昨日は不思議なことが起こったな......。なんてまだ目は閉じたままそんな事を考える。
あれは現実なのか?異次元に引き込まれるなんて本当にあるのか?そんな事を考えているとつい昨日聞いたような声が聞こえる、覚悟を決め目を開けるとそこは明らかに自分の部屋とは違う場所だった。
「ですよねぇ........」
そう呟くと、俺をこの世界に引き込んだ犯人は笑顔でこちらに飛びついてきた。
「おはようございます!魔王様っ!!」
小さいながらもしっかり主張してくる女性特有の柔らかいそれ。思わずニヘニヘしていると、そいつは「キモチワルイ」と言って飛び退いてしまった。
「ほら、さっさと魔王様のところに挨拶しに行きますよ魔王様。」
「ややこしいから俺のこと魔王様って呼ぶのやめろ、俺は桜井健悟。あんたは?」
「申し遅れました、私はリィト・エフライムです。リィトと呼んで下さい♡」
あざとい、あざと可愛い。流石悪魔といったところか、悪魔的な可愛さをしている。それに大きくないのがいいよね、その、それが。俺はやっぱり小さいものにこそ真理はあると思うんだ、絶対に、うん。
「ケンゴ様も小さい方がいいと思いますか!?やっぱり貧乳こそ正義ですよね?肩もこらないし戦闘の邪魔にならないし!」
「そうそう!大きすぎても気持ち悪いし.........な?はぇ?」
え、なんで聞こえてんの?ひょっとして声に出てた?ヤバイ死んだ。俺の魔王生活終わった。さらば世界征服、さらば俺の異世界生活。
「あ、私テレパシー使えるんです。凄いでしょ?エヘヘ」
照れんなよ可愛いだろ。にしても嫌がってる素振りは無かったな、実は男だった的n....
「次は当てます」
拳が飛んできた。
「私サキュバスなんで、その手の話は慣れてるんです。」
サキュバス........だと?あの淫魔の事か?つまりあんなコトやこんなコトが...........
「しませんよ、そんなの読者の皆様の影響に悪いですので。」
「メタいよ馬鹿そういう事は言うな。」
「ハイ」
まったく、読者とか影響とか僕にはナンノコトカワカリマセンネ。
「てか、そろそろ魔王様のとこに行かないとまずくないのか?」
「あ、忘れてました!急いで行きましょう。」
俺達が部屋を出ようとドアノブを捻るとそこには角の生えたいかついおっさんが立っていた。
「おい遅いんだが、ずっとビックリさせようとして待ってたんですが、なぁ遅いよ。てかリィトよ君さ、俺の側近の時ただの魔族って言ったよね?聞こえてたよ?なにサキュバス?なんだよそこの男主人公ってだけでチヤホヤされてさ、作者は何考えて......「メタいよ!お前らさっきからメタいよやめろ!!主人公とか読者とか作者とか言うな!!!」
「「ハイ」」
こうして俺の波乱の1日が始まってしまった。