日常と言うものは、その文字の如く毎日の常である。得てして変化がない。
ましてや、芸能人でもスポース選手でもない、どこにでもいるごく普通のサラリーマンの自分にとっては、時間の流れも生活のリズムも、変化という言葉すら対極の位置にいるのではとさえ思える。
朝7時に起きて8時過ぎには出勤する。何の変化もなく繰り返される毎日。
つまるとかつまらないじゃない。
眠くなったから寝る。腹が減ったから食う。人がまだ言葉を使わない時代から繰り返されてきた、当然の行動と何ら変わらない感覚。
平日の朝、いつもの時間に起きた。準備を済ませて家を出る。
その日も、そんないつもと何ら変わらない月曜の朝。
に、なるはずだった。
風が強く吹いていたことだけを除いては。。。
朝から強風に煽られ、おれは若干苛立っていた。
強風の影響を受けてか、いつもより会社の駐車場に着く時間が遅くなってしまった。
早く建物内に入りたいのに、思うように前に進まない。
これも余計におれを苛立たせた。
やっとの思いで建物の入り口に面した道にたどり着く。もう少しで到着だ。
そんな矢先、数年間通ったこの道で、今まで感じたことのない感覚に襲われた。
何か変だ。
具体的に何がどう変でこの感覚に襲われているのか、この感覚を引き起こしてる原因が何なのか、分からないまま数メートル歩いただろうか。
先述した通り、おれはこの道を数年間通い続けている。今までただの日常として、ただ歩いていただけのこの道が、その日は何かが違った。
たった数メートル、歩数にして約10歩。
今まで数年間この道を歩いてきた時間を全て足しても余りあるほど、時間が長くかんじられた。
やはり何か変だ。
日常に何らかの変化を望み、変化を期待していると自分では思っていた。
ただ、この時はっきりと分かった。何もない日常をただひたすら消費して過ごすことが、本当の幸せなんだと。
考えたこともなかった「幸せ」なんてフレーズが出てくるほど、混乱していた。
今思えば、得体の知らない「何か」に自分が支配されそうな感覚に恐怖を覚えていたのかもしれない。
たが、その得体の知らない「何か」を視覚で特定するより先に、動物としての本能が自分に備わっている事に気付かされる。
何かいる。
間違いなく、何かいる。
いや、いると言う表現は適切ではない。
何か来る!
視線を前だけに向け、神経を研ぎ澄ます。
とは言え、今は出勤時間帯だ。
周りには自分以外にも社員が何人も歩いている。いつもと同じ光景だ。
いや、違う。
間違いなく、出勤時間帯で行き交う人の波の中に、何かがいる。
落ち着けと自分に言い聞かす。
目の前に映る景色、人、建物、更には空気にまでも注意を払う。
何故だか分からない。何故だか分からないが、おれの観察対象が直感的に絞られていった。
あれは隣の職場の人だな、
次は1つ上の先輩、
あの人は見たことない、
おっとあいつは後輩の直、、、、違う!違うぞ!あいつ直哉じゃない!!
直哉はあんなに親指みたいになってはいなかったはずだ!あれじゃササクレが完全にないじゃないか!
じゃあ あれは、後は飛んでいくだけ状態になったタンポポか!?
いや、ポンデリングかもしれない!
いやいや、そんな事はない。おれの記憶が正しければあいつは人だったはずだ。
でも違う!ただめくれ上がって、とっちらかって、ありが頭皮!ありが頭皮!
清水アキラがモノマネする谷村新司みたいになったんでもない!
丸みを帯びて広がって、七色に光って、綺麗で、幻想的!
あれは、
あいつは、
孔雀だ!
メスだ!メスの孔雀だ!
おい嘘だろ。。。
何か聞こえてくるぞ。
あいつ孔雀じゃないのかよ。メスの孔雀じゃないのかよ。
ん?
何だ?
まさか!?
臨
兵
闘
者
皆
陣
裂
在
前
