名前をつけてやる。 | 38度線の北側でのできごと

38度線の北側でのできごと

38度線の北側の国でのお話を書きます

 朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国関係のまとまった仕事を引き受けて、今晩から作業を開始した。

 

  この仕事以外にも文章を書く際に、当然北朝鮮側の原文資料を読む機会がある。有名なもの、日本語訳されているもの。例えば「金日成著作選」を引用したのなら、ならそのまま「金日成著作選より引用」と書けばいいのだが、有名でない資料や朝鮮語だけの資料の場合、ちょっと悩む。

 

 小説のタイトルや本文の訳を自分ですることになる。当たり前じゃないか?という話なのだが、特に小説のタイトルなど悩む。「本当にこの名前にしちゃっていいのかなぁ」とタイトルで悩み、翻訳がちがちの文章から、読みやすい文章に直す際に「こんな訳でいいのかなぁ」と思う。

 

 在日朝鮮人の友人がいるので、本当に困ったら彼らにジャッジを仰げばいいのだが、プロとして自分で全うしたいと気持ちがある。

 

 だから悩みながら、ぼくは少し不安な語学力で北朝鮮の資料を訳す。日本に紹介する。臆病になりつつも、さあ世の中に出て行きなさいと背中を押す。

 

 これも物書き冥利に尽きるところだったりする。いつか、北の原文資料の作者に会いたいとも思う。そしていうのだ。あなたの文章を訳して使わせてもらいました、と。