私がアメリカで習い、今でも使っているトレーニングテクニックのひとつに筋幻惑法というものがある。
平たく言うと筋肉を騙すとでも言うのか、常に新鮮な刺激を与えて継続的に筋肉の成長を促すというものだ。
筋肉というものはトレーニングなどで負荷がかかりストレスを受けると防衛機能が働き、それまでよりも大きく、強くなってそのストレスに対抗しようとする。
いわゆる超回復だ。
筋トレを始めたばかりの頃は身体がそのストレスに対して敏感に反応する。
トレーニングの度に重量や回数が増えても不思議ではない。
だがある程度同じようなトレーニングを続けていると発達が停滞し、いわゆるプラトーにぶち当たる。
しかしムキになってトレーニングの頻度や量を増やしたりすれば、オーバーワークに陥り、怪我をする人も少なくない。
頻度や量を増やすのが間違っているとは言わないが、それではリスクが高い。
大切なのは賢くトレーニングする事だ。
例えばベンチプレスを毎週、月、水、金と行い、月はMAX、水は8割程度でセット、金は軽めでハイレップス、という具合にトレーニングしていて、自分では緩急をつけているつもりかもしれない。
そのやり方で結果がついて来ていれば問題ないが、そうでなければ何かを変えるべきだろう。
私のジムにもいるが、トレーニングメニューを一週間単位で作っている人は、計画的にやるからそこそこの成果は出ているものの、なかなかプラトーを打ち破れない。
それなのに同じ事を繰り返すのは失礼だが賢いやり方とは言えない。
だってこの私が、「今日はベンチMAXに挑戦する日だね!」とわかっている位だ、その人の身体がわかっていないはずがない。
はいはい今日はMAXね!身体がこんな風にストレスに慣れていては、毎週同じ曜日に同じような刺激に反応するはずがない。
そもそも身体は一週間単位できっちり計算などできるはずがないのである。
だから私は一定期間効果を実感できない場合はトレーニングの頻度や量もだが、種目、順番、重量などをどんどん変える。
それによって精神的にも新鮮味があって楽しく集中できたりするものだ。
ベンチプレスを強くしたいのだからベンチプレスのトレーニングしかしない!などという考え方では先はたかが知れているだろう。
バーベルでのベンチプレスで調子が上がらないなら時にはマシンやダンベル、いつも6回くらいのセットしかやっていないなら時には20回ほどのハイレップスでやるとか、またインクラインやディクラインにして角度を変えてみるとか、身体がストレスに慣れてしまわないように工夫する事は非常に効果的だ。
あのアーノルド・シュワルツェネッガーも実践していたこの筋幻惑法、私の経験上効果がある事請け合いである。
トレーニングは一生懸命やる事はもちろんだが、それより大切なのは賢くトレーニングする事である。