糖尿病(diabetes mellitus)
【病態】
膵臓のLangerhans(ランゲルハンス)島のB細胞からのインスリン分泌の欠乏や、その作用の低下(感受性低下)によって、糖質、脂質、蛋白質の代謝が障害されて、利用されないブドウ糖が血中に増加して高血糖(hyperglycemia)状態となり、尿に糖が排泄され、様々な合併症を併発してくる。
【分類】
A.インスリン依存型糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)
・Ⅰ型糖尿病とも呼ばれ、小児ないし若年者に多い。
・HLAとの関連があり、病因としてはウイルス感染を引き金として膵島細胞に対する自己抗体の産生に起因する自己免疫機序が考えられている。
・発症が急激で高度の高血糖とケトアシドーシスの状態になりやすい。
・治療にはインスリンが必須である。
B.インスリン非依存型糖尿病(non- insulin-dependent diabetes mellitus;NIDDM)
・Ⅱ型糖尿病とも呼ばれ、成人に多く発症し、糖尿病患者の大部分を占める。
・遺伝的には糖尿病の家族歴を有するものが多い。
・発症因子としては遺伝的素因に加えて過食、肥満、運動不足、ストレスなどがあげられる。
・発症は緩徐で自覚症状がないまま進行する。
・ケトアシドーシスの発症は著しく、進行した例以外は少ない。
・治療にはインスリンが必ずしも必須ではなく、食事療法、運動療法で病状が改善する例が多い。
【合併症】
A.急性合併症
糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡、
乳酸アシドーシス、低血糖など。
B.慢性合併症
(1)糖尿病性血管障害
①糖尿病性網膜症…単純網膜症と増殖網膜症がある。 合併頻度は30%と高率である。
②糖尿病性腎症…糸球体硬化症や動脈・細動脈硬化症 を基盤とする腎疾患である。新規血液透析患者の26%を占める。
③梗塞…心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすく正常人の3~6倍の発症率である。
糖尿病による梗塞は再発率が高いのが特徴である。
下肢の末梢血管障害として、血管閉塞による潰瘍、壊疽が多い。
(2)糖尿病性神経障害
代謝異常が原因と考えられるびまん性対称性神経障害(疼痛、知覚異常、アキレス腱反射消失、神経伝達速度低下など)と、血管閉塞が原因と考えられる単一神経障害(外眼筋麻痺)に分けられる。頑固な神経痛、しびれを訴え、自律神経障害を伴うことが多く、突然死の原因となることがある。
(3)感染症
肺結核、皮膚の化膿症を起こしやすい。最近の抗生物質の進歩によりこの合併症は減少してきている。
【診断】
※OGTT…糖負荷試験
【コントロールの方法】
(1)食事療法
・肥満を伴う軽症糖尿病患者(朝食前の空腹時血糖が200~250mg/dl以下)では食事療法単独あるいは運動療法の併用が行われる。
(2)運動療法
・運動療法の基本は運動による高血糖誘発の防止と、エネルギー消費の亢進である。
・運動強度は50~60%VO₂max以下の有酸素運動に設定し、時間を30分以上かけることが望ましい。具体的には速歩、水泳、サイクリングなどの全身的運動で1日100kcal程度の運動を食後に行って、食後の高血糖を防止するのが良い。
・運動療法は、組織のインスリン感受性の亢進をもたらす効果も大きい。
(3)薬物療法(経口血糖降下薬物療法)
・初診後少なくとも2週間以上、食事療法、運動療法を実施してもなお、空腹時血糖が140mg/dl以下にならない場合に、薬物療法の対象となる。
・注意点は、不適切な適応と投与量の過剰による低血糖の発生を防ぐことである。
(4)インスリン療法
