こんなにもしっかりと直っていくのは、どうしても地獄にいた時間がちゃんとあったからなんだね。
一年前まで今と真逆のことをしていた。
自分を常に限界まで高めた状態にし続けて、自己啓発を実践しまくりアリの一匹も入ってこられないくらい鉄壁のガードと守りを強いてた。
ようするにお母さんと同じことをしていた。
本当に怖いことから逃げ続けていたんだ。
でもお母さんのようにはいかなかったなぁ。
19で限界が来てた。
しゃーやいやん後者やもん。
やいやん。
母さん前者やもん。
ある日、ふとある本が気になってたんだ。
人間関係が「しんどい!」と思ったら読む本 ーしんやにのすけ
心屋仁之助のことを知っていて持ってたんじゃない。
数年前に古本屋で精神系のやつを大量に買った中の一冊だった。
たいとるがたいとるだし、結構早く手に取った。
面白かったけど、綺麗事ばかりで軽く考えている感じがして鼻で笑ったな。
「何こいつアホなこと言っとん。現実はそんな甘くはないねん。」
そっから数年たって、故郷から出た僕の本棚にはその本が気に入っていたから入っていた。
でも当時は理解できるわけがなかったよ。
理解したら大変なことになるもん。
言ったら、手を失って足を失って、ついでに片目片耳いくつかの臓器を失っていて、本当は生きているのが精一杯の努力なんだけど麻酔をしているから気づかないじょうたい。
それで「おかしいなあおかしいなぁ」って言って生きている時に
「あなた五体満足に健康体で生きることができますよ」
って囁かれてるんだよ。
それを知っちゃったら、体が大部分ないことに気づいてしまう。
そんなの大コンプレックスだよ!
乙武さんくらいだよ!僕には無理だよ!
そしてなんで腕とか脚とか肝臓とか失くしたんかって話になって言って。
そしたら自分が捨てたんだって気づいてしまって。
捨ててしまうほど恐ろしいこと悲しいこと、過去と僕は向き合わなくてはならなくなった。
もう我慢するのも無理だから。
我慢の箍をあの野郎に壊されたんだ。
誰がアイフォンを知ってラジカセを使うんだよ。
僕がラジカセを使っていたのはラジカセしか知らなかったからだ!
そこからは地獄。地獄、雨のち地獄ときどき地獄だったね。
知らない方がいいのかもしれない。
誰も自分のとれた腕の切断面なんて見ない方がいいんだから。