手がかりとする外発性随意運動による運動実施の可能性を探る。


3)機能障害評価-中枢神経系以外による間接的影響
 
筋骨格系心肺系消化器系泌尿器系心理的影響について評価する。骨格筋の機能障害は近位に始まり、まず体幹と骨盤帯から、さらに遠位の筋群の収縮性、非収縮性の筋の長さおよび柔軟性に影響し、慢性的な筋長の変化は姿勢の変化にも影響する。異常姿勢による腰痛が起こりやすく、時には姿勢によらない痛みや異常感覚も見られる。


4)機能障害評価-複合的影響
 
パーキンソン病の機能障害評価は、直接的・間接的な影響が複合された結果として、異常姿勢歩行時の腕振りの減少バランス障害嚥下困難動作緩慢低換気障害痴呆易疲労性があることを考慮して、またその上に活動制限が影響していることも考慮して行う。


5)活動制限
 
ベッド上動作、トランスファー、歩行などの身体活動制限。痴呆、うつ、社会からの引きこもり、孤立は精神的・感情的・社会的活動制限である。


6)症状の変化-身体精神状況の変化-
 
症状が一定せずに、一日のうちで、また日毎に変動があることも特徴である。服薬時間で変動が予測される場合もあるが、服薬血中濃度などに関係なく予測できないoffの場合もある。身体機能だけでなく、精神機能においても日内変動日間変動があり、またそれらが連動している場合と連動しいない場合とがみられている。


7)症状の変化-身体精神状況の変化-
 
歩行前と歩行後の姿勢の変化精神的緊張による動作の滑らかさの変化など、PD患者は環境や状況によっても病態が左右されることがあり、変化を患者自身が認識することで転倒予防への介入や動作遂行の実用性を高めることができる。