・Ⅰ型糖尿病には必須の治療方法である。Ⅱ型糖尿病でも糖尿病性昏睡、ケトアシドーシスなどの急性合併症、有熱性感染症、外科手術などでは適応となる。

【病態】
膵臓のLangerhans(ランゲルハンス)島のB細胞からのインスリン分泌の欠乏や、その作用の低下(感受性低下)によって、糖質、脂質、蛋白質の代謝が障害されて、利用されないブドウ糖が血中に増加して高血糖(hyperglycemia)状態となり、尿に糖が排泄され、様々な合併症を併発してくる。
【分類】
A.インスリン依存型糖尿病(insulin-dependent diabetes mellitus;IDDM)
・Ⅰ型糖尿病とも呼ばれ、小児ないし若年者に多い。
・HLAとの関連があり、病因としてはウイルス感染を引き金として膵島細胞に対する自己抗体の産生に起因する自己免疫機序が考えられている。
・発症が急激で高度の高血糖とケトアシドーシスの状態になりやすい。
・治療にはインスリンが必須である。
B.インスリン非依存型糖尿病(non- insulin-dependent diabetes mellitus;NIDDM)
・Ⅱ型糖尿病とも呼ばれ、成人に多く発症し、糖尿病患者の大部分を占める。
・遺伝的には糖尿病の家族歴を有するものが多い。
・発症因子としては遺伝的素因に加えて過食、肥満、運動不足、ストレスなどがあげられる。
・発症は緩徐で自覚症状がないまま進行する。
・ケトアシドーシスの発症は著しく、進行した例以外は少ない。
・治療にはインスリンが必ずしも必須ではなく、食事療法、運動療法で病状が改善する例が多い。
【合併症】
A.急性合併症
糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡、
乳酸アシドーシス、低血糖など。
B.慢性合併症
(1)糖尿病性血管障害
①糖尿病性網膜症…単純網膜症と増殖網膜症がある。 合併頻度は30%と高率である。
②糖尿病性腎症…糸球体硬化症や動脈・細動脈硬化症 を基盤とする腎疾患である。新規血液透析患者の26%を占める。
③梗塞…心筋梗塞、脳梗塞が起こりやすく正常人の3~6倍の発症率である。
糖尿病による梗塞は再発率が高いのが特徴である。
下肢の末梢血管障害として、血管閉塞による潰瘍、壊疽が多い。
(2)糖尿病性神経障害
代謝異常が原因と考えられるびまん性対称性神経障害(疼痛、知覚異常、アキレス腱反射消失、神経伝達速度低下など)と、血管閉塞が原因と考えられる単一神経障害(外眼筋麻痺)に分けられる。頑固な神経痛、しびれを訴え、自律神経障害を伴うことが多く、突然死の原因となることがある。
(3)感染症
肺結核、皮膚の化膿症を起こしやすい。最近の抗生物質の進歩によりこの合併症は減少してきている。
【診断】
※OGTT…糖負荷試験
【コントロールの方法】
(1)食事療法
・肥満を伴う軽症糖尿病患者(朝食前の空腹時血糖が200~250mg/dl以下)では食事療法単独あるいは運動療法の併用が行われる。
(2)運動療法
・運動療法の基本は運動による高血糖誘発の防止と、エネルギー消費の亢進である。
・運動強度は50~60%VO₂max以下の有酸素運動に設定し、時間を30分以上かけることが望ましい。具体的には速歩、水泳、サイクリングなどの全身的運動で1日100kcal程度の運動を食後に行って、食後の高血糖を防止するのが良い。
・運動療法は、組織のインスリン感受性の亢進をもたらす効果も大きい。
(3)薬物療法(経口血糖降下薬物療法)
・初診後少なくとも2週間以上、食事療法、運動療法を実施してもなお、空腹時血糖が140mg/dl以下にならない場合に、薬物療法の対象となる。
・注意点は、不適切な適応と投与量の過剰による低血糖の発生を防ぐことである。
(4)インスリン療法
・Ⅰ型糖尿病には必須の治療方法である。Ⅱ型糖尿病でも糖尿病性昏睡、ケトアシドーシスなどの急性合併症、有熱性感染症、外科手術などでは適応となる。

