日本人だから安心だった。
外で一番恐れていたことは、何もしないこと。
それが恐ろしくてたまらなかった。
何もしなかったら、心臓が止まり変な動き奇形な動きをする。
心臓が止まることよりも奇形な動きをすることの方が恐ろしかった。
奇形な動きをしたら、人はみんな凍りつき、時が止まる。
うさぎの真似をしたオオカミのように、正体がバレた瞬間もうもとにもどれぬいように、もうにほん人に戻れない。
僕は本当は奇形の人なんだ。
あの動画の人みたいに奇形なんだ。
同じ仲間のカテゴリーから排除される人間なんだ。
そもそも人間社会から転げ落ちても良いやんけ。
奇形でいいやん。
母から恐ろしい話のように言われたな。
「あんたな、こんな行動は人前で絶対したらあかんで?とんでもないことになるからな?」
「シーッ!言ったらあかん!見ないふりしときなさい…!」
「あんな風になったら今与えられているものは全てなくなるな。あれはそういうものや。いいか?あの人達と同じだと思われることしたら絶対あかんで!あんたは特に危なっかしいんやから。あの人たちはあの人たちの人生があるんやから。あんな風に生まれなかったこと自体に感謝しなあかんで!もし私がタバコとか吸ってたりしてたらこんな健康体には生まれなかったんやからな。私に感謝しなさいよ?私がもういいわってちゃんと体調管理とか栄養管理とかしてなかったらこんな綺麗に生まれなかったんやからな?
もし手が片方なかったりしたらどうや?目が片目潰れていたらどうや?いややろ?
じゃあ私に感謝しなさい。私のおかげで今あなたたちがその姿でいられるんやから。」