骨粗鬆症(osteoporosis)

[はじめに]
骨粗鬆症は「骨量が減少し、骨の微細構造が劣化したために、骨が脆くなり骨折しやすくなった病態」と定義され
ている。代謝疾患である。原因となる基礎疾患の有無により、原発性および続発性骨粗鬆症の2つに分類される。

[原因]
 原発性骨粗鬆症
  ◍退行期骨粗鬆症→閉経後の女性と高齢者によくみられる。

 続発性骨粗鬆症
  ◍内分泌性→甲状腺機能亢進症
        性腺機能不全
 ◍栄養性→壊血症
       たんぱく質欠乏
       ビタミンAまたはD過剰
  ◍薬剤
  ◍不動性→臥床安静
       対麻痺
骨折後
  ◍先天性→骨形成不全症
  ◍その他→関節リウマチ
       糖尿病
肝疾患など
低骨量のリスク因子
 高年齢・女性・家族歴・やせ・低栄養・運動不足・喫煙・過度のアルコール、カルシウム摂取不足・ビタミンD
不足・ビタミンK不足・副腎皮質ステロイドの服用、甲状腺機能亢進症・糖尿病・腎不全・肝不全など
骨粗鬆症に伴う骨折のリスク因子
低骨量・骨折歴・高齢・やせ・高身長・痴呆や脳神経疾患の合併、運動機能障害や視力障害の合併・睡眠薬
骨吸収マーカーの高値、血圧降下薬の低値。

[病理]
 人の骨量は成長期で増加し、骨格成熟に達する20歳頃に最大となり、それ以降40歳頃まで一定に維持され、そ
の後の加齢について徐々に減少する。骨量は栄養や運動など環境因子の影響を受けるが、骨量がビタミンD受容体
あるいはエストロゲン受容体遺伝子多型との関与もある。
成長によって形成された骨は破骨細胞による骨吸収と、それに続く骨芽細胞による骨形成によって、たえずりモ
デリング(再造形)される。骨粗鬆症における異常な骨吸収は、リモデリングでの吸収率と形成率のバランスが崩れるために起こり、破骨細胞による骨吸収が増加した場合を高回転骨粗鬆症、骨芽細胞による骨形成が減少した場合を低回転骨粗鬆症という。

[症状]
 ◍腰背部の重感・疼痛
 ◍易疲労性
 ◍わずかな外力でも容易に椎体の圧迫骨折を生じ、その数が多くなれば脊柱の後弯が生じて身長は短縮する。ま
た、転倒など軽微な外力で大腿骨頚部骨折や橈骨遠位端骨折を生じやすい。
 ◍閉経後女性では身長の低下、亀背、腰背部痛を生じるが、これらはエストロゲン低下に基づく脊椎椎体骨折の結
果生じる病態。

[X線所見]
脊椎では骨陰影の減少、骨梁の数および幅の減少、椎体の圧迫骨折

[治療]
▧腰背部痛が強いときは安静を保ち、鎮痛剤などを投与するが、装具を装着して早期に離床、歩行訓練を行い、
不動性骨萎縮の防止にも考慮する。
 
▧食事療法
  カルシウム摂取
  カルシウム摂取不足に加えて、蛋白質、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンC、マグネシウムなどの摂取不足
や塩分(ナトリウム)、加工食品などによるリン、カフェインやアルコールなどの過剰摂取なども骨粗鬆症の誘
発となるので問題である。

▧運動療法
 運動は健常な骨格の正常な発達と保持にとって必須であり、骨強度の増加が得られる可能性がある。高齢女性
にとって適切な運動は、筋力。関節の柔軟性・運動の協調性を向上させることによって転倒の危険性を軽減し、
骨粗鬆症に伴う骨折の発生を、間接的ではあるが軽減する。

 ▧薬物療法
  カルシウム製剤
  ビタミンD₃、k₂
  カルシトニン
  イプリフラボン
  ビスフォスフォネート
  副甲状腺ホルモン
  骨吸収抑制剤(破骨細胞による骨吸収を抑制する。)
骨形成促進剤(骨芽細胞活性を盛んにし、骨形成を促進させるもの。)


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